第22話 投児の必殺技
「夏休み中に野球の試合があるのは知ってるか?」
あと2週間ほどで夏休みというタイミングで投児がそんな話題を振ってきた。
「初耳だよ。投児出るの?」
「あぁ。1年だけど特別にレギュラーに入れてもらえたぜ!・・・だけどどうせ出るなら目立ちたいからな、試合までに
「野球なのに必殺技とか必要なの?誰を殺すの?」
「?ヒッサツワザはカッケェ技の事だぞ?何言ってんだ?」
あぁ。ヒッサツワザっていう言葉をカッコいい技と思ってるのか。投児はスポーツ特化だから勉強は普通以下だったからね、【必殺技】なんて漢字すら知らないか。
「まぁ良いや。それでどんな技にするの?」
「ユリが投げてた100個に増える球だ!あれのやり方教えてくれ!!」
「あれかぁ・・・無理じゃない?(あれ魔法だし)」
「そうなのか?じゃあビームみたいなのならどうだ?」
「あれは(気功だから、まず気功を練る修行からだから)少なくとも数年掛かりそうだから時間的に間に合わないかな」
「そうかぁ・・・間に合わなかったら意味ないもんな。じゃあメッチャクチャ早い球で良いや。教えてくれ!」
「それならまぁ、良いよ。」
「よっしゃ!!」
☆
休み時間、校庭の端っこで特訓を始めた。学、公太朗、雅ちゃんも付いてきた。
「じゃあまずお手本を見せるから、ちゃんと見ててね。」
「おう!」
ネットが貼ってある衝立みたいなのが在ったから、それに向かって投げる。手首のスナップを効かせて狙い通りのど真ん中に突き刺さる。
「どう?こんな感じなんだけど。」
「・・・・・・ピッチングが早すぎて腕が消えてみえるんだが。」
「え?そんな早かった?じゃあもう少しゆっくり投げるね。」
早すぎたのか。見せる為に投げてるから気をつけないとね。よっと!
「見えたけど見えなかった・・・」
「なにそれ?なぞなぞ?」
「いや、手からボールが離れる瞬間手がブレて見えなくなった。」
「そんな事言われても、あれより遅く投げたら速い球にならないよ?」
「流石ユリちゃんですわ~」
「物理的にあんな投げ方出来るんですかね?不思議です。」
「(あれ?魔法使って無いよね?)身体能力までチートなのかよ。ホント何者なんだ?」
外野からも(雅ちゃん以外)なんだか人外扱いされてるけど、出来るんだから仕方ないじゃん!でも、前回と違って何でも出来るのって楽しいな。
「うーん。見えないくらい早く投げれば良いのか。よし!やってみっか!!」
投児が乱暴に勢いよくボールを投げつけた。
「いってぇ!!手首ゴキッて鳴った!超痛てぇ!!」
「手首の靭帯が無理に伸びてたね。あんな投げ方じゃあ、そりゃあ痛めるよ。」
「やべぇ・・・これじゃあ特訓出来ねぇ!」
「すぐ治るよ。手かして。」
投児の手首を擦りながら(靭帯治れー)って治癒魔法を使った。ラノベみたいに治す時に変な光とかは出ないよ。
「治った!!ありがとう!」
「はいよー」
「よし!特訓の続きだ!」
☆
その後も無茶な投げ方をして、腕痛めて治してを繰り返してたら、投児の右腕が何故か超成長して時速250キロで投げられるようになった。しかも異常な回復力まで得られて痛めても自己修復するようになった。ちなみに投児の右腕は肥大化はしてないけど筋肉のスジがメッチャ細かく浮き出ててちょっとキモかった。本人は喜んでるから良いよね!
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