第21話 学くんの勉強法

「また負けた・・・」


 学都がくと まなぶが中間成績表を見て嘆いている。小1のテストでそんなに落ち込まなくても。そもそも小学校で中間成績表が渡されるのも変だけど。


「また別の勉強法を試さなければ・・・!」

「そんなに勉強法って選択肢あったっけ?」

「ゆ、ユリさん!聞こえてしまいましたか。」

「うん、まぁ。それなりに大きな声だったし。」

「僕の勉強法に興味があるんですね?ふっふっふ、他ならぬユリさんの頼みならば教えて上げましょう!」

「いや、頼んでないけどね?」

「今回試した勉強法はですね。ズバリ、睡眠学習です!なんと、寝ている間に勉強が出来るという画期的な勉強法なんですよ!凄いでしょう?」


 めちゃくちゃドヤ顔しているが、成果出てないんだよね?


「寝ている間に音声教材を聞くだけでなのでお手軽ですよ!朝起きたらヘッドフォン100%外れてますけどね!」

「へぇ~。でも結果出てないんでしょ?」

「うっ!!・・・・・・何故か学年99位まで落ちてしまいました。」

「前は何位だったの?」

「2位です!」


 物凄く成績落ちてるじゃん!


「うん、勉強法変えたほうが。いや戻したほうが良いよ。2位取れてた時のやり方にね。」

「で、でもあれじゃあ1位取れないじゃないですか!!」

「99位よりは2位の方が良いでしょ!」

「し、しかし。1位取れなきゃ意味がないんです!」


 なんだろう。この子は勉強が出来るけどバカなのかな?


「1位じゃないと親に起こられるとか?」

「・・・言われた事は無いですが。そうに決まってます。」

「マナブくんがそう思ってるだけじゃない?今日家に帰ったら聞いてみたら?もし1位取らないと起こる親なら、親が間違っているから言うこと聞く必要はないよ。」

「・・・・・・聞いてみます。」



「ユリさん。昨日あのこと聞いてみました。・・・成績上位なら嬉しいけど、低くても怒らないと言われました。」

「良かったね!」

「・・・はい。」


「どうしたんだ?」


 マナブくんとちょっと話してると、投児が声をかけてきた。投児と学は少し仲が悪い。


「大したことじゃないです。」

「そーかよ。」

「それより投児。」

「なんだ?」

「休み時間のキャッチボール。今日から僕もやります。」

「へ?!マジか?お前運動嫌いだろ?」

「少しやってみようと思っただけです。」

「お、おお!やろうやろう!!うひょー!楽しみだぜ!!」


 よくわからないが二人が仲良くなったようだ。


「投児、煩いですよ。」

「なんだと?!やるか?!」

「やりませんけど?」


 ・・・少しだけ仲良くなったようだ。


 

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