第19話 パパと娘の奮闘記の最終回

 今日、ドラマ【パパと娘の奮闘記】の最終回が放映される。12話ワンクールの作品で、放送開始から3ヶ月たったということだ。思ったより早く感じるね。前回の小学校の頃って1日がとても長く感じたけど、多忙なせいか1日があっという間に感じる。


 毎回ドラマの放送をお母さんと一緒に見ている。お母さんも毎回現場に着いてきてくれてるから、あの撮影がどんなふうになっているのか楽しみなんだそうだ。


 最終回まではかなり紆余曲折あり、主人公は妻とヨリを戻すか、いい感じになった女性と再婚するか、娘と二人だけで生きていくか。幾つもの選択肢で悩み、いよいよこの最終回で結論を出すところだ。


『父さんな、再婚しようと思うんだ。雛子も新しいお母さんがほしいだろ?』

『あたらしい・・・おかあさん?』

『そうだよ。ほらこの前会ったお姉さん。』

『やだっ!!ヒナのお母さんはお母さんだけだもん!!』


 妻が出ていってから一度もワガママを言わなかった娘が、初めて感情的になり母を求めた。ずっと我慢していたのだ。お父さんが困ると思って。


 勢いで家出をする娘。すぐに探すけれど見つからず、心当たりのある場所にも居ない。焦った主人公は、もう殆ど連絡をしていなかった妻に事情を話、協力して娘を探すことに。


 妻も娘を置いて出ていった事を凄く後悔し、探しながらお互いに自身のダメだったところを認め合い心が一つになった時、娘が行きそうな場所を思い出した。


 家族三人でよく遊びに来た広大な土地の自然公園。ピクニックでよく来ていて、特に半球状の出入り口の丸い穴のあいた遊具の中がお気に入りだった。


 妻と二人でその場所まで走って、たどり着くと。娘は遊具の中で泣きつかれて寝ていた。二人は娘を抱き上げ「よかった・・・」と涙を流す。


 

 場面は飛び。エンディング曲が流れ。元の夫婦、いや元よりもしっかりと絆が深まった夫婦と幸せそうな娘がありふれた日常を送っている。


「ユリちゃん!最終回も良い演技だったわ!お母さん感動しちゃった!」

「えへへ~ありがと!」



 マネージャーの鈴木さんから、バラエティ番組などからオファーが来ているけど断っているからね、と連絡があった。鈴木さん的にはあまりバラエティ番組など番組は避けているようだ。ボクとしても呼ばれる度に出ていたら学校行く時間が無くなるし、プライベートでも色々やっているので、今の仕事量が丁度いいと思っている。


 弱小事務所ならテレビ局側からの圧力で無理やり引っ張り出されそうだけど、ウチの事務所は逆に圧力を掛ける事が出来るレベルだから安心だ。鈴木さん曰く、最近だとテレビじゃなくてネットで番組を流したりも出来るので、テレビの権力も目減りしてきているそうだ。


 次はネット番組に重きを置いた仕事を取っていくからね!っと言われた。鈴木さんってもしかしてテレビ局嫌いなのかな?



 

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