第18話 球技大会

 白聖しろせい小恒例の球技大会が始まった。これは一年から六年までの生徒たちの親睦を深めるという名目のイベントである。


 野球の部。ドッジボールの部。バスケの部。サッカーの部。テニスの部がある。必ずどれかに参加しなければならないし、チームは一年から六年のバラバラで組まなくてはならない。テニスはダブルス。


 高学年の生徒が1年生の面倒をみながらする大会なので本格的なスポーツのイベントではないけれど、それぞれの部の優勝賞品が学園内にあるカフェテリアのスイーツ無料券なので一部目が血走った生徒達が居たりする。特に各学年のSクラス。


 それぞれのクラス毎にチームを組むのでSクラスやAクラスは優秀な生徒が偏る、なのでハンデはつけてある。それでも毎年Sクラスが無双するそうだけどね。



「Sクラス!今度こそ負けないぞ!!」


 Aクラスの井地川くんが何やら騒いでいる。まぁ彼はいつもあんな感じだからね。それよりもBクラスやCクラスにも負けず嫌いの子がいるようで対抗心を燃やしている。他クラスの生徒は高学年に行くほど心が折れて大人しくなっていくそうだ。


 さて、部門分けだけど。投児は当然、野球の部。学はあまり動かなくて良いという理由でサッカーのキーパーを選んだ。公太朗は何でも良いそうなのでドッジボールの部。雅ちゃんは嗜んでいるらしいのでテニス。そしてボクがバスケになった。



 投児は小1ながら見事なピッチングで点を取らせず、他の学年のSクラスの無双もあり圧勝。


 学は本当にゴール前で立ってるだけで終わった。高学年のSクラスの生徒が超人サッカーをしていた。


 公太朗は魔法で身体強化をしていて大活躍。それボクもやってみよう。


 雅ちゃんは芸術面に特化していると思っていたけど、運動もかなり出来る子だった。フォームがとてもキレイだった。


 ボクはちっちゃいからノーマークだったけど、どんな遠くからでもシュートを決めるので途中から敵チームの全員がボクを囲んでいた。空間把握の魔法で後ろの味方の位置も分かるから簡単にパス出来たから、余計ゴール前が手薄で点数を稼げたようだ。上の学年のSクラス達から一目置かれたらしく、試合後は妹のように可愛がれた。ちなみに試合前は「足を引っ張るなよ」と言われた。


 毎年だけど、今年もSクラスが全部の部を制覇した。先生曰く「今年は特に圧勝している」そうだ。


 ちなみにAクラスの井地川くんはペース配分間違えてすぐにバテて保健室に運ばれていって、表彰式最中に「俺、復活!今から逆転だ!!」と体育館のドアを開け放って爆笑されていた。彼はオチ要因だったか。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る