第12話 主人公太朗

 今日はお仕事の無い日なので、学校が終わるとそのまま家に帰った。もちろんお母さんに迎えに来てもらっている。家から微妙に遠いんだよね。引っ越そうかな?


 夕飯を食べてお風呂も済ませた後、公太朗から電話があった。


『もしもし、俺。公太朗。』

『着信表示あるから分かるよ?』

『あ、あぁそうだったな。ちょっと気持ちが焦っていた・・・・・・もう大丈夫だ。』


『それで?何かあったの?』

『ユリちゃんが今日使った物は魔法なんだ。俺が前世で覚えた、異世界の能力なんだよ。』

『異世界?』

『そうだ。俺は前世、勇者として異世界に召喚された。まぁそこで色々冒険をして強くなって魔王を倒したわけだ。しかし、召喚は出来ても元の世界に帰す術が無かったから仕方なくあの世界で人生を全うしようとした。』

『ほへー大変だったね』

『あぁ。だけど俺は殺された。あの世界の助けた奴らに。死んでからこっちの世界に転生という形で帰れたけど、あの世界の奴らが許せない!俺は異世界に行き来できる魔法を作り出して彼奴らに復讐したいんだ!』


 なんだか重い話を聞いてしまったな。ボク、普通の小学生なんですけど?


『それを何故ボクに話そうと思ったの?』

『そうだ!そこが本題だった!ユリちゃん、君は魔法才能がある!天才だ!異世界に行き来する魔法。君なら作り出せそうな気がするんだ!!是非手を貸して欲しい!!』


 えぇー?!この歳で復讐の手伝いとか・・・歳は関係ないか。とにかくそんなの気軽に決められないよ!


『せめてもう少し成長してからでも良いんじゃないかな?ほら、時間が経てば復讐心も落ち着くかもだし。』

『・・・わかった。でも異世界へ行く魔法の研究はして欲しい。対価として俺が勇者だった頃に集めた財宝が収納魔法にある。それを全部君にあげるよ。』

『わ、わかったよ。お仕事ね、お仕事。ボクお仕事はキッチリやるタイプだから。安心して。』


 なんとか話を終わらせて電話を切った。ふぅ・・・公太朗、凄い闇抱えてた。


 しかし、異世界なんて本当にあるんだね。異世界に行く魔法なんで作れるのかな?無理じゃない?だいたい、もし異世界が沢山あって、その中から公太朗の居た世界を探すなんて・・・公太朗のモヤの特徴を探せば行ける?こう、探知レーダーみたいにして・・・あ、見つけた。そして空間を繋げる事ができた。


 よし!見なかった事にしよう!


 繋げた空間を閉じてお布団にダイブする。今のは夢。そう夢なんだ。

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