24歳、詰んでます。

@huuma0307

第1話

24歳、介護士。

地元から離れた高校を卒業して早6年。

5年前から勤める会社は家から車で5分。

実家までは車で20分。隣町。

現代は少子高齢化が進み介護の仕事の需要があるにもかかわらず給料は上がらず。

まあそんなことはどうでも良いのだけど。


何が問題か。

親に結婚の話を毎回されること?

違う。

流行りのウイルスに対するストレス?

違う。



借金、クレジットカード、リボ払い、ギャンブル、タバコ、酒。


初め3000円だった借金はあっという間に100万円になり。リボ払いはほぼ毎月、貯金も底をついた。


3歳の頃両親が離婚し、父親はギャンブル好き女好きでDV。

「綾はパパみたいにならないでね」

そんな母の言葉に

「大丈夫だよ、」と返していたのはいつのことだったか。

禁煙に成功した母が

「タバコなんて絶対に吸わないでね」といわれ

「大丈夫だよ、タバコの匂い嫌いだもの」と答えていたのはいつのことだったか。

「リボ払いは絶対にダメよ、地獄だから」

そう言った親戚の言葉に「わかってるよ、そんな馬鹿なことしないよ」と言ったのはいつだったか。


借金を借りれるだけ借りて、やばいと思って駆け込んだのは親のところでもなく友達のところでもなく風俗だった。


今のご時世、スマホで検索をかければ幾らでも出てくる。パパ活、デリヘル、ヘルス、箱ヘル。


初めはわからない言葉だらけだった画面も、今ではわからないことの方が少なくなって。


初めて体験入店をした日は夏の暑い日だった。

忘れもしない、はじめての店長との会話。

「体験入店でも、最後までHをしなくちゃいけないんですか?」当時20歳、処女だった。体験入店に行った店はデリバリーヘルス。

店長は、笑いながら言った。

「うちはね、ソープじゃないから。最後までするのは禁止だよ」

「そうなんですか」

心底驚いた。

だって、夜の街はそれが普通だと思っていたから。

私は自分で作った借金のために、はじめてを知らない人にあげなくてはならないんだと思っていたから


それからしばらくして

ネットに自分の目からしただけを隠した写真が載って、店の電話が鳴った。


「ちひろちゃん、指名はいったよ」

ローション、うがい薬、タオル、スキンが入ったビニール製のバッグを持って、車に乗り込む。


マニュアルもない、運転手は何も話さない、

誰も助けてくれない、教えてくれない。

不安でしかなかった。あるのは、ネットで調べた知識だけ。


はじめてついたお客が買った時間は130分。

お金をもらうとき、身体を洗うとき、ベッドに入ったとき。手が震えた。


経験なんてあるわけもない。

どうして良いかもわからない。

店長に「スキンは枕元に置いておくこと」

言われたことをやった。「ちひろちゃんはオプションがありな子なんだね」と言われた、

その人に教えてもらった。オプションという名の本番行為。震えた。現実ではない気がした。

「ここのお店の子はみんな5000円くらいかな」

気持ち悪いと思った。

自分はなんて気持ちの悪いところに足を踏み入れてしまったんだろうと思った。

でももう引き返せない。

この人は客、私は今デリヘル嬢。

慣れない口淫をした。自然と涙が出た。


初めての仕事を終えシャワーを浴び、車に乗り込み店に戻る。その日ついた仕事は、3件だった。


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