第14話 乙女たちの戦場


 お茶会。

 それは乙女たちの戦場。

 そう思っていたのだけど。


 意外と少ないな…。

 もっとワラワラいるのかと思っていたので、正直拍子抜けした。

 先にテーブルに着いていたのは、三組の親子。

 私と同年代であろう子は、水色の髪の子に、銀髪の子、真っ赤な髪の子。

 おぉ、それぞれタイプは違うけど美人さんや。

 ぼーっとしていたら、私の挨拶の番らしい。


「初めまして。本日はお越しいただきありがとうございます。アリア・ローズと申します。本日はどうぞゆっくりとお過ごしください」


 慌てて、母と練習した正式な礼を披露する。

 足をクロスさせて、45度の角度になるようにお辞儀をするが正式な挨拶の作法だが、まだ短い私の足では凄くフラフラする。

 キツい……。

 ご婦人たちからは、まぁ、と言った感嘆の声が聞こえる。

 そして、子どもと大人で別々のテーブルに着く。



 おおぅ、この後はどうしたらいいんだ?

 すると、私の戸惑いを見越したように、赤い髪の女の子が自己紹介をしてくれた。


「私はスカーレット・レイリーよ。よろしくお願いいたしますわね、アリア様」


 おー、しっかりしてる。

 でも、絶対この子気強いな。

 次は銀髪の女の子。


「ミシェル・グレース……。よろしくお願いします………」


 人のことは言えないけど、ちょっとぼーっとしてるわね、この子は。

 最後に、水色の髪の子。


「えと、クロエ・ミラーです。よ、よろしくお願いします」


 気弱なのか、恥ずかしがり屋なのか、顔が真っ赤だ。


「ユズリア・ヴァンスです。よろしくお願いいたします、お嬢様方」


 ナチュラル過ぎて気付かなかったけど、ちゃっかりユズが隣に座っている。

 三人のお嬢様方もキョトンとしてるし。


 ただ、無表情でひたすらクッキーを食べ続けるユズを不気味に感じたのか、三人ともユズから視線を逸らした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る