第67話「スキル検証」
「というわけで、だ。……リズ、もう一度──」
「う、うん。お兄ちゃん──……」
半壊したクラウス家のシーツで囲った狭い一室で向かいあう兄妹二人……。
リズはさっきからモジモジしっぱなしだ。
「え、えっと……わ、私、初めてで慣れてなくて……」
「大丈夫。誰だって初めてはあるものさ──ほら、俺が教えてやるから」
う、うん……!
緊張した面持ちのリズ。
どこか紅潮した顔で、グッと目を閉じる。
「……リズ、別に目を閉じなくてもいいぞ──大丈夫。俺の言う通りにして」
「は、はい……!」
そう。気を楽にして……。
初めての経験にリズの顔が紅潮し、息が少し上がる。
どうすればいいのかわからずモジモジしているところにクラウスがニコリと笑いかける──。
大丈夫。誰でも通る道だよ──と。
……そのまま、ゆっくり──────。
「ス
「ス
ゴンッ! ゴンッ!!
「いだ!」「いったぁ?!」
「おーい! 何だこのやらしい雰囲気は!!」
あぁ?! なにすんだよ、馬鹿メリム!?
「何すんだよ、じゃねーよ! なんで二人してハァハァ言ってんだよ?! きもちわりぃーなーもー。ただのユニークスキル検証するための『ステータス確認』だろ?」
腰に手を当てて仁王立ちしているメリム。
「う、うるっせぇな──。誰かにバレたらどうすんだよ。こういうのはあんまし人に見られていいもんじゃねーんだよ!」
「ばーか! どうせ、ステータスは本人にしかみえねーっつーの!」
……そりゃごもっとも。
「そ、そうなの?」
「さっき教会でクラウスが言っただろ?! ったく、ほら──頭に念じてみろって。こう──」
ステータスオープン!
ぶぅん……。
メリムの周囲に空気位の震える音。
どうやらステータス画面が起動しているらしい。
「って感じだ。ほら、やってみろよ」
「おい! 俺が──」
「え~っと……ステータスオープ~ん!」
──リズさぁん?!
ブゥン……!
※ ※ ※
レベル:1
名 前:リズ・エンバニア
スキル:【
Lv1⇒近親者クエスト表示
Lv2⇒????
● リズの能力値
体 力: 5
筋 力: 4(+50%)
防御力: 5
魔 力: 26
敏 捷: 9(+50%)
抵抗力: 12
残ステータスポイント「0」
スロット1:料理Lv6
スロット2:忍び足Lv4
スロット3:なし
スロット4:なし
● 称号「お兄ちゃんッ子」
⇒重度のブラコン。兄がそばにいるときの回復速度150%上昇
ステータスのうち、敏捷、筋力が上昇
〇 臨時称号「あざとい」
⇒隙あらば好意を寄せる者にくっつこうとする者。
「隙だらけの異性」への好感度が上昇
※ ※ ※
「──で、出た。でたよ、お兄ちゃん!」書き書き。
教会でもらった紙に追加で書き込んでいくリズ。
「……うん」
そりゃ出るって……。
出るけど──リズさんや、明け透け過ぎじゃないか? おいおい。
「えへへ、これが私のステ──……」
ピシリと、書き込み中──硬直するリズ。
「……り、臨時称号??」
「お、おう。たまに条件を満たすと出るぞ? すぐ消えるけどな、色々付加がついてお得な時も、損するときもあるんだこれが──」
「ぎ……」
「「……ぎ?」」
──ぎぇぇぇええええええええええええええ!?
リズの口から乙女の物とは思えない凄い悲鳴……悲鳴だよね今の?
「ち、ちちちちちち、違う!! 違うからね! お兄ちゃん!! わ、わわわ、わざとじゃ──」
「ビ、ビックリしたー。お前の妹、すげー声出すなー」
「はっはっは。そうだろうそうだろう。リズは可愛いんだこれが」
「いや……可愛いとかそーいう話じゃ……」
ええがな、ええがな。
可愛い妹にくっつかれて悪い気のする兄などおらぬッ! キリ!!
「あーだめだ、こりゃ」
「ちーーーーがーーーーーーーうーーーーーーーのーーーーーー!!」
メリムは呆れて首を振り。
リズは悲鳴を上げて、ボロッボロの中を駆け抜けていく。
「はっはっは! ういやつよのぉー」
「……もう、やだこの兄妹」
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