第42話 吸血鬼メレスの流浪19

 頭を掴まれ引き剥がされる私。


女  「今のは?! 」


ショタ「いつまで飲んでんだよ。全部吸い出す気か? 」


 若干しおしおになった彼がつぶやく。


女  「今の…光景は…」


ショタ「なにそれ」


 本気でキョトンとしている。彼は私に覗かれたことに気づいていない。あの夜、私にしがみついて震えた原因はコレか…

 姿勢を正す。表情も正す。


女  「あんなに乳! 乳! 言ってたのに一番最初に来る要求が<怖い夜>って……怖い夢はいつも見るの? 」


 瞬時に彼の顔が強張る。


ショタ「だいたいは年1だ。…10日ほど家空けたときあったろ?毎年あれぐらいの時期だ。……まぁ今年はぶり返してお前に醜態バレたわけだが……」


女  「来年は…いえ、これからは必ず私が付き添いますから」


 抱きしめられるしょた。


ショタ「? お、おう……?」


 わけがわからずビビる彼。


女  「そういえばまだ君の名前を聞いてませんが」


ショタ「それな……そうだ。お前が名付けろ。奴隷最後の仕事だ」


 かなり考えて、つぶやく。


女  「………………メレス」


 彼がちょっと引いた


メレス「ちと陽側すぎねえか? そんな善人じゃねえだろ…」


 君が私を拾い上げたあの日から、君は私のメレスだよ。


女  「ぴったりですよ」

女  「私にもつけてくださいよ。いつまでも<お前>とか<おい>とか言わないで」


メレス「…………ガ(乳)……いやチューラ(胸)?」


 あ????


メレス「……ライム…は?」


 フムン


ライム「まぁいいでしょう」



    ●



 ふと気づくと辺り一面食いかけの死体と血の池。


メレス「ここまで派手にやるとしばらくこの辺には居られんな。あの家も今日で終わりだ」


ライム「これから何処へ? 」


メレス「さあな……これからはまだ弱いおま…ライムを守りながら、かつ大量に必要なライムのエサも狩らにゃならん。身体が作り変わるまではかなり弱いからな。じきに始まるが、その間の渇き(食欲)はやべえぞ。獣だよ。これが少なくとも数十年かかる」


ライム「メレスも毎日ヒト殺してるんじゃ? 」


メレス「あれは嗜好だよ。急にお…ライムを拾ったから急遽周辺治安を上げる必要もあったが……年月を得るほど血肉は10日に一回、月に一回、年に一回で十分になる。 忙しくなるぞ。朝なんかすぐ来るからな。要る物だけ持ってさっさと出るぞ」


 ライムとメレスは大急ぎで家に戻って荷物をまとめる。といってもメレスに荷物など無い。武器は自分の爪と肉体、昼間の隠れ家も地面を掘って埋まるか水中・川底に沈んでればいいだけだ。(ちなみに呼吸もしない)


 結局その夜(日)は間に合わず、今までの家で一泊した。

 翌夜(日)。当ての無い放浪の旅が始まった。

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愛、鉄、ヴァンパイア、銃、魔法、彼ピの願い、andE。 エクス匠 @takumi2501

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