第37話 吸血鬼○○○の流浪14

 いつものように街まで買い出しに来ていると。


男  「お前がガキに仕えてるって女だな?」


 立ち塞がる怪しいおっさん。えっ、誰?!


女  「なんですかっ?!」


男  「おい。こいつで間違い無ェんだろうな?」


野盗1「へえ! この女で間違いありやせん! 俺の兄貴もこいつの連れ子のガキに殺られたんでさァ!」


 こいつはいつぞやのゴロツキ! まだいたのか!


男  「つーわけでお前はヤツを釣り出すエサだ。来て貰うぜ」


 掠われた私。



  ●


 

 少年と奴隷女の家。

 あいつ遅えな…今日はすぐ戻るつってたのに…


 ゴン!!


 壁になんか当たったな。なんだァ?

 石だ。なんか巻き付いてる。布?なんか書いてある。なになに?

『女は預かった。次の場所の来い』だとォ?舐めてんなァこいつ…



   ●



 夜。

 普段はなんの変哲も無い荒野に今、突如最悪の村が出現した。殺し屋、詐欺師、スリ、追い剥ぎ強盗、住民は全員がガラの悪い連中。いまここに近隣一帯のワルが集結したのだ。その集団の中央に簀巻きに縛られた奴隷女がいた。その横には、女の拉致を命じた今回の首謀者にしてこの集結の主催たる盗賊団カシラがいた。


盗賊頭「おい! 呼び出し文はちゃんと送ったんだろうな?こちとらアレ1枚書くのに筆書屋に高ェ金積んでんだぞ」


手下1「へェ! しっかり(建屋の)中に居るのも確認しやしたぜ! しっかし本当にあんなガキがやったんで?」


盗賊頭「あァ間違い無ェ。そうだろうあんちゃん?」


 呼ばれたのはひょろりとした、見るからに姑息そうな男。いつぞやのショタと奴隷女を襲って返り討ちにあった奴だ。


野盗1「ああッ! 忘れもしねえ! そこのバカでかい女! その連れの髪の白いガキ! そいつだ。そいつが俺の兄貴を素手で嬲り殺しにしたんだ。今でも思い出すと震えが来るぜ。馬乗りで俺を見下ろす何の感情も無ぇあいつの顔……ナリは小せえガキなのにビクともしねえあの怪力…………面通しは終わったんだ! 俺はこれでずらかるからな!」 


 盗賊カシラは失望を隠さず告げる


盗賊頭「腰抜けに用は無ェ。とっとと失せな」


 カシラは集まった群衆を見回し、声を上げる」


盗賊頭「いいか野郎共ォ! 毎夜毎夜俺たちを襲ってきたあのクソ野郎をついに突き止めた! 今回は同じ被害に遭ってるヨソのシマ(縄張り)の連中にも集まってもらった! 殺られた仲間たちの仇、今夜ここで晴らすぞォ!!


 響く鬨(とき)の声。唸りを上げる群衆たち。その中から現れる小さな影。


ショタ「俺を呼んだか?」

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