第33話 吸血鬼○○○の流浪10

 鏡を買ってきてからというもの、その日の夜は旦那様は外出もせず一晩中ご自分の顔を見ていた。行ってから知ったが、ほとんどの鏡は注文を受けてから造るもので、しかもあんなにあった大金でもまだ足りなかった。手に入ったのはたまたま工房に転がってた旦那様の小さな手のひらよりもさらに小さな小石のような鏡のカケラだけだった。当然表面の磨きも甘い。それでも旦那様は文句どころか何も言わずにウンウン唸りながら、ぶつぶつ言いながら、自分の目の色を見ていた。



  ●



 数日のち。


女  「それどうしたんですか」


 そこにはお盆サイズの大きな鏡があった。ちゃんと白いやつで、(銅とかじゃない意)当然のように鏡面のキレイさは私が買ってきたやつとは比べものにならない。


ショタ「盗んだ」


 ええぇ……

 旦那様はしばらく目の奥を見やり、角度を変えたり、まぶたをめくったりしていると


ショタ「飽きたな」

ショタ「お前これ使っていいぞ」


 そう言って私に押しつけてきた。そのまま旦那様はまたいつもの様に寝っ転がってしまいました

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