第15話 魔導評議城塞アトランティスの襲来 4

空中船が発進した。かなりのスピードのはずなのに原理は不明だが風圧は感じない。マジカルバリアー(シールド)か。

進路は太陽と地形からしてたぶん真西進。

上を見る。懸架ケーブルの根元ではハッチを開けっ放しにして今も白スーツモブがさっきのマジカルライフルでこっちを狙い続けている。

左を見る。空中船のもう一隻が檻に高度を合わせて併走している。甲板デッキからも舷窓からも兵士どもがずらずら並んで狙い続けている。

右を見る。ミナ陛下だ。今日も宇宙最強の美少女だ。


●〇


眼下の地形が変わる。アフリカ大陸北海岸沿いに進んでいたのが途切れる。つまりもう大西洋に出たってコト。すさまじいスピード。

陸地が見えなくなり、つまり水平線距離に出たところで変針、南寄りの進路になった。どうやら陸地アフリカ・イベリアの住人には真西進し続けたと思わせたいらしい。


ミナ 「で。ジュウって何?」


えっ???あぁ・・・さっき(14話)の続きか・・・


サアム「銃ってのは弾・・・小っちゃい矢を飛ばす射撃武器ですよ。形と持ち方で銃だと思ったんですけどね・・・もっと強い全然違う魔法武器でした」


ミナ 「どう違う?」


ぐいぐい来る


サアム「・・・銃だったら射る(撃つ)とデカい音と火(光)とともに弾が飛んでいって的の身体を貫通、又は体内で止まって内蔵をぐちゃぐちゃにしますね」


投石と弓矢しか投射武器を知らない相手だ。単語を選んで話す


サアム「でもアレには音も火も出ない。夜なら全く気付かれずに射殺せるでしょうね。それに傷口を見ましたがどうも弾が飛んでいくわけじゃなさそうだ。打ち落とすのも無理そうだ」


ミナ 「アレ作れないのか?お前もなんか色々変なのを作ってるじゃねえか」


サアム「私は今日初めて魔法とやらを知ったんですよ・・・現物を奪ってきたとしてもサッパリですよ」


ミナ 「今思ってることは?」


サアム「アレ絶対欲しい。あのヘルメットとスーツも欲しい。間違いなく通信機入りだ。もちろんこの空飛ぶ船も欲しい」


ミナ陛下が苦笑する。ヘルメット越しでもわかる動き。


ミナ 「お前も連行されてんのにカケラも死ぬと思ってないのな」


サアム「正直そこは私にはどうにもならんし諦めていますよ。でもまぁ人間死ぬときは死ぬんで。

それに。

サアム「・・・それに今生、特に陛下と出会ってからのこの3年は最高でしたから。楽しかったですよ」

もともと俺主観では今生コレは死後のボーナスロスタイムだしな

サアム「人間ヒトの身である私は必ず陛下より先にくたばる。それがちょっと早まっただけですよ」


ミナ 「永遠の命は欲しく無いのか?お前も知っての通り私はキュウケツキ(サアムウト命名。日本語)を作れるワケだが」


サアム「もう遅いですよ。今なってもなり立てじゃあ日光浴で即死。そもそも我らを捕まえてるのは大ベテランの陛下を殺そうって連中ですよ」


ミナ 「それもそうか・・・まぁ、お前は頭はおかしいが正真正銘エジプトたみだ。私の守護対象だ。なんとか生かして帰せるようがんばるからよ」


サアム「その気持ちは嬉しいですよ。期待はできないですから」


次回、今度こそアトランティス本土到着!待て明日!

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