第14話 魔導評議城塞アトランティスの襲来 3

ミナ 「まぁ・・・気持ちは嬉しいよ。でもちょっと静かにしてくれるか?」


できるだけ平静を装ったが顔面のニヤけは抑えきれなかった。ヘルメットマスクが無かったら終わりだった


ミナ 「この元気な兵士はおいといて・・・クレイタルよ。お前余を殺せる勝算はちゃんと持ってきたのか??」


クレイタルが姿勢を正す


クレイ「たしかに我々には昼間の貴方から衣服を剥ぎ取ることすら遠すぎる目標でしょう」


私の殺し方はもうバレてるみたいだな。とミナは思案する


クレイ「ですがこういうのはどうでしょう」


クレイタルがミナに向けていた棒状の武器を周りの兵士に向ける。左腰に下げていたもう1本も抜いて左右2方向に1本づつ向けた


クレイ「そこの兵隊フイさんたちは死ぬ気十分なようですが貴方ミナには耐えられない。貴方の守る対象は地面でも立派な宮殿でもない。人でしょう?」


クレイタルの口撃は当てずっぽうはったりだったが正解であった。


ミナ 「その棒で何が出来るのか知らんが、甘く見てもお前が3人目殺すまでには八つ裂きに出来ると思うけど」


サアム「陛下!あれは銃です!!」


サアムウトが叫んだ瞬間。正確には叫び終わる前にコトは始まり、そして終わった。

ミナ陛下の周囲を固めていた兵士たち8人。

白スーツ宇宙人クレイタルを囲んでいた兵士たち10人。

ミナ陛下の真ん前で肉盾となって射線を塞いでいたフイ。

その全員が一斉に倒れた。

ほとんどが胸に拳大の大穴を空けて即死。金属胸当てを着けていたフイだけはまだ息があるが間違いなくもう助からない。

音も光も無く、全19方向を同時に撃ち抜いたのだ。射線の後ろにいたミナやモブたちには一切被害を出さずに。


クレイ「この場に居る程度(数十人)なら貴方ミナが私の首を引き千切る前に全員殺せますよ。もっとも本当にやるなら一旦空中に退避して身の安全を確保してから爆撃しますけどね」


弓か投石投げ槍くらいしか飛び道具が無いエジプト側にはなにもできない。ミナはひざまづき、フイを抱きかかえる。


ミナ 「フイすまん・・・余はお前を助ける手段を持っているのにこの状況ではそれも出来ん・・・」


フイ 「??・・・・・・いえ・・・陛下・・・どうか・・・我らのエジプトを・・・守ってく」


死んだ


ミナ 「サァァァァァァムゥゥゥゥゥゥトォォォォォォォォッッ!!!」

ミナ 「テメエ!あれが何か知ってんなら先に言えやッ!!」


サアム「お前こそ魔法知ってるんじゃねえのかよッオイッ!!」


ミナ 「・・・・・・・・・次からは思ってる事その場で言え」


立ち上がるミナ


ミナ 「さてクレイタル。要求はなんだったかな?」


戦闘の構えのまま待っていた白スーツ宇宙人クレイタルが応える


クレイ「ここで自死するか降伏してください」


ミナ 「・・・・・・それやればエジプトには手出さないんだな?」


クレイ「そこは誓いましょう」


ミナ 「わかった。降伏だ。この身、好きにしろ」


サアムウトと周囲の大臣たち兵士たちが揃ってざわめく。

クレイタルの後方に散開していた白スーツのモブたちが集まりミナ陛下を囲む。同時に上空の船の片方が降下、青い金属製のゴンドラ状だが実質檻を懸架してくる。ミナ陛下がそこに入れられる。


クレイ「サアムウト君。君もです」


ミナ 「オイッ!そいつはどう見ても【エジプト】扱いだろッ」


クレイ「君にはミナコレの最期を見届けてもらいます。命と待遇は保障しますし帰りも送りますよ」


さっきの会話からして1000%嘘だろうが、どのみちもうこっちには抵抗の打つ手が無い


サアム「わかったよ・・・」


ミナ陛下とサアムウトの二人で檻ゴンドラに乗り込んだ。中は意外にもちゃんと座席があり(しかもクッション付きシート)思ったより良い待遇だった。床も壁も天井も穴あきの格子状の檻。隠れられる死角は全く無い。

こうして俺と陛下の処刑場への旅が始まった



次回アタラシア(アトランティス)本国の恐怖・・・

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