第6話  シヴィライゼーション 難易度:天帝/文明:エジプト ターン0

その後はお互いの手札を交換した。ミナの強さはどれくらいか、今の国外情勢、ミナの弱点の詳細、国内情勢、これからのこと、いままでのこと。そして。


   ●


サアム「ハイッ!じゃ、やっていきますエジプト救済。現在エジプト圏には自称ファラオの独立国が3コ自称国家のマフィア集団が1コありますんでこれを全部喰っていきます。そのために先週ゴロツキ・盗賊をつかまえまくって作った鉄砲玉吸血鬼がこちらになります。」


ドンッ!


サアム「ご覧の通り自我は完全に消失しており自殺すら命令できるという処分にも困らないお手軽ユニットですね。操縦は事前の単純なコマンド入力又は親吸血鬼のリモート操縦のみで大したコトはできませんが今はこれで十分です。これを全部突っ込ませ皆殺します。これだけでマフィアの国は消滅しました。おとといのコトです。」


チェックポイント


サアム「次に自称含むファラオが立てた分裂国ABCですが弱い順に潰します。まずは下エジプト(ナイル川上流地方。ヌビア)のCですね。昨日やりました。」

サアム「次はワス(テーベのこと)の神官勢力に担がれたファラオBです。これも<やっていき>です。今日やりました。」

サアム「いやーこの機動力と強さ!吸血鬼最高っすねえ!明日はついに王都で本命、ラムセス(ラムセス4世のこと))をやります!」



    ●


夕暮れ直後。ミナが王宮前に立つ。合図で一斉に完全支配型ザコ吸血鬼を突入させる。テーベ陥落ですら昨日のことでありまだ何も知らないここの人間は何が起こったかもわからず蹂躙されていく。ゆっくりと歩くミナ。

宮殿内を眺める。

ウセルに付いて何度も来た場所だ。壁の塗装は剥げ、柱はヒビだらけ。三十と数年。たったそれだけでここまで荒廃するのかと驚く。あの世界最大の王国が、史上最大の繁栄を誇った国が、ウセルの愛した国は王が死んだらこの程度なのかと思うと怒りが沸いてきた。そもそもなあにがラムセス(3世)だ。血筋も全然別のくせにウセルにあやかりやがってよォ。

王座に着いた。


ミナ「この国がこんなんなってるのはお前たちにも責任がある」


今も吸血鬼たちの狩りによって絶叫悲鳴が絶え間なく鳴り響いている


ラムセス4世「なんなんだお前は?!何が起こってるんだ?!!」


ミナ「なぜウセル・マート・ラー・セテペン・ラーのようにやらない?」


ラムセス4世「やっっっってるだろッ!なのに東も北も攻めてくるし!国内も反乱起こすし!神官どもは言うこと聞かんし!いっぱいいっぱいなんだよッ!!」


ミナ「もういい。エジプトの事はエジプト人がやれと信じた私が間違いだった。後は私がやる」


手刀一閃。首を飛ばす。それを持って入り口まで戻る。

外には騒ぎを聞きつけた群衆が集まっていた。怯えと不安。またクーデターか何度目だという諦め、また国が荒れるという絶望の顔。顔。顔。

ここでラムセス(4世)の首をかかげる。


ミナ「勝利に輝く雄牛。マートに愛さるエジプトの守護者。異国の征服者。年を重ね、偉大なる勝利を誇り、上下エジプト両国の王。ラーの真実は強し、ラーの選ばれたる者。自然現象を司る者。ウセル・マート・ラーに愛されたる者。アメンに愛されたる者。余はミナ。お前たちのファラオである!」



ギリシャの歴史家ヘロドトスは著作[ヒストリアイ]2巻にてこう記している。

「この年、エジプトは乗っ取られこの恐怖の怪物の支配は今も続いている」

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