第4話マドンナは生徒会長で僕のことを好きすぎる
すらりとした生足が魅力的な猿田彦椿は僕の顔をみるとにこりと微笑んだ。
花のような美しい笑顔だった。
とびっきりの美形の顔を僕にぐいっと近づけ、耳元でささやいた。
「また、あなた方一緒に登校ね。うらやましいわ」
「まあ、腐れ縁というわけですよ」
と僕は答えた。
「ちょっと、椿会長‼️」
そう言うと椿のあまりの美形にうっとりとしている僕の体を桜と梅は引き離した。
あー残念。
それにしても椿の体からはいい匂いがしました。
猿田彦椿は僕の通う高校の生徒会長である。眉目秀麗にして容姿端麗、おまけに学業優秀と三拍子そろっている学園のマドンナである。
実はそんなマドンナな彼女は僕の遠縁にあたる。
僕の祖父の弟が椿の祖父にあたる。
高校に入学して、彼女と友人になり、そう教えてもらったときはかなりの衝撃を覚えたものだ。
そんなマドンナで生徒会長の椿は何故か僕のことを気にいっていてなにかと話かけてくる。
チャイムが鳴り出したので僕たちは急いで教室に入ることにした。
毎日桜と梅が騒がしいので遅刻寸前になる。
まあ、こういうのは嫌いじゃないけどね。
急ごうとしている僕は、その時、感じたことのない異様な気配を覚えた。
背筋が凍るといったらいいのだろうか。
まるで氷の手で心臓をわしづかみにされたような感触だ。
気持ち悪くなり、吐き気を覚えた。
一人の少女が僕たちの前を通った。
闇が人格を持ち、受肉したのではないかとその少女を見て思った。
薄暗い、黒いもやもやがゆっくりと歩いている。
やがて通りすぎていくにしたがってその不快感は遠ざかっていった。
ボリュームたっぷりのおっぱいでふらつく僕を梅はやさしく受け止めた。
梅のやわらかなおっぱいはどうやら癒しの効果があるようだ。
すぐに気分がよくなった。
「あれは
と椿がいった。
「なんだか、嫌な空気ね」
桜が言った。
「アッキー、ああいうの昔から感じやすいから気をつけてね」
心配気に梅が言った。
放課後、生徒会室の掃除の手伝いを頼まれ、椿と共にいた。
椿は夏休みが終われば会長職を次に譲ることになっていた。
たつ鳥後を濁さずである。
掃除を終わらせた僕は椅子に座り、椿のいれた冷たいお茶を飲んだ。
冷たさが身にしみわたる。
氷の入ったグラス片手に椿は僕の横に立った。
ふわりと彼女の髪からシャンプーのいい香りがした。
「手伝ってくれてありがとね」
椿は言った。
ごくりと冷たいお茶を飲む。
上下する白い喉に僕は見とれていた。
「お安いご用だよ」
僕は答えた。
「お礼をしなくちゃいけないわね」
そう言うと、椿は椅子に座っている僕の膝の上にまだがった。
突如のことに僕はあわてふためいた。
その間にも椿はぐっと体を近付け、僕の顔を両手で挟んだ。
冷たい、すべすべとした手が心地よい。
またがられた太ももの柔らかい、はりのある感触が心地よく、下半身がむくむくと反応してしまった。
おさえろ、おさえろ。
どう心のなかで念じても体は勝手に反応する。
「犬塚くん、うれしい。私で感じてくれてるのね」
そう言うと椿はその柔らかな太ももを僕のものにこすりつけてきた。
やばい、これは気持ちよすぎる。
我慢できずに僕は完全にぱんぱんに反応してしまっている。
「不思議なの。犬塚くんを見てると私ね、自分をとめることができないの……。これはきっと運命ね」
椿は言った。
さらに顔を近づけ、ぺろりと喉元をなめた。
しっとりとした舌が僕の皮膚をはうことによって体の芯がびりびりとするような快楽に包まれた。
これはまずい、くせになりそうだ。
「犬塚くんには
突然の告白に僕は脳天まで血が登った。
どうして、学園のマドンナはここまでするのだろうか。
不思議で仕方なかった。
コップの氷を一つ口に咥えると椿はそれを僕の唇につけた。
冷たい氷が熱くなった体に心地よい。
それを押しつけ、完全に氷が口の中に入った。
と同時に唇は重ねられた。
なんという極上の柔らかさだ。
それに生き物のように舌がはいってきて、僕の口の中を這いずりまわる。
だんだんと氷がとけ、僕は椿の唾液と一緒にそれをのみこんだ。
甘い唾液に僕の脳はしびれるような快感に支配された。
ガチャガチャという金属音が部屋に生徒会室に鳴り響いた。
「ほんとにここにお兄がいるの」
と桜の声が外から聞こえる。
「ええ、そうよ。なんか掃除を手伝うっていってたけど帰りが遅いわ。もしかしたらあの女狐の毒牙にかかってるかもしれないわ」
答えるのは梅の声。
「それはたいへん。会長美人だからお兄はとりこになっちゃう」
そう桜が言うとガチャリと解錠され、ドアが開け放たれた。
対面座位でディープキスをしている僕たちを見つけた桜と梅は怒髪天となった。
いや、実際髪の毛が逆立っているよ。
二人は猛烈に僕たちに突進した。
凄まじいエネルギーに僕たちは吹き飛ばされ、四人は窓の外に放り出された。
えっここは四階なんですけど。
僕は視界にはいった晴天を見ながら悲鳴をあげた。
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