第3話幼なじみでいとこで婚約者

 柔らかく気持ちいいのだが、息苦しいので僕はその肉のかたまりから顔を離した。


 ぷはーっと新鮮な空気が肺に流れ込む。

 

 息を整えると目の前に丸顔の美少女がいた。

 金髪にツインテール。

 緑の瞳でにこにこと僕を見ている。


 雉野梅きじのうめは僕の幼なじみにして、いとこである。

 彼女の父親は僕の父の高彦の弟である。

 叔父の清隆さんは雉野家に養子にはいったのである。

 ちなみに彼女の祖母がイギリス人であるため、彼女もその血を受け継ぎ、金髪碧眼であった。

 しかも僕好みの超巨乳。そう、これこそ神の与えたもうた傑作ではなかろうか。


「ところで梅、どこからはいってきたんだ?」

 僕はきいた。

「どこってあそこだよ」

 梅はそう言い、白い指で窓をさした。

 昨日クーラーをかけたので、窓をしめきったはずなのに完全に開けられていた。

 梅は窓から侵入したのか。


 えっ、でも僕の部屋は二階ですよ、雉野梅さん。


「まあ、これくらい朝飯前ですよ」

 梅は自慢の巨乳の前で腕を組んだ。

 おっぱいがボインと揺れた。

 いやあ、いつ見ても良い景色ですね。


 その時、どたどたと激しい足音が響いた。

 勢いよくドアを開け、桜が入ってきた。

 この部屋も鍵をかけていたのにどうやって入って来たんだ、桜さん……。


「あー梅子、また勝手にお兄の部屋に入ってきてる‼️」

 朝から耳がいたいほどの大声で桜は言った。

 いやいやあんたも勝手に入ってきてるから。

「あら、おはよう、桜さん」

 優雅に梅は答える。

「あんたいつもいつも、勝手にはいってきて」

 桜は乱暴に梅の胸元をつかみ部屋から追い出そうとする。

 あら、胸元のシャツのボタンが外れて深い深い胸の谷間が見えたじゃないですか。

 これは眼福ものです。

 いやあ、ほんとに梅の胸の谷間は立派です。

 人間グランドキャニオンといえます。

「あら、桜さん。私とアッキーは婚約をしているのですよ。あれは忘れもしない十二年前、アッキーは確かに梅ちゃんと結婚できなければ死ぬって言ったのよ」

 ええ、確かに言いましたよ。

 幼稚園の時です。

 若気のいたりというやつですよ。


 梅は桜の形の良い胸元をつかみ返す。


「はあ、あんた何そんな昔のこといってるの。現在一緒に住んでるのは私なんだからね。同じ屋根の下に住んでで、姓も同じ私の方が上なんだからね」

 桜は勝ち誇ったように言う。

「何よ、あんたなんか赤の他人じゃない。私は赤ちゃんのときから一緒に育ったいとこで幼なじみで婚約者なの。私の方が上よ」

 梅が巨乳を揺らしながら反論した。

 それにしてもよく揺れますね。

「何よー‼️」

 二人はほぼ同時に喧嘩を始めたが、それはすぐに終わった。


「あらあら、梅ちゃん、おはよう。今日も元気ね。良かったら一緒に朝ごはん食べていきなさいな」

 おっとりとした口調で陽菜さんがあらわれ、そう言った。

 ボディラインにきれいにはりついたエプロンがとても素敵です。

「あら、お母様、おはようございます」

 急にしおらしくなり、梅は乱れた衣服を整えた。

 肩すかしをくらった桜も姿勢をただした。

「ほら、桜もはやくご飯を食べてしまいなさい」

「わかったよ、母さん」

 と桜は答えた。



 僕たちの通う高校は、電車で二駅の距離にある。

 通学時間はざっと三十分といったところだ。

 校門のところで僕たちを出迎えた人物がいた。


 背の高い、スタイル抜群の女性だった。

 身長は僕と同じ一七五センチはあるだろう。

 黒い艶のある髪と切れ長の瞳が印象的だ。

 まるで貴族のような気品と威厳をかもしだしていた。

 梅のような特大巨乳というのではなく、理想的はおっぱいをもつその姿は美の女神のようであった。

 ほんとに惚れ惚れするような美人だ。

 桜も梅も十分に美少女だったが、この校門に立つ彼女には一歩およばないと僕は思っている。

「やあ、おはよう。犬塚くん」

 どこかの歌劇団の女優のような透きとおる、良くとおるいい声で彼女は言った。

 ほんとに良い声だ。

 将来、声優になったらいいのに。

「おはよう、椿さん」

 椿こと猿田彦椿に僕は挨拶した。


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