第21話 まだまだ終わらない

 幸い、この目の症状については、内科の先生と相談しつつインスリンの量を調整することで、徐々に回復していった。眼底写真でも血管の出血痕消えていったし、視界のブラックアウトポイントも減っていった。これらは、明らかに血糖値が急激に上下した結果であり、むしろこの程度で済むとしたらかなりラッキーなほうだと思う。

 そう、私はラッキーだったのだ、と思い始めた2018年11月、今度は謎の激痛が私を襲った。それは始め肩こりみたいなものだった。背中の、肩甲骨の下あたりが前からよく凝って、妻に押してもらったりすることは少なくなかったのだが、その痛みがどんどん悪化して、背中全体に広がっていった。そして11月の下旬、ついに動けなくなった。

 その日は大事な会合があるからと無理に出勤しようとする私を、妻は最初から止めたが、止められなくてももう痛くてほとんど起き上がれなかった。

 前に世話になったT病院の担当医に連絡すると、すぐに連れてこいということになり、私は義理の妹の車の後部に寝かされて、また病院に戻ってきた。ただその時は、玄関でそのままストレッチャーに乗せられ、病室に運び込まれた。入院生活の際スタートである。

 最初の1、2週間は本当に寝たきりで、ご飯を食べるために起き上がることさえ苦痛だった。CT、エコー、レントゲン、骨密度検査、などなど、ストレッチャーに乗せられて病院中を行き来した。外科では自己負担額が3万円もするコルセットをオーダーさせられたが、何をしても回復しなかった。後半は杖をついて歩けるようになり、リハビリ室へ通うようにはなったが、それ以上には治らなかった。

 医師はいろいろな病気を疑ったようだが、やはりこれといった原因は不明で、数値的には正常、背中の痛みということで疑われたすい臓癌も、検査では発見できなかった。

 ここでこんなことをしていても何も解決しないと私は思ったし、医師の一人はここは糖尿病棟だから・・・と漏らした。だから妻に頼んで一旦退院させてもらうことにした。

 杖をついて歩けるようにはなっていたので、少しずつ出勤しながら、針、灸、マッサージ、いろいろ試した。世の中には私のように原因不明の痛みに悩んでいる人がかなり多いということが、そういった店?があまりにも多いことで気づかされた。「ここで効かなかったら、もう無理だろう」と思いつつ、週末ごとにあちこち巡った。が、この時の背中の痛みは相当ひどく、背中に3枚も4枚もバンテリンを貼って、それでも痛みで目が覚めてしまう状態。仕事にも出てはいたが、数時間おきに医務室で横にならなければもたなかった。

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