第8話 聖霊使いの日常 Ⅲ
「ふあぁぁぁ〜〜〜……!!!!イイッ、実にイイッ!!」
「…………」
「あ、あの……ア、アリエラさん……!」
「イイわぁ〜〜……!ほんとっ、食べちゃいたい!」
「ひゃあ?!」
現在、イチカとリオンの二人は『なんでも屋』としての職務を遂行中であった。
食事処『ナボリ』での勤務は昨夜終えて、本日の朝から始めた仕事は、服飾店を営んでいる女主人……アリエラの所でお手伝いだ。
店に入った瞬間、店主であるアリエラはいつものようにイチカに挨拶して、あれこれ仕事を頼んできた。
その内容は、別室に保管している生地の片付けや運搬などなど……。
アリエラという人物はこと裁縫や刺繍に関しては右に出る者がいないと言われるほどの実力の持ち主であり、かつては帝国内における上級階級の国民達が、彼女の制作した服飾をこぞって買い求めていたらしい。
たしかに腕は超が付くほどの一流。
その技術や才能は、生まれながらに持ち合わせたセンスだけでなく、絶え間なく続けてきた研鑽によるものだというのがよくわかった。
しかし、そんな超一流職人でも苦手なことが存在する。
それは……。
「あ、あのアリエラさん」
「ん?なぁ〜に?リオンちゃん♪」
「えっと、片付け……始めても良いですか?」
イチカ、リオン、アリエラの三人しかいないはずの作業場。
しかしそこは、足の踏み場もないほどの散らかり様だった。
何かで使ったのであろう布の切れ端が散乱し、既に9割方完成しているであろう衣服や、まだバラした状態で放置されている物が散乱していた。
そう、アリエラは俗に言う“片付けられない人”なのだ。
自身の創作意欲に対してのみ従順な性格のためなのか、それ以外の事にはまったく興味を示さない。
それ故か、依頼された衣服の完成が遅れる事も多々あるらしく、先方からは何度も何度も注意を受けている様だが、一向に治る気配はないそうで……。
自身の作りたい物……興味を唆られる物にしか目をかけない。
何というか……純粋な職人気質の人物なのだ。
それ故に、片付けも放置して作業をしていたところに、イチカとリオンが入ってきた瞬間、リオンの姿を捉えたアリエラは、すぐさまリオンの周りをグルグルと回り始め、彼女の観察を開始したのだ。
「あ、あの……お掃除……」
「いいの!それはイチカ君にやってもらいましょう!
あなたはこっちに来て!」
「ええっ?!」
アリエラに引っ張られる形で作業場の奥に移動。
そこにはすでに完成してある服が複数あり、全てハンガーにかかった服はすべてジャンルが違うものばかり。
清楚系を意識したオーソドックスなワンピース、セクシー系をしたミニスカートや肩出しのシャツ。
体のラインを際立たせる服があったり、パーティーなどで使われるであろうパーティードレス。
ファンタジー小説に出てきそうなゴシック系のワンピースやドレス。
これらの服は顧客に依頼された物ではなく、アリエラが創作する際にイメージを固めるためのサンプル品らしい。
どうやら今から、アリエラ主催のリオン着せ替えファッションショーが始まるらしい。
「ええっ?!で、でも!」
「いいから!まずはこのドレスよっ!私のインスピレーションを刺激しそうだわっ!」
「え、えっとえっと……!」
「リオンちゃん、掃除は俺がやっとくから、アリエラさんの相手を頼む」
「イ、イチカさん?!」
「こうなってしまったら、アリエラさんは止まらねぇんだわ」
「そ、そんなーーーー」
「ほぉらっ!早く着替えて着替えて!!私の創作欲を刺激して頂戴なっ!!!」
「やっ、ちょっ!?自分で脱げますからっ!!?」
「さてと……まずは作業台の上をやっとくか……」
「イチカさんっ!助けてえぇぇぇ!!!!」
リオンからの救援は、とりあえず保留する事にして、イチカは二人がいる部屋の襖を閉めた。
いま二人が陣取ってる場所は、アリエラの作業場兼自宅の居間にあたる場所らしく……。
現場は布切れや紙屑で床が埋め尽くされているため、ほぼほぼカオスな状態なのだが、創作中にあれこれ片付けるとアリエラは不安を露わにする。
なんでもようやく掴みかけたインスピレーションが、物音や視界にチラつく姿で吹っ飛んでしまうらしい……。
それはある意味天才や秀才達の領域に踏み込んだ者たちの境地にも似ているのだと思ってはいたが、そんなに不満を出すならそもそも部屋を自分で片付けられるようになれよ……と思ってても言えない。
今回は申し訳ないが、リオンにつきっきりでやってもらおう。
大丈夫だリオンちゃん……。こんな苦難、君ならば絶対に乗り越えられる筈だ……たぶん……。
若干の不安は残るものの、イチカは急いで作業台と、店の入り口付近の清掃を開始する。
作業台の上にはもちろんのこと、その下にもハサミで切ったボロボロの生地や針などが散乱し、おまけに糸くずやミシンのパーツなどもあちこちに転がっている。
「はぁ……なんど掃除しても変わらねぇな……」
アリエラの作業場に入ったのは初めてではない。
何度も掃除しては荒らされて、何度も掃除しては荒らされて、何度も掃除しては荒らされて……。
その繰り返しなのだ。
しかし、それで依頼が来るのだから仕方がない。
報酬もちゃんともらっているし、もはや常連客にまでなっている為、今さら断りづらい……。
「仕方ない。とっとと始めるか……」
イチカは覚悟を決めると、そそくさとボロ布を拾い集める。
なるべく同じ色合いの物同士を小箱に詰めていき、ゴミにしかならないような糸くずや布切れはゴミ袋に直行。
ミシンで使うパーツや刺繍針、縫い針、マチ針などを集める。
「ほんと、針はちゃんと針山に刺しといてくれよ……」
金属の針が足元に落ちているのはいかがなものかと……。
職人としても、人としても……。
それも散々言ったのだが、アリエラは一向に改善できないでいる。
イチカは深いため息を吐きながら、右手を地面にかざす。
「もう面倒くさい……ちゃっちゃと終わらせよう……」
そう言ってからのイチカの行動は早かった。
ものの数十分で足の踏み場のなかった床が、本来の姿を表して見えるようになり、落ちていたゴミは捨て、布切れは色別に纏めておいて、ミシンのパーツも各種の針も全て取り揃えて収納箱に戻しておく。
ここまでやれば、早々に散らかることもないだろうと思いたいが、アリエラはこれを一週間で全て元通りにしてしまうので、また依頼が来るのが目に見えてしまう。
その後、イチカは作業場とは別の場所へと赴く。
その場所とは、台所をだった。
アリエラは基本的に料理をしない。
食事はいつも外食らしいし、家には食材どころか、包丁一本もない。
しかし、イチカがここへ手伝いに来るようになってからは、イチカが鍛冶屋のグランに頼んで、包丁や鍋などを作ってもらい、まな板を買い、食材はアリエラの懐から拝借したお金で調達。
簡単で手軽に食べれるものを二、三品作っておく。
これもまた、アリエラからの依頼の一つ。
暖かいご飯が食べたい……。
ここまで来ると、もはや子供だと思ってしまい、もう抵抗する気にもならないため、すでに諦めてしまった。
アリエラの店に来る前に買っていた食材は、冷氷庫と呼ばれる物に入れておいたので、それを取り出して、簡単に出来合いの物で調理していく。
結局というか、なんというか……できたものはオーソドックスなBLTサンドウィッチにオムレツ、炒めたベーコンと申し訳ない程度にトマトやレタスを置いている。
出来上がった皿を、作業場の奥……二人が未だに大きな声でやりとりしている居間の前にある専用棚に置いておく。
この専用棚を作ったのも、イチカである。
アリエラとついでにリオンの分も……まぁ、後でなんらかの埋め合わせをしなければならないだろうが……。
「さてと……アリエラさんのところはこれでいいかな……あとはグランさんのところだな……。
また鍛練と……あとは心鉄造りかな……」
アリエラからの依頼はある程度終わった。
あとは彼女自身が満足するまで、リオンが耐えられればいいんだが……。
アリエラのことはリオンに任せて、イチカはグランのいる鍛冶屋へと向かった。
ーーーーーーーーーーーー
「よぉ、イチカ。随分と遅かったな」
「すみません。アリエラさんの所が、ちょっと時間掛かっちゃって」
「あぁ〜……あいつのところはいつもスゲーもんな」
アリエラ宅及び店舗の事情は、周辺に住んでいる住民はもとより、終戦後のアルトランテ自治州に住んでいる者たちならば、誰もが知っている。
お店にやってきた客も、一度はその惨状に驚き、店を後にするが、その店舗こそが、かの有名なアリエラ服飾店だと知ると、驚きと共に店を再度訪れるという流れ。
これはもうここでの常識となってしまった。
「ってことは、連れてくるって言ってた嬢ちゃんは……」
「ものの見事に、アリエラさんのハートを射抜いたんだ……」
「なるほどね……しかし、あんな女の所に嬢ちゃん一人だけ置いてきたのか?
お前も薄情な奴だな……助けてやったらよかったのに……」
「そんな事言われてもな……あーなったら、アリエラさんは止まらないって、グランさんも知ってるだろ?」
「まぁ、な……サーシャもアレで結構大変だったって言ってたしな……」
サーシャとは食事処『ナボリ』の看板娘であり、イチカの目の前にいる男性、グランとは恋仲にある人物だ。
ただ、彼女の親父さんであるナボリの店主は、未だにグランさんを恋人として認めておらず、二人の行方を見守っている状態だ。
グランもグランで、夕食を理由にナボリに足を向けていくが、そのたびに店主に睨まれている。
しかし、この男もタフさでは店主に負けておらず、堂々とサーシャと話し、黙々と料理を食べている。
「それで?依頼ってのは“いつもの”でいいの?」
「あぁ。着替えは奥にある。早速頼むぜ」
「了解」
グランに案内された場所は、言わば作業場と呼べる場所で、グランたち職人はその場所を“タタラ場”と呼んでいる。
そのタタラ場を通り過ぎて、別のドアを開けると、そこは少し開けた空間が出る。
タタラ場に入る玄関と、反対側にある母家へと向かう道以外には、大きく開けた大地しか目に入らない。
むしろ、タタラ場と母家以外にほとんど家屋が存在しないのだ。
そんな場所を吹き抜ける風は、とても心地よく感じた。
それというのも、タタラ場は灼熱地獄と呼んでもいいくらいの高温を発しているため、夏だろうが冬だろうがその高熱は、人の体を容易く焼き尽くすのではないかと思ってしまう。
「相変わらず凄いなぁ……こんな所で一日中作業してたら、その内コロッと死んじゃいそうだ」
「慣れれば大したことはないんだけどな。まぁ、慣れるまでは辛いだろうから、キツくなったら言ってくれよ?」
「うん、ありがとう。今日、親方は?さっきのタタラ場に居なかったようだけど?」
「あぁ、親父なら今日出来上がったのを納品に行ってるんだろう。
昔馴染みのお客らしくてな、自分で持っていくって言ってたよ」
「元気だよねぇ〜親方。もう60軽く越えてなかったっけ?」
「全くだ。いい加減俺に任せてくれって思ってるんだけどな……」
「どうせ『まだまだ現役じゃあ〜』って怒鳴ってるんでしょう?」
「あぁ。『年寄り扱いするなっ!』ってさ……もう年寄りだろうに……」
「まぁ、そう言っている内は死にそうにはないから安心だけどな」
「本当にな。そのままコロッと逝っちまうなんて想像できねぇよ」
グランの親父……このタタラ場の主にして親方と呼ばれている人物。
元々は帝国兵器開発部にいたらしく、主に剣や刀といった近接格闘武器を専門に使ってたらしい……。
その息子であるグランもまた、そんな父親の背中を見て育ったためか、その後継ぎになるために修行的な立ち位置で、今を過ごしているのだ。
「じゃあ、イチカ。そろそろ頼むぜ」
「はいよ」
タタラ場よりも奥にある母屋へと入り、全体が真っ白の作務服を身に纏い、頭には黒い頭巾を被ってタタラ場に戻ってきた。
「今日は俺が依頼してたやつを作ってくれるんだよね?」
「あぁ、刃引きしたやつを二振り……だったか。練習にはちょうどいいし、お前も手伝ってくれるんだし」
「ええ。それじゃあ、よろしくお願いします」
「あぁ、頼むぜ」
そう言って、グランは
それを金床と呼ばれる作業する台に乗せて『玉箸』という別の道具で掴んで、台に固定する。
「よし、いいぞ……!」
「おうっ……!」
グランの合図を聞き、真向いにいたイチカは両手に握った大槌を振り上げて構える。
そして力の限りそれを振り下ろし、熱々になっている鉄を打つ。
ゴォンッ!と鈍く大きな音が鳴り響く。
その大槌を再び振り上げると、今度はグランが小槌で同じ鉄を打つ。
今度はカンッ!と甲高い音が鳴り響き、金床に固定した鉄が変形しているのが分かる。
これは鍛治工程の一つで『鍛錬』と呼ばれるものらしい。
そしてここから『皮鉄造り』『心鉄造り』……この二つの工程でできた皮鉄と心鉄を『組み合わせ』を行い、二つの鉄を合体させていく。
その後、合体した鉄を再び熱して、叩いて伸ばしていく『素延べ』をして、小槌で叩きながら刀身の形状を整えていく『火造り』という工程に入る。
そこまで終えると、イチカの手伝いは終了した。
「ああああっーーーー!!! 暑いっ!!!」
「ふぅ〜……このくらいでへばってちゃあ、鍛治屋は務まらねぇぜ?」
「グランさんと親方がおかしいんだよ……」
「ははっ、これが俺たちの仕事だからな」
「あとはもう『仕上げ』?」
「あぁ……。刃文はつけなくていいんだよな?」
「まぁ、稽古用の剣なんだし、つけなくてもいいんじゃないかなぁ〜って」
「了解。後は俺の方でやっとくから、お前は着替えてこいよ。
『研ぎ』と『磨き』は省略するから、夕方くらいには出来上がりそうだ」
「わかった。じゃあ、一旦リオンちゃんの様子を見てくるよ」
「ああ、そう言えば!」
「ん?」
「何か侘びの品でも持って行っとけよ? あの嬢ちゃん、多分拗ねてんじゃねぇか?」
「うーん……だよね?」
「お菓子か何か買って行っといた方がいいと思うぞ」
「わかったよ。ちょっと値は張るけど、仕方ないか……」
「そうしとけ。じゃあ、また夕方にな」
「はい。よろしくお願いします」
そう言って、イチカはタタラ場を後にした。
母屋で着替えてから、鍛冶屋を出て、再びアリエラの服飾店へと戻る。
道中で見つけたお菓子屋に寄って、リオンを宥めるためのお菓子詰め合わせを買っていくのも忘れずに済ませて、急いで服飾店へと向かう。
一応ご飯を作っておいたから、空腹で倒れているとは思わないが、リオンは疲労で倒れてる可能性があるので、その状況確認のためにも急がねばならない。
「無事でいてくれよぉ、リオンちゃん……!」
アリエラの暴走に巻き込んでしまって申し訳ない気持ちでいっぱいだが、捕まってしまったものは仕方がない。
これも彼女が乗り越えるべき壁なのだ……と思ったはいいのだが、自分にとって都合のいい言い訳だと理解はしているが、やはり申し訳なさの方が勝っていた。
イチカの足取りは少し重かったが、それでもリオンのことを考えると、ここで踏みとどまるわけにはいかないと思い、一気に駆け抜けていった。
「…………すぅーー、はぁーー…………」
アリエラの店の前に到着。
太陽は頂点を過ぎて、少し傾いている時間帯。
今日は朝一からアリエラの作業を手伝っていたから、もうある程度あのスーパーハイテンションモードは収まっている頃合いだろうか……。
あのハイテンションは、アリエラにとっては重要なことらしい。
あの瞬間に、自身の創作意欲が過剰に働き、新たなデザインのインスピレーションが浮かび上がるのだそうだ。
「…………生還は絶望的かな……」
前に一度だけ、イチカ達がお世話になっているミーアがアリエラの餌食になってしまった事があり、その時のミーアもぐったりとして、魂が抜けてしまってるのでは? と心配したこともあった。
(……いや、リオンちゃんはあぁ見えて中々に根性がある娘だし、きっと無事なはずだ……!よし!)
イチカは意を決して、店のドアを開けた。
「…………」
「ふぇ?」
意を決して開けた。
そして、大丈夫だろうかと、ものすごく心配していた人物も、すぐに確認できた。
しかし…………。
「…………ぁぁ」
「は……っ、へぇっ?!」
「ぁぁぁ…………」
結果から言うと、リオンは無事だった。
やはり自身の目は正しかった。
リオンは無事、アリエラのハイテンションモードに耐え切って、依頼をこなしたようだ。
しかし、目の前にいるリオンの姿に、イチカは冷や汗を出して硬直してしまった。
何故なら………。
「イ、イイッ、イチーーーー」
「待ってっ!! ほんと待ってっ!! またしても不可抗力だっ!! 俺は何もやってないぞおぉぉっ!!!」
「イチカさんのバカァァァァーーーー!!!!」
「ぐおわあぁぁぁーーーー!!!!」
リオンの強烈な悲鳴と罵声の両方を聞きながら、イチカの身は遥か後方へと吹き飛ばされた。
アリエラの店のドアは、横にスライドするタイプの物。
ドアの上と下にちょうどハマるように溝が出来ており、そこにうまい具合にハマっている。
そんなドアが、またしてもものの見事に吹き飛ばされ、イチカと共に宙を舞った。
何故にこんな事が起こったのか……。
それは、ドアを開けた先にいたリオンの姿……。
前回はイチカの部屋に間違って入ってきてしまい、それを失念していたイチカが躊躇なく入室したところを、ミーアから借りていたアダルティーな寝巻き姿を見られていたから……。
そして今回は……。
「ううぅぅ……また見られたぁ〜〜……!!!」
「な、なになにっ?!今の爆発音っ?!」
その場でうずくまってしまったリオン。
そして大きな音が気になって、急いでやってきたアリエラ。
その場にうずくまっているリオンの姿と、吹き飛ばされたドアとイチカの姿を見て、アリエラは納得した。
「なるほどなるほど……。イチカくーん、女の子の下着姿は高いんだからねぇーー!!」
「わ、わざとじゃ、ないんですって……ばぁ……」
そう、またしてもこの目で捉えてしまったのだ。
とても13歳とは思えない程に成長した肢体……年頃の少女としてはあまりにも発育のいい肉付きの身体を……。
しかも前回は、強烈な突風を浴びせられただけだったが、今回はなんと聖霊魔導の力を応用したのか、あまり周りを散らかさないよう、空気の塊を作って、それを一気に放出する……いわゆる空気砲で迎撃してきた。
前の時にも死にかけた物だが、今回もまた、強烈な一撃をもらってしまった……。
(くそ……前に食らった時よりも、すげぇ……痛えじゃねぇか……)
直接口には出さなかったが、そこまで思って、イチカは意識を飛ばしてしまった。
その後、アリエラによって宥められたリオンが、イチカを起こして猛烈に謝罪を繰り返し、イチカもまた女の子に対する配慮が足りないと、アリエラに叱責を受け、リオンに土下座して謝罪することになったのは、必然の流れであった。
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