3・Twiiterでほぼ毎日投稿、当サイトでの更新は不定期
・彼女と「あの子」と私
彼女が「あの子」という声はいつだって優しく、けど微かな棘を含む。「あの子」、つまり彼女の幼馴染はそのことを知っているのだろうか。
「しんどいなら一緒にいるのやめたらいい」
「あの子といると頑張らなきゃって思える。自分を律したいから」
自傷行為だ、と喉まで出かかった言葉を飲み込んだ。
・大学生バンドマンと高卒俳優
「ボクさぁほんとキミのことわかんないんだよなぁ」
「そんな話をしにわざわざガッコ抜け出したの?不良め」
「チケもらったから来たんだ。キミのお芝居観に。感謝しろよ」
「じゃ次はお前のライブの動員になる」
喫煙所でタバコも吸わずに与太話。彼女の手には四つ折りにされたフライヤーがあった。
・ガールズ・イン・ザ・ナイトシフト
「ごめん荷物見てて」
彼女はそう言ってバスケットコートに入っていった。普段はいつもだるそうなくせに意外と俊敏。夜勤明けなのに異様に元気だ。寝不足でハイになってるのだろうか。
「煽り耐性、ひっく」
自分が何を言っても彼女に響かない。偶然会った地元の友達の煽りは響く。正直、腹が立つ。
・危ない女とレストランの主人
「一ヶ月後には帰る」
「今回はどんな仕事?」
「君は知らない方がいい仕事」
お馴染みの言葉を返し彼女はコートを肩に引っ掛けた。開店準備をしながらカウンターから華奢な背中を見つめる。
「あんたの好きなメニュー、今年も作るよ。一ヶ月後はちょうど旬だ」
彼女の代わりにドアベルが返事をした。
・半透明の同居人
「いやほら、だってあなた怖くないし。ユーレイが出るからって事故物件扱いで家賃安くなるし、万々歳だよ。だから元気だしなって」自
分は何故仕事帰りに幽霊を慰めているのだろう。若い女性の幽霊はまだ涙ぐみながらもどうにか泣き止んでくれた。
「あなたって変わってますね」
「いやあなたもね」
・あなたで漫画を描きたい
「妹は身体が弱くて。病院に置いてある、病院の匂いがする漫画を白いベッドの妹といつも一緒に読んでた。漫画家は妹の夢だった。すごいね君は。久しぶりに読んだ、好きなのこれ」
早熟な彼女から漫画の話題が出るなんて。彼女はこういった娯楽の類にも、漫画家の自分にも興味がないのだと思っていた。
・図書館の女神様
図書館で今日も彼女は同じ席にいた。その向かいに腰掛け、本を開く。本を読みながら時折彼女を見る。読んでいるのは神話の研究書らしい。見たところ年齢の近い彼女は大学で神話関係の研究をしているのだろうか。
話をしてみたい。研究のことでもくだらないことでもいいから。今日もできそうにはない。
・2021.01.04から2021.01.10投稿分
・彼女と「あの子」と私(三角関係、嫉妬)
・大学生バンドマンと高卒俳優(腐れ縁)
・ガールズ・イン・ザ・ナイトシフト(職場の同僚)
・危ない女とレストランの主人(ヤバい仕事をしてる女とカタギの女)
・半透明の同居人(人外百合)
・あなたで漫画を描きたい(漫画家と一般人)
・図書館の女神様(大学生百合)
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