2・Twiiterでほぼ毎日投稿、当サイトでの更新は不定期

・徒歩女と自転車女


「今日は歩きなの」

「自転車壊れてさ。部活も休みだし久々に歩くぞ」

彼女には少し申し訳ないが、実のところ二人で一緒に帰れるのが嬉しかった。徒歩通学と自転車通学、その上部活に励む彼女とはどうしても帰りがバラバラになる。

「普段も押して歩けば一緒に帰れるか」

不意の一言に、心臓が跳ねた。






・クールな彼女と不安な彼女


彼女が口下手なのは昔からだった。ぶっきらぼうでも優しい人だから、いつ近くに寄っても拒まれない。ただ歓迎されてるわけでもない。そんな距離感でいつまで一緒にいられるのだろう。

電話を終え長い息を吐く。初詣の約束を取り付けただけ。緊張するのは、それだけ互いの結びつきに自信がないからだ。






・同じ血を引く兵士の女と兵士の女


「そのイントネーション××の生まれ?」

「まぁ」

「わかるよ、私も同じとこ生まれだし」

「にしては発音綺麗だけど」

「こっちでの生活が長いから」

彼女が銃に弾をこめる様子をぼんやり眺める。戦地で同じルーツを持つ者と出会った。同じ国民であること以上の、「同胞」という意識に高揚してしまう。






・皆本さんとデキる彼女


自分がいたところで何の役にもたちはしない。たった二人の同期なのに誰よりも才能があって淡々と仕事をこなす彼女に、自分は見下され馬鹿にされているのだろうと、勝手に思っていた。

「皆本さんといると落ち着くんです。素でいられる感じして」

「素……なんですか、今」

彼女は照れたように頷く。






・ダウナー彼女と元気な彼女


意識しないと歳を越したことに気付かない。年末年始にさして興味がなかった、その時期にはしゃぐだけの元気がなかったと言う方が正しいかもしれない。でも。

「ハッピーニューイヤー!フゥー!」

「夜中!上と隣に迷惑!」

やたら元気な彼女と出会ってから、半ば無理やりはしゃがざるを得なくなった。






・独り身おばさんと姪っ子ちゃん


「おばさんは誰に甘えるの?」

脚の間に座り遠慮なく体重を預けてくる姪の質問に、虚を突かれすぐには答えられなかった。二十代なのにおばさんと呼ばれたのがショックだったからではない。

「わたしに甘えてもいいよ」

「大人は子どもに甘えないの」

考えなしの返事に、幼子のなんで攻撃が襲いかかる。






・不死身のエースと整備士の女


「また派手に壊したなぁ」

「祖国に尽くすとこうなる」

機体はどう基地まで戻ってきたのかというほどの損害を受けている。不死身の名を冠するエースパイロットは伊達じゃない。

「直すのは祖国じゃなくてうちなんだけど」

「期待してるぜぇ整備班長サマ」

「やかましい」

彼女は涼しい顔で舌を出す。






・2020.12.28から2021.1.03投稿分

・徒歩女と自転車女(女子高生同士)

・クールな彼女と不安な彼女(友達以上恋人未満両片思い)

・同じ血を引く兵士の女と兵士の女(混血・ミリタリーもの)

・皆本さんとデキる彼女(社会人百合)

・ダウナー彼女と元気な彼女(仲のいい友達)

・独り身おばさんと姪っ子ちゃん(おねロリ)

・不死身のエースと整備士の女(パイロットと整備士・ミリタリーもの)





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