第38話 高井柚実バレンタインSS(カラーイラスト付き)
私と上原さん、相沢さんで放課後、バレンタインチョコを買いにショッピングモールの催事場に来ている。
「うわ、さすがに混んでるわね」
バレンタインチョコを買いに行こうと言い出しっぺの上原さんがチョコ売り場に群がる人混みに顔をしかめた。
「混んでるかもしれないから私はスーパーかコンビニで良いじゃないって言ったのに、遠山にあげるチョコはちゃんとしたのが良いって麻里花が決めたんだから我慢しなさい」
上原さんと相沢さんは友達が多いから義理チョコをたくさん買うみたいで、色々と選べる催事場に行きたいと上原さんが昼休みに相沢さんと私を誘ってきた。
「はぁい……でも、この人混みだとちゃんと選べなさそう……あ、そうだ! 手作りチョコにチャレンジしてみない?」
この人混みに嫌気がさしたのか上原さんが突然そんな事を言い出した。
「手作りって……ロクに料理も作れない不器用な麻里花に作れるの?」
何を言い出すかと思えば、と相沢さんが上原さんにジト目を向ける。
「やってみなきゃ分からないでしょ。それに遠山も手作りの方がきっと喜んでくれるはず……だから決まりね!」
上原さんの中ではもう手作りチョコは決定事項のようだった。
「分かったわよ。柚実はどうするの? 麻里花は本命に手作りを渡すつもりらしいけど私たちは本命がいないしね……」
上原さんの本命は佑希なのは分かりきっているけど、相沢さんは特に意中の人とかはいないみたい。
私は……佑希の顔が浮かんだけど彼に対する思いが恋とかそういうのかはよく分からない。
でも、手作りのチョコを渡したら喜んでくれるのだろうか?
「私はチョコレート作ってみたい」
「高井さんがそういうのに興味示すなんて……もしかして本命⁉︎ だれ? 教えて!」
上原さんは私がチョコを手作りしたいと言ったから本命チョコだと思ったみたいだった。
「本命とかそういうのじゃないけど作ってみたい。私は料理とか作るの好きだから」
というのは建前で本当は手作りのチョコを佑希に渡したかった。
「そういえば柚実はお弁当も自分で作ってきてるもんね」
相沢さんが私がお弁当を持参してる事を思い出し納得している。
「で、誰に手作りチョコあげるの? ね?」
上原さんはどうしても気になるようで何回も私に尋ねてくる。
「遠山くんにあげる。私が親しくしてる男子は彼くらいだから」
「まあ、そうだよね……私も手作りチョコなんてあげる男子いないし遠山にでも作ってあげるか」
相沢さんも手作りチョコは佑希にあげるようで、義理よ義理としきりに言っている。
「それじゃ三人で遠山に手作りチョコを渡すという事で決定! 材料買って帰ろ?」
「麻里花、作るのはいいけどどこで作るの? うちは夕方からキッチンを使うから無理だよ」
「私のところも休日なら使えるけど平日は無理かも……」
これからの時間、一般家庭は夕飯の支度の時間だから多分に漏れず上原さんの家も無理なようだ。
「うちのキッチンを使えばいい。どうせ誰もいないから」
「柚実、ホント? 明日の放課後でも大丈夫?」
「うん、いつでも大丈夫」
「よし! じゃあ明日の放課後に柚実の家で手作りチョコ作るわよ!」
相沢さんの掛け声で何故かエイエイオー! と三人で
一番気合が入っていたのは相沢さんだった。
◇ ◇ ◇
「チョコレートは湯煎で溶かして……と、さっき麻里花がお湯にチョコレート直接入れようとしてビックリしたわ。米とか洗剤で洗いそうねアンタは」
チョコレートを溶かすように上原さんに頼んだ時の事を思い出し相沢さんは作業をしながら苦笑している。
「美香、さすがに私もそこまで馬鹿じゃないわよ」
「どうだか……野菜とかも洗剤で洗っちゃダメだからね」
「もう、私をなんだと思ってるのよ」
「デカパイに栄養を全部吸われて頭に栄養が行き渡らなかったのかもね」
「デカパイいうな!」
そんな会話を聞きながら私はひたすらクッキーの生地をこねていた。
「でも、さすがに毎日料理してる柚実は手際がいいわね」
私は義理で配るというチョコクッキーを生地から練って作り、これから一個づつハートの型でくり抜くところだ。
「クッキーならたまに作ってるし、これくらいは誰でもできると思う」
上原さんはともかく相沢さんは手際も良いし、飲み込みも早いからクッキーくらいすぐに作れるようになると思う。
「でも、高井さんがいて良かった。私と美香だけだったら完成できないかもしれなかったね」
「ホント、危うくお湯割りのチョコレートドリンクが出来るところだったわ」
「もう、それは言わないで……反省してるから」
相沢さんは一度失敗しかけた上原さんへの当たりは中々に厳しかった。
その後、クッキーと手作りチョコをラッピングして完成した。
「やった完成! 高井さんが選んだラッピングも可愛いしバレンタインが楽しみだね」
「柚実は料理もできるし、センスもいいし女子力では圧倒的に麻里花の負けね。勝ってるのはオッパイの大きさくらいね」
高いチョコレートを台無しにし掛けた上原さに対して容赦ない相沢さんだった。
「高井さん、美香が今日は厳しいの……助けて!」
上原さんが私に抱き付いてきた。
私の身体に触れた上原さんの豊満な胸の感触……これは凄いとしか言いようがなかった。
「上原さんはオッパイが大きくて羨ましい」
「高井さんまで⁉︎」
私は自分の胸に手を当ててみたが、やはり上原さんは圧倒的だった。
「で、麻里花はどうやって遠山に手作りチョコを渡すの?」
「どうやって? 普通に教室で手渡しするけど?」
「そんなん普通過ぎてダメダメだよ。もっとインパクトのある渡し方しないと」
「例えば?」
「オッパイにチョコを挟んで、“はいどうぞ“とか」
「美香、そろそろオッパイから離れようか」
「それじゃあ……身体にリボン巻き付けて、“私と一緒に召し上がれ“って渡すの。裸にリボンならなお良し」
相沢さんが突飛もないアイデアを出してきたが私も名案だと思った。
「はっ⁉︎ そんなのできるわけ無いでしょ! 美香は思考がオジさんだよね。ホント」
「ええ〜色気仕掛けで遠山もイチコロだよ。ねえ柚実?」
「うん、良いアイデアだと思う。私がやってみる」
「えっ?」
「ええっ⁉︎」
上原さんと相沢さんの驚きの声がハモった。
「冗談。教室でそんな事できる訳ないでしょ?」
「そ、そうだよね。柚実が真剣な顔だったから本気かと思った」
「高井さんが冗談言うの初めて聞いたかも……」
こうして夜はふけ、上原さんと相沢さんに私の手料理を振る舞い二人は満足して帰っていった。
〜 バレンタインデー当日 〜
渡すチョコレートを家に忘れたから取りに来て欲しいと高井に言われ僕は彼女の家に来ている。
「佑希はリビングで待ってて」
渡す準備をするからと高井は一人で部屋に入っていき僕はリビングで時間を潰していた。
「佑希、入ってきて」
高井の準備ができたようで彼女の部屋から僕を呼ぶ声がする。
「一体なんの準備してたの?」
僕が高井の部屋に入ると彼女はなぜかバスローブを着て立っていた。
「今からお風呂に入るの?」
僕は高井に尋ねると彼女は首を横に振り、バスローブの腰のヒモを解きシュルリとバスローブを脱ぎ捨てた。
バスローブを脱ぎ捨てた高井を見て僕は驚きを隠せなかった。
なぜなら……裸にリボンを巻いて大事な部分だけを隠していたからだった。
そして高井はベッドに腰掛け、バレンタインチョコの包みを差し出しこう言った。
「佑希、はい手作りのバレンタインチョコ。私と一緒に召し上がれ」
このあと滅茶苦茶セックスした。
おしまい
―― ―― ―― ―― ―― ―― ―― ―― ―― ―― ――
ヤマモトタケシです。
バレンタインデーSSはいかがでしたか?
このSSの高井柚実のイラストも描きましたのでご覧下さい。
時間があまり無くて背景無しで、簡易的な塗りです。
ちょっとエッチなので閲覧の際はご注意ください。
コメントを頂けると嬉しいです。
イラストは近況報告よりご覧ください。
https://kakuyomu.jp/users/t_yamamoto777/news/16816452218609449498
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