第7話 大切な家族で大切な人達だから

恋心ちゃんは夢とは同じ母親では無かった。

というのも.....これはきっと死別だと思う。

恋心ちゃんの母親は病気を患っていた、と言うので、だ。


その事に.....俺は強く納得する。

だから夢ちゃんを嫌っている半分。

幸せになってほしいと願っている半分なのだ、と。

俺は眉を顰めながら.....目の前の窓から外を見る。


ここから先が恐らくは本当の勝負だな、と思いつつ、だ。

そうしていると.....部屋のドアがノックされた。

そして.....夢が顔を見せる。

俺に少しだけ不安そうな顔で、だ。


「太一郎」


「.....どうしたんだ?夢」


「.....私、昼間に恋心と母親が違うって言ったよね。.....私ね、確かに母親が別だと思っているけど実際は.....恋心も幸せにしたいって思ってる。だから.....お願い。恋心も大切に思ってあげてね」


「.....勿論だ」


だからこそ。

この歪な状態を回復させなくてはいけない。

思いながら.....俺は夢を見る。

そして顎に手を添えた。


「夢」


「.....何?太一郎」


「.....俺は.....お前に恋心ちゃんも大切って言われて安心したよ。本当に有難うな」


「.....?.....当たり前だよ。私は.....お姉ちゃんだけど.....夢は同じ年齢と思っているから。姉妹とは思ってないからね。実際は」


「.....お前.....」


俺は夢を目をパチクリして見る。

そして.....夢は胸に手を添える。

それから俺に向いた。

柔和な顔をして俺に笑みを浮かべる。


「.....大切なんだ。恋心も家族も。大切な.....大切な人達だから」


「.....そうか.....」


改めて.....。

俺は恋心ちゃんの誘惑に負けずに。

恋心ちゃんにこの関係を止めさせないと、と思った。

その夜中の事だ。

俺の部屋に恋心ちゃんが忍び込んで来た。



「義兄さん」


「.....な、何だ。お前。恋心ちゃん」


「私、エッチな事をするのを止めます。.....エッチな事では無く真剣にお姉ちゃんと対峙します」


「え?」


電気を点けたとたんその様に話した恋心ちゃん。

そんな言葉が出るとは思わなかった。

夜中の2時頃の事。


と言うかどういう事だ?

思っていると.....恋心ちゃんはこの様に言葉を発してきた。

ベッドの上で正座しながら、だ。


「私、このままじゃ勝てないと思いました。だから.....バトりますという話です」


「.....!」


「私は諦めたく無いです。貴方が好きだから」


「.....」


だから私は正々堂々とは言わないですけど勝負します。

お姉ちゃんと、です。

と真剣な顔で俺に告げてくる。

いや、どの様にバトルをしても良いけど.....俺は揺るがないぞ。

どうするつもりだよ。


「.....私は.....貴方に好かれる行動をします。今までは.....駄目だったんです」


「.....」


「.....どうしても諦められないです」


「.....君は何故、俺がそんなに好きなんだ」


「.....私は.....お姉ちゃんの友人の犬を助けた貴方に惹かれました」


俺は見開く。

確かに.....以前、車に跳ねられそうになった子犬を助けた事がある。

その時に.....まだ付き合ってない夢に、その子は私の友人の子犬なんです、と笑顔を見せて.....安心し切った様に泣きはらした顔を見せてきた。

その時からかな。

夢が俺を気にし始めたのは。


「.....その時から貴方が好きですから。だから.....私は.....貴方が好きです」


「.....そうか.....」


「だから付き合っているとは言えど.....まだ結婚している訳では無いですからチャンスは有ると思いますから。頑張ります」


「.....そんな事で惹かれるんだな。女の子って」


「.....そうですね。私も驚きですけどそうなんですよ」


だから私はお姉ちゃんと対峙します。

と笑みを浮かべた恋心ちゃん。

俺はその姿に、変わり始めたな、と思った。

それから.....俺は恋心ちゃんの頭を撫でる。


「.....そうだな。じゃあ頑張ってくれ。.....俺は応援出来ないが.....無理矢理奪おうとしないなら止めない。お前に押し負けたよ。俺」


「.....有難う御座います。.....義兄さん」


「.....で、どうするつもりだ。お前は」


「.....私は貴方を魅力で落とします。エッチな事は.....控えます」


「.....そうか」


そして.....、じゃあ今日はこれで帰ります、と言葉を発した。

俺は、分かった。明日も学校だからな、と話す。

それは義兄さんもですよ、と苦笑した恋心ちゃん。

それから.....去って行った。


「.....そういや中間考査が迫っているな。何とかしないと」


俺は顎を撫でる様にしながら。

また頑張らないとな、と思った。

そして俺は、ここから歩みだそう。

その様に.....考えた。

しかし中間考査面倒臭いな.....。


「飛鳥と一緒に勉強会すっかな」


その様に考えながら.....勉強会をしようと思い。

俺は図書室に明日、放課後に向かう事にした。

そして俺は勉強道具を見てから。

そのまま横になって寝た。

翌日の事だ。



「義兄さん」


「.....」


「義兄さん。起きないと本気でキスしますよ」


「うお!?」


朝の光を微かな目で見ていると。

俺の顎に手を添えてくる恋心ちゃん。

驚愕して俺は起き上がると。

あ。起きましたね、と笑顔を見せた。

恋心ちゃんが、だ。


「.....今日から変わりばんこで起こす事にしました。義兄さんを」


「.....そ、そうなのか」


「宜しくお願いします♡」


「.....お、おう」


音符の髪飾りを着けての。

満タンの笑顔。

何だか恋心ちゃんは普通になったがこれはこれで.....インパクトがある。


考えながら.....俺は一瞬で吹っ飛んだ目を擦りながら起き上がった。

そして恋心ちゃんは俺に向いてくる。

昨日は遅くにすいませんでした、と、だ。


「.....別に構わないよ。大丈夫だ」


「.....そうですか?なら良かったです」


そして俺は準備をし始めて。

俺達はそのままリビングに向かった。

新しい.....朝だ。

そんな感じがした。

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