第4話 暴走する妹

忍び込んで来るかと思ったが。

特に忍び込んで来るとかいう事も無く、無事に翌日を迎えた。

俺はゆっくりと起き上がる。

すると目の前に夢が立っていた。


「おはよう。太一郎」


「あ、ああ。おはよ。元気か?」


「うん。バリバリ元気だよ。学校に遅れちゃうよ。急いで」


「ああ。そうだな。確かに」


寝顔を見られていたのだろうか。

俺は少しだけ恥じらいながら口元に手を添える。

そして.....立ち上がってから夢を見る。

夢は俺に笑顔を見せる。


しかし今日はハート形の髪留めが2つなんだな。

と思う感じだ。

違う場所にも気が付く。

それが.....恋人ってもんだと思うから。


「.....」


結論から言って。

夢を見ながら少しだけ考える。

恋心ちゃんは昨日は来なかった。


結論は先延ばし、という事だろう。

俺は.....その事に溜息を吐きながら夢を見る。

夢は布団を整えてくれていた。


「夢」


「.....何?太一郎」


「.....恋心ちゃんとは上手くいっているのか?関係性」


「え?そりゃ勿論だよ。姉妹だから」


そうか。

思いながら俺は顎に手を添えてから。

布団を直すのを手伝ってから下に降りて行く。

それから俺は顔を洗ったりしてから.....鏡を見ると。

そこに恋心ちゃんが立っていた。


「おはようございます。義兄さん」


「.....そうだな。おはよう」


「私は気持ち、変わりませんからね」


「.....まあ俺もそれなりに覚悟はした」


「え?」


お前の事を変えてみせるっていう覚悟だ。

と俺は真剣な顔で恋心ちゃんを見る。

恋心ちゃんはニヤッとした。


それからスカートに手を添える。

そして勢いよく捲り上げた。

下着、つまりパンツが露になる。


「出来ますかね?童貞さん」


「ぐぅ!?」


「アハハ。その恥じらった顔、可愛いです」


桃色のストライプのパンツ。

女の子特有?の.....可愛らしいリボンが付いている。

それから後ろのドアを閉めようとする手を俺は止めた。

そして.....俺は外に出る。


「.....今のは油断したけど.....次は大丈夫だ」


「もう行っちゃうんですか?アハハ」


「大人をからかうなよ」


「.....何を言っているですか?私はもう結婚出来ますよ。だから大人は私もです」


「.....言うね」


言いますよ。

だって.....私は貴方の為に、とニヤニヤする恋心ちゃん。

それからスカートを直しながらリビングへ向かう。

そしてドアを開けた。


「遅かったね?どうしたの?」


「顔洗ってた」


「.....恋心は?」


「私はトイレだよ?お姉ちゃん」


あ。そうなんだね。

と返事しながらの夢を見る。

俺は申し訳ない気持ちでいっぱいだった。

妹の感情を変えれない事に、だ。

俺に対してニコニコしている恋心を、だ。


「じゃあご飯食べましょう」


「そうだね。母さん」


それから.....俺は飯を食い始める。

その間俺は.....ずっと考える。

どうすればこの泥沼を抜け出せるかを、だ。

そして真面目にするには、と。



「しかしまあ.....あれだ。一度死んで来いお前」


「何でそうなるんだ。飛鳥」


「当たり前だろお前。二輪花(にりんばな)。学校で一番の美少女の姉妹と一緒に暮らす事になるお前の運の良さが信じられない。それに夢さんは彼女だろ。イチャイチャだろ。死ねや」


教室にて。

目の前の山寺飛鳥(やまでらあすか)18歳が俺に、死ね、と言ってくる。

コイツは黒縁眼鏡のそばかすの有る様な男だ。

身長もそこそこ勉学もそこそこ。

友人であり、悪友だ。


「付き合って間もない彼女と一緒に自宅で暮らす?死ね本当に」


「煩いな.....俺だって困っているんだぞ。色々と」


「何を困るって?.....おーい。みんなぶっ殺そうぜコイツ」


「止めろ飛鳥!」


こういう所が悪友だ。

俺は.....そんな飛鳥と殺意に満ち満ちている男子クラスメイトを見ながら。

盛大に溜息を吐く。

それから.....顔を引き攣らせた。


「でもそれは良いけど.....夢さんの妹さんってどんな感じだよ?」


「.....何だお前。狙ってんのか?」


「当たり前よ。二輪花だぞ。俺だって美少女と付き合いたいわ。お前みたいに」


「.....」


正直、あの様な性格です。

とは言えない。

本当に変態で.....俺に対してエッチな事をしてくる女の子だと。

その様には言えない。

どうしたものか。


「何の話をしているの?太一郎」


「.....特に何も話しては無いぞ。男同士の他愛無い話だ」


「そうですよ。夢さん」


しゃがんで頬杖を俺の机でする夢。

そしてニコニコしている。

俺はそんな夢に笑みを浮かべながら。

飛鳥を見る。


「飛鳥。お前にも良い彼女出来るさ。頑張れ」


「頑張ってるけどお前みたいに運が良くない」


「.....こういうのは運じゃないと思うぞ。頑張りだ」


「お前言うね.....どう見ても運じゃないか」


「まあ確かにな.....」


俺は夢に告白されたのだ。

その事を考えると.....運じゃない。

どう考えても、だ。

俺は飛鳥を見る。

あー。彼女ほしー、と呟く飛鳥。


「そうだ。上手くいってますか?夢さん。生活」


「うん。お陰様様だよー」


「そいつは結構。もしも夢さんにエッチな事をしたらぶっ殺すからなお前。太一郎」


「そうだな。うん」


既にもう夢の妹からエッチな事をされていますとは言えないもんだ。

さてどうしたものか、と思っているとチャイムが鳴った。

そして二人が立ち上がる。


じゃあ戻るわー、と言いながら飛鳥が。

そして、そうだね、と夢が、だ。

それを笑みで見送ってから教科書を開く。


「.....ん?」


(これでも見てエッチな事でも妄想して下さい。今日の朝のお返しです)


何か.....その。

スカートを捲ってパンツを露にした恋心ちゃんの姿の写真と。

コンドームが挟まっていた。


俺は予想外の事に真っ赤に赤面する。

あの野郎!!!!!、と思いながら俺は直ぐに隠した。

冗談じゃ無いッ。

なんて事をするんだ!

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