応援コメント

3.「普通」のお茶汲み(3)」への応援コメント

  • 感想は日に一回と思ってましたけど、更新一回に付き1感想だったの思い出しましたわ。

    というわけで、

    煮詰まった紅茶は、ほんとにまずい!!

    ある店出だされた事あります💢 ミルクいれようが、砂糖で味誤魔化そうが、無駄でした。 エグい、苦い、不味い! と三拍子の揃い踏み〜

    あっま〜いお菓子も救いにならず💧
    撃沈!

    スピリチュアル·ゼンは一度でいいから食べてみたい! ▪️▪️▪️ルーカスにはハイティーの方が好みかも知れないけれど。

    作者からの返信

    スピリチュアル・ゼン、食べてみたいですよね…作者自身、描写しておきながらさっぱりどういうスイーツだかわかりませんもん…笑

  • カクヨム様でも連載開始との事でしたのでお邪魔させて頂きました。
    エルマに対するイレーネの反応が初々しいですね···
    続きも楽しみにお待ちしております。

    作者からの返信

    丁寧なコメントありがとうございます!
    私も久しぶりに読み返して、あー、そうそうそう、こうだったなあと懐かしい気持ちになりました。
    引き続きお付き合いいただけますと幸いです!


  • 編集済

           裏3.「至高」の料理

     ユウザンリアーナは苛立っていた。

     こんな侮辱を受けるのは、ずいぶんと久しぶりのことだ。



    「――それで、今日わたくしに食事を用意してくれるのは、あなただというのね?」

    「恐れながら」

    「グラッツェ夫人でも、サンクスでもアリガ㌧でもなく、今日が初出仕の、あなただと」

    「さようでございます」



     慇懃に頭を下げられて、ユウザンリアーナは思わず扇をぱちんと閉じた。


    「女将を呼べッ!!」


     隠居生活の――いや、この息苦しい王宮生活での唯一の楽しみは今日、台無しになるのが確定したようなものだ。

     ついため息が漏れる。



     ユウザンリアーナがこれまで、料理の出来を理由に板前を多くクビにしてきたのは事実だ。

     ただしその多くは、美食の追求のためだった。



     たとえばかつて、とある板前を追い出したのは、隠し味に化学調味料を仕込み、料理を安物の器に入れて出しためだった。

     またある板前を罵倒したのは、調理の前に、彼が煙草を吸っていたからだった。

     同時に、「海原」との謗りを受け、後宮内で孤立することも、自らに許した。

     後宮美食倶楽部のもとに出入りするメンバーが限られれば限られるほど、倶楽部の権威は高まる。



     結局、倶楽部に入れるメンバーたちは、極端にお人好しなキョウゴク夫人を除けば、始終ユウザンリアーナの顔色を窺う者たちばかり。実の息子すら、ツンデレな彼女の真意を理解しているかわからない。

     だが、ユウザンリアーナはそれで構わなかった。

     悪評に胸を痛めるなど、美味しいものが食べられて初めてできることだからだ。 

     悪評自体をださないという発想は何故かなかった。


     とはいえ、原作書籍版(全5巻発売中)も完結し、孫が産まれれば孫たちに「ばあばあ」「ちゅきちゅき」と懐かれ至福の時を味わうであろう今、もはや必要以上に悪評をばら撒くこともない。ゲ、ゲルダ夫人なんとかして……!(歓喜)

     ようやく、だいぶ綻んでいる息子やキョウゴク夫人との関係も修復をと思っていた矢先に、これである。



    (……わたくしの大好きな牛肉は、このぱっとしない新米侍女にすき焼きかシャブシャブにされてしまうのかしら)



     まずい料理を出されると不機嫌になること自体は、事実である。

     ユウザンリアーナは、目の前の侍女に懐疑的な視線を向けた。



    「それでは恐れながら、お食事のご用意をさせていただきます」



     庭にセットされたキャンプ椅子に腰掛けるよう、ユウザンリアーナに向かって優雅に頭を下げた。






     それから数十分の間に起こったのは、すべてユウザンリアーナの想像を超える出来事であった。



    「お肉の銘柄はいかがいたしましょう。若い雌牛のアーベライン牛のほか、ホルスタイン、黒毛和牛、お好みで山葵醤油もご用意しております」

    「そ、そんなに……? しかもアーベライン牛の、それも若い雌牛ですって? ならばそれを」

    「それはようございました。本日、アーベライン牛・モーリッツの機嫌は実に麗しく、お肉も間違いなく最高の味わいでしょうから。――モーリッツ、カモン!」

    「今から卸すの!? というかその牛は今どこから現れたの!?」


     ユウザンリアーナは、泣きわめく牛に「命の教室、命の教室」と話しかけながら手際よくお肉に変えようとする新米侍女を慌てて引き取めた。


    「なんてこと……胸の動悸が、止まらないわ……!」



     モーリッツの代わりにスーパーの特売で購入した牛肉(見切り品お買い得シール付)を確保し、命拾いしたモーリッツを視界から丁重に追い出すと、続いてエルマは、滑らかな手つきで空のドラム缶を転がし、傍から見ても間違いなく松ぼっくりとわかる着火剤を注ぎ入れ、「フランベ」とか言いながら点火した。しかしそれはフランベではない。

     火をおこす間、邪魔になりまくりではあるが実に興味深い、「まず第一に焼き肉とはなにか?」とか濃厚すぎる料理の薀蓄でつなぐ憎たらしさである。

    「完成までの過程を楽しめるよう趣向を凝らし、あえてBBQスタイルで御提供しますこと、なにとぞご容赦くださいませ」

    「まあ……!」

     ただ肉を焼くだけの行為の、そのシンプルさに、ユウザンリアーナは頬を張られたような衝撃を覚えた。



    「どうぞ、お召し上がりくださいませ」



     やがて差し出された牛肉は――パーペキだった。



     そう、パーペキ。パーフェクトで完璧。

     色も、香りも申し分ない。



     直感が告げている。タレなど付けず、まずはこのまま食えと。



     その声に従い、お肉大好きの妃は、逸る手つきで箸を掲げた。



     ひと口含めば、歯に心地よい弾力と肉汁が広がり、飲み下せば牛肉特有としか言えない戻り香を感じる。

     なんということだろう。

     こんな、好みのど真ん中を全力で仕留めに掛かってくるような焼き肉、初めてだ。



    「うーまーいーぞぉ一ッ!!!」


     
     感極まって、ユウザンリアーナは口から放射能を迸しらせた。
     それは雄山ではなく味皇さまである。


    「なんちゅうもんを……!」

    「人の心を感動させることが出来るのは、人の心だけなのだ」

     新米侍女はドヤ顔だ。


     庭へと足を踏み出しかけたシロウカスとキョウゴク夫人は、その姿勢でしばし固まり、互いの顔を見つめた後、ふたたび庭で「ホフホフ、熱い…!」とか言いながら満面の笑みで肉を貪るユウザンリアーナの姿を見やった。野菜も食え、野菜野菜肉肉野菜だ。

    「BBQを召し上がりましたら、続きましてこちら、本日の炭水化物でございます。」


    (なんだあれは……? とろみのある生地と薄い鉄板を見るに、お好み焼きでも作るのか……?)

     三人が見守る先では、エルマが恭しく食材の用意を始めるではないか。

     それも、イレーネやキョウゴク夫人はもちろん、シロウカスですら見たことのないクラーケンの足やゴジラ映画ではマイノリティなエビラといった食材がのせられたワゴンを押してきて――もはや、ここからなにが起こるのか、想像つきまくりである。


     エルマは手早く千切りキャベツinお好み焼きの生地をトッピング具材と共に鉄板で焼き上げ、揚げ玉や青海苔や鰹節を散らして盛り付けると、手早く用意したほか具材別の二品のお好み焼きと併せてユウザンリアーナに差し出した。



     そして、くいっと眼鏡のブリッジを持ち上げた。



    「本日の品は、東洋の神秘、ジャパニメーションにインスパイアされた三部作。左から順に、『業(牛玉)』、『シン(イカ玉)』、『愛、おぼえていますか(エビ玉)』と申します。ちなみに豚玉は隠れメニューとなります」




     ――なんか聞いたことある名前付いてる――!

     シロウカスたち覗き見三人衆の心の声が、奇しくも一つになった。



    「素晴らしいわ……! なるほど、人を魅惑し堕落させるカタチのないものを追い求める恋愛小説書を書いていたはずなのにコメディになったり読者にBL、GL化されたり、何度も何度も完結の延期を繰り返させられてゆくというのが生まれながらにして颯希先生に宿命づけられている、夏休みの終わりをひぐらしが告げているのに宿題が終わらない内は作品も終われないという禍々しい業、すなわちゴウを表しているというのね……!」

    「仰るとおりでございます」

     



     ――仰るとおりじゃねえよ――!


    『ああ……! なんということなの?! ルーデンの地を踏んでからはや二十年。いえ、ラトランド時代まで遡っても、このように心臓ばくばくさせながら食べる料理に出会ったことなんかなかったわっ!#』

    『過分なお言葉を頂戴し汗顔の至りでございます』



     あまつ、興奮のあまり母語のラトランド語で捲し立てはじめたユウザンリアーナに、エルマはしれっとミートしていくではないか。焼き肉だけに。

    『――あら、それにしても、ずいぶんと量が多いわね?』

     クラーケンやエビラといった大海獣の食材なんだから当然量も多い。
     我に返ったユウザンリアーナが『食べきれるワケねぇだろ』とエルマにアイコンタクトすると、エルマも『お残しはしは許しまへんで』とひとつ頷き、かと思うと次の瞬間には、テーブルにあと三人分の席が追加されているではないか。

     動体視力に優れたシロウカスですら目を疑う、エルマに並び立つスタンドの姿を一瞬捉えるのがやっとの早業だった。ゴゴゴゴゴゴ



     まさか、と三人が息を呑むよりも早く、エルマが声を上げた。



    「そちらの茂みにいらっしゃるお三方。本日のこの陽気、さぞお腹も空いておいででしょう。――ユウザンリアーナ殿下に申し上げます。ご令息ならびに侍女長、そして願わくは私の敬愛する先輩侍女に、ご相伴の栄誉を頂戴しても?」


     シロウカスたちが覗き見していたことなど、お見通しというわけだ。

     いけしゃあしゃあと同席の許可を求められたユウザンリアーナは一瞬きょとんとし、それからシロウカスたちの姿を認めると、ギンッと音が聞こえるような目つきで睨みつけた。



    「まあ! あなたたち……!」


     ぎょっとして視線を向ければ、そこには怖い笑顔のユウザンリアーナが佇んでいた。いや、佇んでいるというよりは口から放射能が溢れている。
     キラリと光る歯に青海苔がついているが笑ってはいけない雰囲気だ。
     なにがそんなにおかしいのか、涙まで浮かべて凄みのある笑顔になっている。
    (怖い)


    「ええ。……ええ、そうね、そうしましょう。ふふ、……絶 対 に 逃 が さ な い !」

     普段なら「食べ物の味もわからん豚や猿を、私と一緒の席に着かせるのか!!」と怒鳴りつけるであろうユウザンリアーナも三人の同席を許可する。



     ――誰がこいつ連れてきたんだゴルァ。

     小さなラトランド語の呟きは、おそらくエルマ以外の三人に聞こえた。




     ついでに言えば、四人が初めて口にしたクラーケン&エビラは、どれも軽く昇天しそうなほどの美味しさであった。











     更についでに言えば、こんなことばかりやっているから『な◯う』の感想欄が大喜利会場になってしまうのだと颯希先生が軽く昇天して口から魂を吐きだしてしまっているのであった。

    でも退かぬ! 媚びぬ! 省みぬ!

    あとここは感想欄でなく応援コメント欄なので応援してからクールに去るぜ!

    これからも先生の作品を楽しみにしております!       \(≧∇≦*)/

    作者からの返信

    カクヨムさんの応援コメント、記入されると私のほうにメールで通知が来る仕様なんですが、たいていは数行で終わるはずのそれが、何回スクロールしても終わらないことにびっくりしましたよ!?笑
    今回も力作ありがとうございます!カクヨムさんという新天地でも早速足跡つけましたねえ…(遠い目