第33話 狛鶏さん

 神社の入り口に左右対となって佇む動物と言えば、普通は獅子と狛犬だろう。

 しかし実際には、それ以外の生き物たちが口を開けたり閉じたりしていることも珍しくない。


 私の住む近所には、鶏の神様を祀る神社がある。左右に鎮座ましましているのは当然、鶏だ。狛鶏……と言うのが正しいかは分からないが、他に良い呼称もないので狛鶏さんと呼んでいる。


 その狛鶏さんだが、よく観察すると通常の狛犬たちと同じように、片方が口を開き、もう片方が口をつぐんでいることに気が付くはずだ。所謂「阿吽の呼吸」である。


 しかし、先日私は偶然この神社の神主の話を直接伺う機会を得たのだが、神主の話によるとこの2体は実は「阿吽」ではないのだと言う。一体どういう事なのか。


 神主曰く、口を開けている方の狛鶏さんは「おはよー☆」、そして口をつぐんでいる方の狛鶏さんは「おきて♪」を現しているのだと言う。

 鶏と言えば早朝に景気良く鳴く姿が思い浮かぶが、この2体の狛鶏さんもまた「おはよー☆ おきて♪」と我々に朝を告げているのだ。


 この神社は鶏が卵を産む姿から安産・子宝の神社として地元では有名だが、実は金運上昇のご利益もあるとして人気が高い。それもこの狛鶏さんたちを見れば納得がいく。正に「早起きは三文の得」という訳だ。


 そんなおはおき神社は最寄り駅から徒歩2時間と良アクセス。近くを通った際は是非立ち寄ってほしい。

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