第24話 おじさんを飼う
「パパー! 朝だよ、おはよー☆ おきて♪ 一緒に遊ぼうよ!」
朝から我が息子は元気一杯のようだ。
それは大変結構なことなのだが……息子よ、今日パパは久々のお休みなんだ。頼む、もう少し寝かせてくれ。
「う~ん、起きないなぁ……そうだ! おじさんも手伝ってよ! パパの顔をペロペロしてあげるんだ!」
息子よ、今何と言った? この父に、何をしようと考えているんだ。待て、早まるなっ!
「……ハッ……ハッ……ハァッ!」
おじさんの荒い息遣いが近付いてくる。や、やめろぉっ!
──べろんちょ☆
「ぅゎぁあぁあああああっ!」
その気持ち悪い感触に、私は飛び起きた。
「やった! やったよ、おじさん! 大成功だ! あははははは!」
おじさんと一緒にはしゃぐ息子を尻目に
、私は自分の顔をパジャマの袖で拭いた。
どうして、どうしてこんなことに……こんなことなら、許可するんじゃなかった。
──息子がおじさんを拾ってきたのは、とある冷たい雨の日だった。
「息子よ、まさかそいつを家の中に入れようなんて考えてるんじゃないだろうな?」
「それは……」
「元いたところに帰してきなさい」
「でも段ボールの中で丸くなって震えてたんだ。かわいそうだよ」
「息子よ、何かの病気だったらどうするんだ。お前にだって移るかもしれないんだぞ」
「なら病院に連れていくよ! お風呂にも入れて、ちゃんと清潔にするから……だからお願い、パパ!」
「ウチにそんな穀潰しを食わせていく経済的余裕はない。駄目だ駄目だ!」
「僕、おやつも我慢するよ……ちゃんと面倒見るから、お願いだよ!」
「えぇいっ、しつこいぞ! 駄目だったら駄目だ!」
「うわーんっ! パパのけちんぼ! パパ嫌い! パパイヤ!」
「な、なんだと……っ!」
「ねぇ、アナタ……この子がここまで言ってるんだから……」
「くっ……お前がそう言うなら仕方ないな。だが息子よ、自分でちゃんと面倒を見るんだぞ。じゃないとパパが元の場所に捨ててくるからな」
「やったぁ! ありがとうパパ! パパ大好き! 僕ちゃんと面倒見るからね!」
「よかったわね、うふふふふ」
「HAHAHAHAHA……」
「そうだ、この子に名前をつけてあげなくちゃ! うーん……『おじさん』! 今日から君の名前は『おじさん』だ!」
──こうして、この日からおじさんは我が家の一員となったのだった。
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