第22話 秘伝の起こし方~サキュバス編~
呼び鈴を押すといつものように、もにゃ男のママさんが玄関の扉を開けた。
「おはようございます!」
「尋子ちゃん、おはよう。今日もかわいいわね」
「ありがとうございます! ママさんも今日も綺麗です!」
「あら、ありがとう」
朝からお世辞を言い合い、二人でおほほほほ……と笑う。
「もにゃ男よね? ごめんなさいね、あの子まだ寝てるのよ。全く……もにゃ男ーっ! 尋子ちゃんが来てるわよ! 早く起きなさい!」
「あっ、大丈夫です! 私が起こしてきますから!」
「本当? いつもごめんね」
「これくらい大丈夫です!」
勝手知ったる他人の家の階段を駆け上り、私は2階のもにゃ男の部屋へと向かった。
私、夢小路尋子。ごく普通の女子高生。でも本当は、日本人のパパとサキュバスのママの間に生まれたハーフサキュバスなんだ。
小さいころは特に不自由はなかったんだけど、成長するにつれサキュバスの力が強くなって、最近では無意識に異性を惹き付けるようになっちゃって……周りからはエロ子なんて呼ばれてるし、本当嫌になっちゃう!
けれど、もにゃ男だけは私を変な目で見ないっていうか、昔と同じように接してくれていて……あっ、もにゃ男っていうのは私の幼なじみなんだけど、まぁ、その辺によくいる冴えないモブ男のひとり。でもやっぱりちょっと特別というか、上手くは言えないんだけど……私、もにゃ男にだったら……
もにゃ男とは家がお隣同士だったから小さい頃からよく一緒に遊んでた。こうして朝起こしに行くのも何度目かわからない。
もしかしたら私たちは幼なじみというか、兄妹か姉弟みたいな……もにゃ男もそういう風に思ってるのかな。
扉を開けて部屋に入ると、布団をはだけて大の字で寝るもにゃ男の姿があった。もう、いつまでも子どもなんだから。
布団をかけ直してあげようとしたところで、自分がもにゃ男を起こしにきたことを思い出す。いけないいけない。
私はもにゃ男の耳元に唇を近付け囁いた。
「おはよー☆ おきて♪」
「もにゃ……あと5分……」
「もう、起きて! 起きないと……」
そうだ、今日はあれを使ってみよう。ママから教わった秘技……ママ曰く、これを使えばどんな男も起き上がるって。
年齢制限に引っかかりそうだから、ここからは不自然なモヤに隠れたり謎の風景画になったりするかもだけど……
私はもにゃ男の上に覆い被さると、あれをあーしてこうした。
「ぇーと、これがこうで、んー? こうかな? えーいっ☆」
「ぅわぁあぁあああっ!」
大量にほとばしる体液。
「きゃぁあああっ!」
それは布団を赤一色に染め上げ、そして私たちはボートの映像になった。
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