第20話 炎の料理人

 フライパンを持つと、手が勝手に動いた。


 俺は一体、何者なんだ? 俺に何故こんな能力が……どうして、こんなにチャーハンがパラッと仕上がるんだ!


(……おはよー☆ おきて♪)


 頭の中に響く、記憶の中の見知らぬ少女の声。

 君は……君は誰なんだ?!


「見つけたぞ……こんなところにいたのか。炎の料理人、イフリート髙田」


「イフリート髙田……? それは俺のことなのか?」


「いくら素性を隠そうと、料理の味までは誤魔化せないぞ、イフリート!」


「俺のことを知っているお前は誰だ!」


「私はネオ日本料理協会四天王が一人──氷の料理人、シヴァ佐藤! 貴様を協会へ連れ戻しに来た!」


「なんだと?!」


「だがまずは貴様の実力を見せてもらおう。私と料理バトルだ、イフリート!」


「くっ……! お前など、俺の火力でねじ伏せてやる!」


「甘く見ないでもらおうか。協会ランクは私のほうが上……ジェラートの魔術師と呼ばれたこの私に、力業だけで勝てると思うな!」


 ……男には、やらねばならないときがある。

 避けられない戦いが、ここにあった。

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