第6話 朝を告げる者

「『朝を告げる者』だ! 『朝を告げる者』の襲撃だーっ!」


「東の門が決壊した! もうすでに大量に入り込まれている!」


「ここはもう駄目だ! 捨てるしかない!」


 一体、何が起きているんだろう。

 急に辺りが騒がしくなったかと思うと、状況を確認する間もなく僕は鳥頭の怪人たちに取り囲まれていた。

 怪人たちは口々に叫ぶ。


「おはよー☆ おきて♪」


「おはよー◎ おきて♂」


 叫びながら、にじり寄ってくる。

 逃げなければと頭では思っているのに、体が震えて動かない。


「おはよー@ おきて〒」


 もう駄目だ……頭を抱えたそのとき、銃声が鳴り響き僕の手を誰かが掴んだ。


「何してる、早く逃げるぞ」


「せ、先生っ!?」


 先生は鳥頭を次々撃ち抜くと、僕の手を引っ張り走り出す。


「ま、待ってっ! 友だちが、僕の友だちがきっとまだ中に!」


「他人を心配してる暇はないぞ。君は自分の身を守ることだけ考えたまえ」


「ぅわぁあああっ!」


 友だちの悲鳴が聞こえる。


「やっぱりまだ中にいるんだ! 助けに行かなきゃ!」


「駄目だ、もう間に合わん。諦めろ」


「嫌だ! 放して! 今行くよ、マイフレェエエエン!」


 先生の手を振りほどき駆け付けると、そこには怪人たちにもみくちゃにされる友だちの姿があった。


「お、お願……っ! 助けて……まだ……まだ、起きたくない……現実に戻りたくないよぉっ」


「マイフレンッ! 今助けるよ!」


 けれど、追い掛けてきた先生が僕を羽交い締めにする。


「落ち着け! 手遅れだと言ってるだろうが! 起きたいのか!」


「くそぅ、あいつら! 僕らはただ、夢を見ていたいだけなのに! 僕らに辛い現実を突き付けて、それで何がしたいんだ!」


「少年……」


「僕らには、夢を見る権利すらないのか?! ちくしょぉおおおっ!」




 僕は先生に連れられ、その場を脱出した。僕の友だち──マイフレンを置いて。


 そしてこの日、僕は誓った。『朝を告げる者』への復讐を。

 それがマイフレンへの弔い……いや、償いになると信じて。

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