第24話
「昨日の今日で決断するとは…まぁ切り替えの早さは良いことだね。それでは…生徒会会長オスカー・モラレスだ、ようこそ生徒会へ。」
オスカーがそう語りかけてくる、俺は今生徒会室に再び足を運び生徒会に入る石を伝えに来た。
「ウィルマー・グリンデル、一応この国の第二王子だけど同学年だしこれからは同じ生徒会の仲間だウィルと気兼ねなく呼んでほしい。ケイと共に生徒会業務を出来ると思うと僕も嬉しいよ。」
ウィルは今までの一番の笑みで拍手を求めてくる、俺はそれに応じ光栄ですと軽く言葉を返す。
「一度名乗りは済ませたけど、まぁ仕方ないルーク・バイロンだウィル様の友人って事で大目に見てやるつもりだがあまりふざけたまねはするなよ?」
「わかってるさ。」
ルークとも同様に握手を交わす。
「私も私も!肩書き上は一応副会長のアンバー・レッドフィルドよ、まあ昨日言ったけど改めてよろしくね!」
「メ、メイ・オービス…です…よろしくお願いします!」
二人とも挨拶を交わす、オスカーは生徒会と書かれた腕章を俺に手渡してくる、見た目以上に割としっかりした材質でおそらく皮か何かで作られているのだろう。
「それが生徒会在籍の証明になるから学内に居るときはつけておいて欲しい、そのほかにも学内施設の優先利用や図書館上級学年会に立ち入りが許可されたりメリットは多いから損は無いと思う。」
「わかりました。」
俺は腕章を腕に巻き付けると独りでに腕にひっついた、特にピンなどが必要ないのは快適だと思った。
「そういえばウィルからケイには従者がいると聞いていた気がするのだが?」
「あぁ…紹介が遅れましたねすみません、ミハイ入ってこい。」
俺が声をかけるとミハイは部屋に入ってくる。
「コイツはミハイ、俺と同じく姓は無いです。」
俺が紹介するとミハイはゆっくりと皆に頭を下げる、が何処か敵意のようなものが漏れているやっぱコイツ人間嫌いなんだなぁと思いながらミハイを制すると次第に警戒を解いていく。
「へぇ…魔物かぁ変わった従者だね。」
「ま、魔物ですか?」
アンバーの言葉にメイが身体をビクリとさせる、ウィルとオスカーは反応を見るに既に気づいていたようで特に反応は無かった。メイとルークは酷く驚いたようでルークに関しては限りなく音を殺して腰の剣に手が伸びていた。
「あっ…もしかして言っちゃ拙かったかな?!」
アンバーが口に手を当てて如何にもやっちまった風なリアクションを取っている。
「構わないですよ言うつもりでしたし、アンバーさんの言うとおりミハイ俺が数年前にテイムした魔物ですよ、ミハイ止めろ。」
俺がミハイに声をかけると俺の隣に居たミハイの身体がグズグズと崩れ跡形も無くなり、ルークの首元に羽を硬化させたナイフを後ろから当てていた手を下ろした。
「なっ?!いつの間に?!」
ルークはギョッとした表情で素早くバックステップでミハイから距離を取る。
「ルークは相変わらず認識阻害系に弱いな…アンバーはわかっただろうし、メイはどうだった?」
オスカーがメイにそう言うとメイは重々しく首を横に振る。
「部屋に入ってきたときにざわりととしたので何かしら魔法を使ったとは思いましたがそこからルークさんの後ろに回ってるとは…全く…わかりませんでした…」
「そうか、お互い鍛錬の必要がありそうだな、それにルーク、魔物とは言えケイの大事な従者であることには変わりない武器を向けるのはいただけないぞ、すまないなケイ。」
俺は別にと手を振る、ミハイもルークに向けて軽く頭を下げているが反省の色は全く見えない、ルークは未だに喉元をさすり冷や汗を額に浮かべていた。
「それにしてもケイも相当にできると思っていたが、従者までこのレベルとは思わなかったよ。」
オスカーは嬉しそうに笑っている。余裕がありそうな所を見るにオスカーもかなりのやり手だろうと容易に想像がつく。
「顔見せも終わりましたので外で待たせて頂きます、よろしいですか?」
ミハイがそう言うとオスカーも許可を出す、相当同じ場に居たくないのだろうミハイは俺に一礼をすると扉から出て行った、気配は消えたがおそらく廊下の何処かしらで待っているのだろう。
「よし、顔見せも済んだところで本題に入ろう。この生徒会の活動内容だが基本的には学内行事のサポートおよび教員の雑務手伝いといったところだな。」
「雑務ですか?」
「あぁ、とは言え便宜上ひとくくりで雑務といったが教員に応じて要求される仕事も変わってくるから退屈はしないと思うぞ?」
オスカーに対して懐疑的な視線を向けた俺に対してオスカーはニヤリと笑って返す。
「生徒会とは良くも悪くも名前ばかりのものでな、アンバーのようにケイとプライス家のいざこざを止めたようなごく一般的な学内の巡回業務もある。がこの生徒会は王都魔法学校の生徒会だ業務はそれだけにとどまらない、通常授業で使うダンジョンの下見などもあるんだそういった内容からここは立身出世にはうってつけの言わば幹部候補生育成機関と言っても過言ではないのだよ。」
オスカーは得意げに手をふんだんにジェスチャーに使いながら言う。
「ということで早速2学年実践魔物解剖研究で使う魔物を捕獲しに行くとするか。」
「よーしいっぱい捕まえるぞー!」
「多分そんなに捕まえる必要ないと思いますけど~…」
アンバーが袖をめくり張り切っている横でメイが苦笑いしながら突っ込みを入れている。
「あの、俺これから通常授業なんですが…」
「ケイ、生徒会は通常授業を免除されるんだよ、勿論出られるものは出ても良い、アンバーさんみたいに生徒会を理由に一切出ないことも出来るけどね。」
ウィルが席を立ちながら俺に説明する。
「さて新入りの力をみせてもらうじゃねえか。」
ルークも持ち直したようで俺の肩を軽く拳で叩く。
「基本は二、三人でやる物ですけどみんなでやるのも楽しそうですね!」
「そうだなメイ、これからの連携の確認も兼ねてみんなで行くか。」
メイとオスカーも準備をしながら会話を弾ませる。
こうして俺は初の生徒会業務にかり出されるのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます