59話 事の終わり2
(ん? ここは、水の中か? しかし周りに木の塀 周りには魚)
桶の中には小さな魚が数匹いた。ここは港、桟橋であった、その桶には近くで釣りをしていた人が釣った魚が入れられていた、だが周りに人はいない。
どうやら使者騒動で人が出張らってしまっているからであろう。
(我は使者の足止めをしていたはずだが、そして使者の攻撃を受けて……なるほどそこで意識が途切れたか)
思案にふける小魚が一匹、小魚が思案するとか意味が分からない。
(随分と静かであるな、しかしここはどこだ? ……どうやら桶のようだ……ん?)
小魚は自分の手を確認しようとしたが違和感がある、そして確認ができない。
(まさか! 我は助かったようだがこれは……魔力は残っているが随分と少なくなっている、しかし浮くことは出来るようだな)
小魚は桶から飛び出る、と呼吸をする。エラ呼吸しかできないとどうしようもないからね!
(水中でなくとも呼吸が可能なのは助かる、そしてここは主のいた街のようだな、使者はどうなったのだ?)
小魚はふよふよと飛んで周りを確認する、街はいつもの風景であった、ただ人は少ない。
普段見慣れた街も人がいないだけで随分と雰囲気が違って見えるものだ。
(む、そうだ主達はどうなったのだ? 見に行ってみよう)
ふよふよと小魚は飛んでいく……が、クソ遅い。
(ぐ、遅い、遅すぎる。なんとも不便であるな……しかし主を探さねばならぬし文句は言ってられんな……)
この後、小魚となったリヴァイアサンとアンジェリカが再会するのに三日かかるのであった。
――
――――
町長が慌ててt首を垂れる。しかし、国王はそれを手で制した
「よい、ワシは皆の活躍をねぎらいに来たのだからな。そう畏まらずともよい」
ぶっちゃけ行き成り来た国のお偉いさんに、畏まらずともよいとか言われても困るよな。
国王が辺りを見回す、どうやら話に聞いているオバさんアンジェリカを探してるようだ、集まってる人にオバさんが割といるので探すのは苦労するだろう、だってアンジェリカ見た目は普通のオバさんだし。
「ん、アンジェリカという者はこの中におるか?」
顔も知らないオバさんなんて探せるものでもないので、国王は素直に聞く事にした。
すると、すぐに答えは返ってきた。
「あら? オバさんに何か用かしら?」
するとアンジェリカが王様の前に出る。
国王の前に現れたのはこれといった特徴のない、少し眉が太い人懐っこそうなオバさんだった。
国王もアンジェリカを見て次にサントスを見ると、サントスは頷いた。
「そなたがアンジェリカなのだな?」
「ええ、そうよ王様。私がアンジェリカよ」
「おお、そなたがアンジェリカか。うんうん普通のオバさんだな」
国王とはいえ失礼な奴だ。
「ええ、そうよ。オバさん最近までは普通のオバさんだったもの」
アンジェリカは気にすることなく答えたが……このオバさんも国王相手に畏まることも無く普通に話しているアンジェリカも大概である。
「お主がこの事件を治めた立役者だと騎士団長サントスから聞いている」
「オバさんは作戦を提示しただけよー」
アンジェリカの言葉に皆が首を振る、どう考えてもその程度の活躍ではない
「いや、お主は救国の英雄ぞ」
「大げさねぇ、オバさんはただ産まれてくる予定の孫の為に頑張っただけなのよ」
そんな会話をしているとドンドンと戸を叩く音がし、一人の街人が入ってきたのであった。
次回は最終回になります!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます