47話 決戦!使者対オバちゃん達 その1

 使者の脱皮はすぐさま、付近にいる全ての人に知れ渡ることになった。

 騎士団は特に緊張が濃い、目の前でボスが脱皮すりゃ緊張の一つもしますわ。


「これ、脱皮するとどうなるんだ? いきなり人型になったりはせんだろうな?」

「知らないですよ」


 サントスは緊張感が無かった。


 ――

 ――――


「あー、脱皮開始した使者はこっからでも見えるっすね、準備間に合うっすかね?」


 マーシャとアンジェリカも空中で使者を確認する、騎士団が使者の使いと戦闘しているところも見えていた。


「間に合わせるしかないわねぇ、マーシャちゃん急いでロープを届けましょう」

「了解っす」


 そして現場には魔女学校の教師たちがすでに準備していた。


「今回のロープは少し改良して、あらかじめ魔力をチャージできるようにしたのよ」

「普通に考えると、あのロープであのサイズの移動は無理っすもんね」

「そうなのよねぇ、それでもかなりの魔力を消費することになるわよ」

「主も何故かこのロープを改良することに必死になっておったな。まあ、普通の人間であれば、あのサイズを転送しようと思うと二百人くらいは必要になるな」


 こうして、ロープを渡し説明をすると魔女たちはロープを一本に繋げ始める。


「ほら、アンタ達は私より若いんだキビキビ動きな!」


 一番行動力のあるババアが若い(見た目は)教師たちにハッパをかける。

 準備は着々と進んでいった。

 しかし、中々思うようにはいかず。死者の脱皮が終わろうとしていた。


 アンジェリカ達が再び空を舞い使者の様子を見ると、騎士団たちの戦闘が見えていた、脱皮が終わろうとしている使者と対峙していた騎士団は苦戦を強いられていた。

 使者の使いの数が多く防戦一方となっていた。


「あら? 旗色が悪いみたいね」

「仕方あるまい、騎士共も頑張っている方であるな」


 アンジェリカもリヴァイアサンも渋い顔で様子を見る。逃げ隠れていた盗賊がまた一人使者の使いに捕まり使者に捧げられる様子も見えていた


「あの小さな油黒虫、生贄を確保する役目を持ってるみたいっすね」

「脱皮も終わり、贄を吸収すると本格始動といったところだな」


 アンジェリカは少し考えると、使い魔であるリヴァイアサンに指示を出す。


「リヴァイアさん、騎士団の援護に向かってくれないかしら?」

「よいのか? 我の魔力はロープの魔力供給に必要ではないか?」

「そこは、おばさんがなんとかするわよ」

「わかった、我はあ奴らの援軍に向かおう、主はどうする? このままロープに魔力を供給はじめるか?」


 アンジェリカはリヴァイアサンの質問に首を振った。


「オバさんも騎士団の支援に向かうは、でもオバさんの目的は使者の後ろにある卵ね」

「あの、小さな油黒虫を産み出す卵っすか?」

「ええ、あれはほっとくと大変なことになると思うのよね」


 アンジェリカがマトモな事を考えていた。


「そうすると、強襲して卵に一発かましたら即離脱で戻ってきてロープに魔力って流れっすか?」

「ええ、そうなるわねぇ。そこでマーシャちゃんにもお願いがあるの」

「なんすか?」

「オバさんを連れて、卵まで急接近してほしいのよ。オバさんよりマーシャちゃんの方が速度があるし、マーシャちゃんに箒の操縦を任せて、オバさんがデカイのを叩き込むわ」


 アンジェリカが簡単に説明すると、マーシャは即答した。


「オーケーっすよ、任せるっす。ボクも日々成長してるっすからね。風の魔法と組み合わせた超加速を見せるっすよ!」

「うんうん、ではお願いね」


 こうして、アンジェリカ達はメルリカ婆さんに別行動することを伝える。


「なるほど、わかったよ。ロープの魔力供給はこっちでなんとかするよ、なーにいざってときのためのアイテムは持ってきてるからね、任せときな」

「お願いねー」


 アンジェリカ達は、騎士団の方へと向かうのであった。


「では、我はここから騎士団の援護に向かう! 主よ後ほどな」

「ええ、おねがいねー」


 リヴァイアサンが先に降りたった。


「騎士団諸君よ、苦戦しているようだな。我が主より命で助けに来たぞ」


 着地するとすぐにリヴァイアサンは魔法で目の前にいる使いを攻撃した。


「さて、オバさん達も急ぎましょう」

「了解っす!」


 アンジェリカも卵目掛けて進むのであった。


 次回『決戦!使者対オバちゃん達 その2』でごんす

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