45話 使者討伐作戦
「この液体が油黒虫を退治するための薬、これをこの街の西側にある今は使ってない溜池をこの薬剤で満たすのよ」
アンジェリカが騎士団員たちに小瓶に入った液体を見せ、作戦の概要を説明している。
「油黒虫みたいなものだが、本当に通用するのでしょうか?」
騎士団員の中からそのような声も上がる、これは仕方ない事でもある。
見た目は
「オバさんも流石に分からないわねぇ、でも油黒虫相手になら効果は抜群よ」
油黒虫絶対殺すマンのアンジェリカでも、油黒虫のような神の使いが殺せるかは流石に分からない。
「諸君らの懸念も確かに分かる、だが先ほども見たようにアジャルタ殿の最大魔法ですら無傷の相手だ、そんな相手を通常の方法で倒す手段があるのか分からぬところ、ならば可能性が少しでもある方法を試してみてもいいのではないかな?」
騎士団員たちの不安を察知したサントスがアンジェリカに助け舟を出す。
「た、たしかに」
言われて納得、騎士団がざわつく。そしてそれをロウエルが手で制しアンジェリカに説明の続きを促す。
――
――――
アンジェリカの説明は下手だった……そしてそこはリヴァイアサンがフォローして説明を終えたのであった。
作戦の大まかな内容はこうだった。
街の西側にある溜池を薬剤で満たし、そこに以前作った転送ロープで作った輪っかを使い、使者を溜池の上空に転送させ池に叩き落すと言うシンプルなものであった。
「騎士団の魔法使いの方々に手伝ってほしいのは、溜池の水を薬剤に変える手伝いをしてほしいのよ」
アンジェリカは大量の魔法陣が書かれた大き目の紙を取り出す。
「これを水に付けて魔力を込めると水が薬剤になるのよー、変質の魔法陣が書かれてるのね」
アンジェリカが騎士団の魔法使いたちに紙を渡していく。
「溜池の水を全部薬剤にするには時間がかかるから人数が必要だったのよ、それがこれだけの人がいればすぐに終わるはずよー」
そして街の人々や魔女学校の教師たち、冒険者ギルドへの協力を取り付ける算段なども行う。
魔女学校に関しては問題は無くメルリカ婆さんに任せておけばよいことになった。
冒険者ギルドに関しても王国騎士団のサントスがこの討伐での全権限を持つため王国として依頼を出す形で纏まった。
街の人に関しては、街を護るか財産ほっぽって逃げるか選べと言う脅しで強引に行う事とした。
「街の人たちに対してだけは強引っすね」
「町長のローレンスさんに言えば多分大丈夫よ」
そして作戦時の役割は、騎士団の魔術師隊は溜池のの水の水質を変化させるのを担当、他の騎士団は逃げる待ち人たちの誘導及び使者の監視、街の防衛に当たることになった。
メルリカ婆さん、魔女学校の教師は空を飛べることと高い魔力を活かしロープでの使者転送の手伝い。
アンジェリカ、マーシャ、リヴァイアサンが使者を誘導及び転送ロープへ魔力を送る係。
ヴィヴィアンとルーシアそしてゼノ、リノはヴィヴィアンをサポートして使者の魂を像に封印する係となった。
ロウエル率いる一部の騎士団員はダウ、バーモント両名の捕獲という役割で話がまとまったようだ。
「では、作戦を開始するわよ。まずは強引に強力を取り付けましょう。サーシャちゃんはチェイニーさんについててあげて」
「わかりました、私は大したお手伝いは出来ないのでチェイニーさんのお世話を手伝います、皆さんもお気をつけて」
アンジェリカはサーシャにチェイニーについていてほしいと頼んだあと、改めて皆の方に向く。
「オバさんの困った作戦に付き合わせてしまうけど皆さんごめんなさいね、この作戦で街が守れる保証もないけど皆さんで頑張りましょう! では作戦を開始します」
アンジェリカの宣言に対して皆が一斉に行動を開始した。
メルリカ婆さんは魔女学校に向かい、騎士団は王城に使いを出し魔術部隊は急いで溜池に移動を開始する、アンジェリカ達も街に戻り準備を開始した。
オバさんと愉快な仲間たちの最後の戦いが幕を開けた。
次回『使者の使い』
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