44話 だめだこりゃ、次行ってみよう!
アンジェリカは、人間が一人丸々入れそうなほど大きな魔力玉を作り出していた。
「我ながら凄いのができたわー」
うんうんと頷き満足そうな顔をしていた。
バチバチとなんかすんげー音しながらスパークしている、どう考えても食らったらダメなやつであった。
「アジャルタあんた相変わらず無茶なモン作るねぇ。まあこれで、無傷なら通常で倒すことは無理だね」
「オバさんもこれ以上のは流石に無理よー、さらにここからこれを圧縮するわよー」
そう言うと、アンジェリカはおにぎりを作るように魔力の玉を圧縮して握りだした。
「オバさんが使える現段階での最強魔法よ、対油黒虫用に改良を重ねた爆炎魔法は凄いのよ」
そう言うと、アンジェリカの手から圧縮された光弾が放たれた。
結構な勢いで飛び出す光弾(時速一五三キロ)が使者へと迫る、動こうとしない巨大な物体に当てるのは簡単なようで、外れることなく直撃する。
「ここから凄いわよ」
光弾が広がり使者の周りをドーム状に覆う、そしてその後に凄まじい音がしドーム内が大爆発を起こす。
この悲惨な光景を見た王国騎士団から、どよめきが伝わってくる。
まあ変な空間で閉じ込めて大爆発とか、何考えてるんだろうなこのオバちゃんって思うよね。
「な、なんだこの魔法は!」
「結界で閉じ込めてからの爆殺とは、並みの魔物では跡形もないでしょう」
騎士団だけではなくメルリカ婆さんもあんぐりと口を開けていた。
「なんなんだいアレ? 油黒虫用にどんなイカレた魔法開発してるんだい」
「だって、油黒虫にあの辺の魔法使うと死体が飛び散るのよね、それを防ぐために包んでから倒すのよ、すると後片付けも楽なのよー」
「そんな理由でこんなエグイ魔法を……」
そんな会話をしていると、爆発が収まり結界も解け煙が消えていく。
しかし、そこには無傷の使者が立っていたのであった。
「あーれー、どう見ても無傷よねぇ」
「無傷だねぇ」
アンジェリカもメルリカ婆さんも、やっぱりって顔で頷いていた。
しかし、騎士団連中はそうはいかない。
「バカな! あの魔法で傷一つ付いていないだと?」
騎士団所属の魔術師が叫んだ。
サントス、ロウエル両名も無傷には流石に驚いていた
「ロウエルよ、これは流石に洒落にならないレベルで洒落にならんな」
「え、えぇ確かに。あのご婦人の魔力はここの魔術師が束になっても適わぬレベルでした、その方の全力魔法で無傷となると、通常の方法での撃破は困難……いや、無理でしょう」
真剣な顔でロウエルがサントスに対して言葉を返す、それに対してサントスは肩をすくめた。
「ダメだこりゃ、次行ってみよう」
「次って、メルリカ殿のおっしゃってた作戦ですかね?」
「ああ、それに我々も全力で協力するとしよう」
サントスはすぐに騎士たちを招集する、するとそこへアンジェリカ達もやってくるのであった。
――
――――
一〇分後、騎士団のキャンプに主要な騎士団メンバーとアンジェリカ一行が集まっていた。
「改めて自己紹介しよう、私は王国第一騎士団騎士団長のサントスだ、そこにいるのが第三騎士団長のロウエルだ私達が今回の討伐隊の指揮を任されている、よろしく頼む」
サントスに紹介されロウエルは優雅にお辞儀をした。
そしてメルリカ婆さんがアンジェリカ、ヴィヴィアン、ルーシア、マーシャの紹介をし、更にマーシャからゼノトリノとサーシャの紹介があった。
「では、アジャルタ殿の提案する作戦を聞くとしよう」
こうして緊急であるが使者討伐の作戦会議が開始されるのであった――
次回『使者討伐作戦』お楽しみに
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