第13話 怖いの?
夕食の時間になると食堂にはいる。
長いテーブルが一つ、奥に当主のおっさんが座っている。
すこし痩せ雰囲気の暗い印象がる。
疲れているのだろうか。
「よく来てくれたね。
娘が世話になっている」
「こちらこそ、彼女の力添えでとても快適に過ごせています」
俺は用意していた贈り物をテーブルの上に置いた。
贈り物をするのは常識らしく必要なことである。
「これは何かね?」
「泊めて頂くお礼です。
受け取ってくれると嬉しいです」
「ありがとう、中身を見て良いかね?」
「どうぞ」
中身はお菓子と銀のコップが入っている。
食べ物だけで何も記念に残らないし物だけでは見るだけで終わってしまう。
実にいい選択をしたと思う。
「これは中々の代物だ、早速つかってみよう」
メイドのおばさんがやって来て銀のコップを持っていく。
直ぐになみなみとワインを注ぎ持ってくる。
「喜んでいただけて嬉しいです」
ジュリエンヌは見栄からか、宝石の付いた銀の小箱を贈った。
外側だけでも凄い価値がありそうで中身は金の腕輪だ。
役に立つものなのだろうか。
俺はあんまし欲しいとは思わないけど貰ったら取っておくか。
一応は金だし……。
食事をしながら他愛もない会話が時々かわされた。
カルメラの事を気にかけているのがよく解る。
「週に一度娘から手紙が来ている。
そこに君のことが良く書かれている」
「なにか
「いや、興味を持っているようで……」
カルメラは慌てて遮る。
「お父様、それは親子の秘密です。
手紙の事は黙っていてください」
「ああ済まない。
これからも娘を大切にして欲しい。
酷い主に仕えて身も心もボロボロになって死んだ者もいる。
それで心配で……」
「そんな事はありません」
そんな酷いやつが居るんだ。
それは心配だよな。
「俺も心に留めて気をつけたいと思います。
人は気づかない内に横暴に成ってしまうものです」
カルメラは色々とやってくれるからついつい頼ってしまうんだよな。
あまり無理をさせないようにしないとな。
「ほほぉ、暫く楽しんでいってくれ」
暗い顔している。
怒っているのかな。
いや初めから疲れた顔していたよな。
食事を終えると部屋に戻った。
何を食べたのか思い出せない程に緊張した。
口では特に怒っているような事は言ってなかったが、
色々と面倒なことをカルメラに任せていたから怒っているのかも知れない。
「ああ、どうしよう」
稲光が部屋を通り過ぎる。
屋根を叩く雨音が響き雷音が響く。
大荒れだな、こんなに強い雨が降るのか。
背後から温かいものが首筋に掛かる。
「ひぃっ!」
振り返るとジュリエンヌが立ってた。
彼女は顔が青ざめて足が震えている。
「少し一緒に居て宜しいかしら?」
「構わないけど、
もしかして雷が苦手なのか?」
「私がそんなことはありませんわ」
雷音が響くと彼女はしゃがみ込み耳を手で押さえた。
「大丈夫だよ。
鳥かごに雷が落ちたらどうなると思う?」
「それは鳥が黒焦げになって死んでしまいますわ」
「残念、不正解だ。
雷は通りやすい所を探して進むんだ。
だから鳥かごを通って中にいる鳥には当たらないんだ」
「それは本当ですの?」
「俺達は屋敷の中にいるだろう。
だから雷が当たることはないんだ」
彼女は怯え手を握ってきた。
知性で大丈夫だと言っても、感覚的に怖いのはどうしようもない。
「雷が怖いのでは無いのですわ。
雷の鳴る日は良くないことが起きる前兆」
迷信みたいなものか。
普段と違う現象に不安を感じるからなんだろうな。
だが否定した所で意味はない。
「良くないことがあった後は良いことが来る。
それが運命というものだよ」
「……運命?
もう少しマシな言い方は出来なかったの?」
「落ち着いたかい?」
彼女は横に首を振って否定した。
「一緒に寝てくれる?」
「隣のベットで良いなら」
都合よくベットは2つある。
寝ようとベットに入ると、部屋にカルメラが入って来て耳打ちする。
「ご主人様、ジュリエンヌ様が戻ってこないのです」
「彼女なら、そっちのベットで寝ているよ」
「では私もご一緒させていただきます」
「どうして?」
「何かあったらご主人様はどう責任を取るのですか?
だから私が監視して何事も無いようにしなければなりません」
学園生の恋愛は特に禁止されているわけではないが、暗黙の了解で表立って行うことはマナー違反となる。
だからひっそりと付き合うのが普通だ。
「じゃあ、君の部屋で寝るからここを使ってくれ」
カルメラは頷き、少し大きめの声で答える。
「では部屋に戻ります。
もしものことがあれば呼んでください」
カルメラと俺は入れ替わり部屋を出て扉を閉めようとすると、ジュリエンヌがベットから出て隣のベットに潜り込む様子が見えた。
あのまま寝ていたら抱きつかれたのか。
うーん、なんか複雑な気分だな。
そっと扉を閉めて部屋を移動した。
二人が寝るはずだった部屋だ。
ベットが2つあるんだが、どっちがカルメラの……。
布団に手を入れ温もりを感じる。
冷たい……ということは向こうか。
やっていることが変態みたいなんだが。
ああっ、なんでこんな事しているんだ。
冷たいということは使ってない筈だ。
こっちで良いか。
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