第67話 おむ作

 目を覚ますと、カレーの匂いがした。

 起き上がると後頭部がズキズキと痛み、慌てて触るとタンコブができていた。


 ここで俺は思い出す。

 あぁ、確かネコが乱入してきて三人とも殴られたことを。


 カレーの匂いがする方を見ると、三人の少女らがエプロンを身につけて料理をしているようだ。

 料理に夢中で俺が目を覚ましたのにまだ気付いていない。


 「魔王様、じゃがいものヘタとはどこなんでしょうか?」


 「うむむ・・・気にするでない。そのまま入れるのじゃ!」


 「はい!了解しました!」


 無視してはいけないような事が今行われた気がしたが、まぁいいだろう。


 今はこの何気ないひとときの時間を堪能しようじゃないか。


 夕暮れ時の淡いオレンジ色の太陽光を浴びたどこにでも居そうな少女たちの後ろ姿を眺める作田だった。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る