第45話 紫野田 舞さん作

「はは、どうせ夢だ。気にするな」


夢の中だと思い込んでいる作田は大胆に開き直ると、美女を振り返った。


眼前の彼女はこれ以上ないほどに表情を歪めている。


「⋯⋯遂に気でも触れましたか?」


「まさか。俺は普通だ。普通のロリコンニートだ!」


「最低ですね⋯⋯業が深すぎる」


そして、白髪の彼女は嘆息すると『名前』を訊ねてきた。


「港 作田だ」


「私はゴローニャ大佐です」


神妙な面持ちで彼女はそう言ってから、「それと」と付け加える。


「━━此処は夢ではありません」


異世界編をクリアした直後に聞いた声と同じ雰囲気に変貌したゴローニャ大佐は、光のない目で作田を見つめ述べる。


「貴方が先程見ていた『リアル』こそが夢なのです。そして此処は━━」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る