第44話 無瀬 チャイさん作


目を覚ますと、視界には真っ暗な夜を押し退けるようにして発光するネオン。


雨でも降っていたのか、前に出した足の裏で、パチャリと空気を孕んで弾ける。


広がる世界を覆うのは、巨大なケーブルと言えるような直線、多色で且つ規則でもあるように絡まることなくあちこちに伸びていた。


「えっと……」


ネオンのショッキングカラーに目を痛めつつ暗いところにも目を向ける。


鮮やかな放電管の発光とは対をなすように、啜り泣いた後のような姿の、廃墟とかしたビルが軒を連ねて作田達を見下ろすように立っていた。


「ここが、次のステージ?」


幻想の森から打って変わって世紀末臭のする光景だった。


「なあ、目的あるなら教えてくれよ」


「……」


白髪の美女は、顔を背けていた。


先ほどまで膝枕していた仲じゃないかと、急な態度に不満を持ちつつ、そういえば足が冷たいなと思い、足元の水溜まりを見る。


「あ……」


ネオンのショッキングカラーを背面に受け、水溜まりの残像が作田の裸体を痛々しく映し込んでいた。

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