第2話
とりあえず俺は明日に備えて寝ることにした。
もちろん満足には眠れなかった。
翌日、日が昇ると同時に俺を含めた町中の漁船、それに警察も捜索をしたが、まる一日費やしても、父も船も見つけることができなかった。
そして翌日も捜索は続けられたが、同じ結果に終わった。
完全にではないものの、捜索はほぼ打ち切られた格好となった。
「残念ですが」
組合長の言葉を、母は能面のような表情で聞いていた。
もう覚悟ができていたのだろう。
漁にでてまる二日経つのに帰ってこないうえに、あれだけ捜索してもなにも見つからない。
結果はもう決まったようなものだ。
俺にとっては父が、母にとっては夫がある日突然いなくなった。
それ以上でもそれ以下でもない。
人一人が行方不明となったからと言って(死んだとは誰一人言わない)いなくなる前の日常と大きく変わることはない。
人にはみなそれぞれの生活がある。
父がいなくなってから三日目には、父以外の猟師は全員、普通に漁に出かけていった。
この俺もそうだ。
というか父と二人で二隻の漁船で漁をしていたのだ。
それが今は俺一人になった。
専業主婦の母もいる。
俺が漁に出ないわけにはいかないのだ。
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