2章 不老者、浮浪者になりました。

第12話 ここどこですか?

「いやー。今回の瞑想は、めちゃくちゃ良かったな! すごい集中出来た!」

 久々の爽快感に喜んでいると、見慣れない植物に囲まれていた。

「……ここどこよ?」


 ふと風が吹いた時、体中に風を感じる。

 俺のビーチクとマイサンがこんにちわしてる! どういうことだ! 服どこに行ったの?

 とりあえずバナナっぽい葉っぱが生えてるから腰蓑にしよう。

 良い蔦も発見! これで作れるな。

 バナナの房は、頭に固定しておくか。


「よし。腰蓑おやじ完成」


 しかし、どこを見ても木草蔦木花木蔦草草草。深い森ですこと。

 太陽見ても場所わからんしなー。

 とりあえず周辺調査かな。


 最初のミッションは『水を探せ』。




 んー? 水音がするな。あっちか。


 ちょっと細いけど川を見つけた。色も透明で臭いも問題無し。肌のピリつきもないから大丈夫かな。多少の毒なら訓練したからな。

 久しぶりの水うまいなー!

 あそこの蔦は知ってるのに似てる。確か噛んで水分も取れたはず。口寂しいから食ってしまおう。バナナはデザート用にとっておく。

 サイズでかいけど、まぁいいか。

 ブチっ


「もしゃもしゃ」


 なんか木の上から見られている。猿かハクビシンか……7体いるな。


 人だった。弓に矢をつがえている。


「〜〜〜〜! 〜〜〜〜〜」


 ロシア語っぽいんだけど、違うんだよなー。新言語でもできたか?


 英語で挨拶したけど、通じてなさそうだ。とりあえず何も持ってないと手のひらを見せておく。


 バサっと、かっこよく木から飛び降りてきた。よく見るとちょっと毛深いし、頭の上に△耳ふたつ。身長も低めで140cmくらいかな。山でコスプレごっこ遊びが流行ってるのかな?


 念の為、知ってる言語全部使ってみたがダメだった。完全にお手上げだ。

 されるがまま蔦で縛られて引っ張られいく。縛った後は安心したのか、少し油断している。全員で歌いながら歩いているぞ。

 非常にケモケモしく猫っぽいな。ちょっとカワイイ。

 時折、声をかけてくるがサッパリわからん。精霊は見えてるけど届いてくるイメージも前よりわかりづらいな。しばらく生活してれば慣れるだろう。



 1時間程歩かされて、やっとこ目的地に辿り着いた。奥をさして喜んで俺に伝えてくる。お前ら、俺を捕まえてるんじゃないのか? かわいい奴め!

 森の中だけど、結構大きな集落があった。つぎはぎな柵だけど、家は木造の高床式。結構しっかりしてる。俺の方が大自然な格好してるか。


 形ばかりの入り口に熊っぽい人の門番がいる。ちっこい人が話して中に入ると家からいっぱい出てきた。ウサギやタヌキもいるな。

 広場の真ん中に座らされると、バナナを剥いで誰かを呼びに行った。遠くからも見えていたがでっかい木がある。300mくらいあるんじゃないか? こんなデカイ木は初めて見た。精霊もいっぱいくっ付いているし、居心地良いんだろうな。


 ようやく来たか。んー、自然の気が強めだな。もしかして同類かな? 長身の色白優男だな。耳が長くてファンタジーのエルフみたいだな。

 と思っていると、話しかけてきた。


「〜〜〜クニ〜〜〜ヒト〜」


 やっぱり知らん言語かなと思っていたんだが、ところどころ知ってる単語があるんだよね。


「セイレイ〜〜〜チカラ〜〜〜」


 師匠から教えてもらった言語はゴッタ煮状態だからわからん。とりあえず近い言葉っぽいので話してみるか。


「クニは日本にいたはずだ。気づいたらこの森の中に居たんだよ。セイレイは見えてるよ」


 目を大きく開けてるけど、通じたかな?


「コゴ! シル」


 お。シルは知るかな? 単語ならいけるか!?


「ハナシ。シル。タスカル」


 笑っている。

「ワカッタ。ワカッタ」と言いながら頭を上下させている。



 良かった。0から言葉を理解するのは大変なんだ。

 カタコトで話しながら、しばらくこの集落に置いてくれることになった。

 ようやく一息つける。ドラさんは、元気にしてるかね?


 それにしても、ここどこ?

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