第6話 修行不定記2
2042年 秋
修行も順調に進み、英語と中国語は会得した。師匠に貰った本もかなり読み進み、内臓を活性化させる丸薬はほとんど覚えた。塗り薬と毒薬はさきっちょだけ。ちょっとだけ最後のページを見てみたんだが、金丹と書いてある。ただ内容はぜんずぇん読めぬぇ。
この山の山菜はほぼ全部覚えた。あとは洞窟内に生えるような奴だけだな。半年以内に全部わかるだろう。
師匠にも相談したんだが、今の上司(官僚さん)に何年か別の地域や外国と交換出来ないか言ってみようということになった。師匠「俗世ともまだ繋がったほうが良かろう。」と良くわからんこと言ってた。最近見つけたベジタブルなジロウ系のラーメン店に、師匠を連れて行ってみようと思う。
さっそく官僚さんに相談してみると、場所は押さえてあるが始動してないのがいくつかあるらしい。北海道、東北、九州の新規山守りを選んで良いようだ。師匠の話だと、寒い方が植生が被らなくて良いそうなので、北海道から数年ごとに移動したいと伝える。
1ヶ月程でOKの返事が貰い、来年から異動となる。後任はクマさんに選ぶのも全て任せた。
2043年 夏
春頃、官僚さんの案内で北海道の山守り場に来た。そうそう、俺の職業に名前が着いて「山守り《やまもり》」となった。なんともマシマシな名前じゃないか。
北海道は保護地区も多い為、結構大変だそうな。手を加えちゃいけない場所も多いので地図に禁止マークを入れておくのは忘れない。
立派な家……いや、旅館を用意してくれていたが、大き過ぎて居心地が悪い。申し訳ないが、近場に壁を厚めにしたロッジを師匠と一緒に作った。旅館は管理人もいたので、猟友会や地元民が使うだろう。さすが師匠、丸太持ち上げているのよ。人間離れしているよね。
ついでに師匠から新しい作務衣を貰った。それが、半端なく着心地が良いのなんのって。師匠がおっしゃることには、天の糸を紡いで作った布が元らしい。師匠は時々頭がファンタジーだからしょうが無いな。いてっ。声に出してないはずなのに叩かれるんだよな。感が鋭い。
植生調査している間に、勝手に内装が増えてたから使わせてもらっている。会のメンバーが増やしているらしい。俺の後任も使うから良いでしょう。
夏前にようやく落ち着いたところで、師匠から課題が出た。少し離れた場所に良い瞑想場所があるので、自分で見つけてこいとのこと。自然を感じる訓練らしい。それと「少し国の様子を見てくるので、本を見ながら調査を進めておけ」とも言われている。
2044年 秋
去年の秋前に瞑想場所は見つけておいた。最初は滝の見える場所かと思っていたんだが、違和感を感じて近場を探ってみると、良い感じの洞窟があるのさ。そんで中を調べてみると、鍾乳洞になっていて、中央に良いでっぱりを見つけた。
ちょっと冷えるんだけど、年間通して温度は変わりにくいみたい。師匠が戻ってきたら、合っているか聞いてみよう。
植生調査も結構進んでいる。最終的に国に渡すことになっているので、1つずつなら採取して良いらしい。
一度だけ困ったことがあった。洞窟で1ヶ月ほど瞑想していたら、遭難者扱いされていた。後日、会のメンバーに洞窟の場所を伝えておいたら様子見役が出来ていた。遭難扱いよりは良いか。
ここでの瞑想は自然を良く感じることができる。水の流れと木々や近くの生き物。あと力強い羽虫と小さな……おっさん?がたまに居る。気のせいだな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます