第2話 脱サラ不定期2

 2036年11月8日

 気づいたら瞑想で1〜2日経ってるようになった。体調は良いんだ。むしろ以前より疲れ無くなってる。


 鶏は元気にしてるよ。ちょくちょく卵を産んでくれるから、良いタンパク質ゲット。

 家の横に鶏小屋も建てたんだけど、瞑想時間が増えたから、放し飼いにしてしまった。畑を巻き込んで、柵で囲ったから、勝手に野菜や雑草食べてるでしょ。

 時々畑に、野鳥や小動物も来ているようだけど、特に荒らされた様子は無いんだよね。鶏達が守ってくれてるのかな? そんなわけないか。



 2036年12月30日

 妹に届け物を出そうと村に行ったら、集まって何かやっていた。覗いてみると、みんなでおせちを作っていたらしい。昔は各家でやってたが、過疎って人が減ってからは、合同の方が楽だとわかったらしい。そういう知恵って良いよね。ちゃっかり一緒に参加して、自分の分もやってもらった。ようかんの入ったおせちは初めてなので、楽しみにしておく。

 忘れないうちに届け物を出す。ドライフルーツだから遅れても大丈夫だろう。

 小屋に戻ったら大掃除の続きだ。コンテナも雨風で汚れがあるので、綺麗にしておく。

 ふと下を覗いでみると数匹のタヌキが居た。畑を荒らさないなら良いぞと言っておく、伝わってるとは思わないけどね。



 2037年2月10日

 瞑想終わって目を開けると、辺りが真っ白になっていた。

 天気予報だと晴れだったはずなんだが、急に変わったのかな? 若干変わることはあっても、大きく外れることは無かったのにね。たまには、そういうこともあるのだろう。

 しかし、2月に雪か。この場所で降るとは思わなかったな。

 ちょっと肌寒いなと思っていると、真冬でも作務衣で過ごしていたようだ。鶏の羽でも集めてドテラでも作ろうか考え中。

 とりあえず、しばらく作務衣の隙間に、服の切れ端を詰め込んでおく。これだけでもかなり暖かいよ。だけど、着なれた作務衣以外は久しぶりだな。ついでに、ズボンも冬用作ってみようか。マフラーもあったな。

そうやって考え出したら色々出てくる。けれど、これから暖かくなるからいらないか、それで終わってしまった。



 2037年5月18日

 瞑想……伸びたね。ほとんど寝なくなったし、初めて1週間くらい瞑想続けてた時は、さすがに病気を疑ったね。病院行ったけど検査結果は健康だってよ。

 瞑想中に森の様子が見えるような気がするんだ。気がするだけだろうけどね。


 畑は放置ですな。鶏が雑草も食べてるみたいで、うまく共生してる。なんでか野菜の種は食べないんだ。

 時々ヘビも見かけるんだけど、鶏はスルーしてるんだ。鶏もヘビを気にしてないし、君達の捕食関係はどうなってるんだろうか?

 小屋を開放した後、畑の野菜と卵も勝手に食べて良いと言ってたら、家周りが掃除されてたり、小銭が置かれるようになった。

 あと変わったことは……久しぶりに鏡見たら、ちょっと若くなった? ストレス無くなっただけかな。



 2037年9月

 日にちは……もう良いや。

 家の周りに鹿が増えたなと思ってたら、先日、瞑想場所に頭の大きな白髭爺さんがおった。隣に鹿連れてるし、この人が元凶か。害は無いから良いんだけどね。


 よくよく話してみると、次郎人じろうじんと名乗っていた。同志どうしを育てているんだってさ。ジロリアン仲間作るなら、山じゃ無くて街に行ったほうが良いのにね。ぷぷっ。

 ただ、こちらもジロリアンとして答えなくてはなるまい。同志であると! ヤサイマシマシニンニクオオメカラメ。胃が心配だから油は辞めておこう。

 このジロリアンは野菜人ベジタリアンらしく、山菜や薬にも詳しいらしい。山暮らししてから、こんなにショックを受けたのは初めてかもしれない。山菜の次郎系があるとは知らなかった。この道の奥は深いと思い、この老人に弟子入りを頼み込んだ。千大蒜せんにんの道は厳しいと話しているが、覚悟は出来ている。俺は真のジロリアンになってみせる!

 光の道が開けたようだ。修行の導入は出来ているようなので、来年の春から修行を付けてもらえるという。これから忙しくなるから、村の人にも挨拶しておこう。一度妹にも会っておこう。



 2037年10月

 久しぶりに妹に会ったら、俺が若く見えたようで怒っていた。瞑想とストレスフリーじゃないかと伝えると考え込んでしまった。

 10歳の姪と8歳の甥も元気に育っている。コンテナハウスに行ってみたいと話していたから、妹に家の合鍵を渡しておいた。家の物を勝手に使っても良いと言っておく。旦那さんも釣り好きだと聞いていたので、お土産に延べ竿を何本か渡しておいた。村の爺さん作で、当たりがよくわかるんだ。

 おっと。本題を話し忘れていた。山菜と薬のジロリアンに弟子入りすることを伝えると、「前より生き生きしているね。」と苦笑いしていた。たまに野菜送ってと頼まれたので、弟子入りの成果を送ろう。

 帰りに村に寄って、妹に合鍵を渡したことを伝え、しばらく忙しくなると話しておく。

 その時に、猟友会の話になった。どうやら小屋が人気になったようで、行きがけに家の見守りしてくれることになった。優しい人がたくさんいて助かるな。

 ちょっとばかし忙しくなりそうだけど、新しく興味あることをするならワクワクしてくるね。

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