2ヶ月前
2022年1月11日
昨日席替えをして霧倉の隣の席になった。
これから1ヶ月霧倉の隣で過ごせるのは嬉しかったけど少し怖かった。
今日の霧倉は普段とは比べ物にならないくらい顔色が悪い。
大丈夫?って聞きたいけど後ろの席は霧倉をいじめている尾和夏希だ。
「aの二乗+bの二乗=cの二乗の公式を使ったらどうなる?うーんじゃあ安西さん」
「45…?です」
朝戸は相変わらず教卓の前の席で泉谷先生の揺れる胸ばかり見ている。
「そうやね。じゃあこれを利用したら本題の考え方分かりそうじゃない?誰に答えてもらおうかな〜」
ドンッ
隣を見ると霧倉が倒れていた。
霧倉の前の席に座っていた吉川さんが霧倉の背中をさすっていた。
泉谷先生も気づいたようで霧倉のところに駆けつけた。
「大丈夫!?」
霧倉は意識を失ったままのようだ。
しばらくして霧倉の目が開いた。
「立てれる?」
泉谷先生にそう聞かれて立てろうとするがフラついてしまった。
先生に支えられながらなんとか立てり保健室に連れて行かれたがフラフラでまともに歩けていなかった。
俺はただただ霧倉のことが心配だった。
3時間目は体育だ。
サッカーだったが霧倉のことが心配で全く集中できなかった。
「いなざっき〜!!」
飛田が俺にパスしてきた。
流石サッカー部勢いがすごい。
急にパスされてびっくりして体が追いつかなかった。
ボールを蹴ろうとしたらボールにつまずいて気づいたら地面の上でうつ伏せになっていた。
「今日調子悪いな」
児玉が冷やかしてきた。
起き上がると鼻血が出ていることに気づいた。
「お前足も血まみれだな。保健室行ってこい。」
坂岡先生の指示に従って俺は保健室に行った。
扉を開けると南川先生と原川先生がいた。
「どしたの」
「転びました」
「傷口洗ってないじゃん。洗っておいで」
先生からティッシュを貰って鼻を押さえながら水道へ向かった。
傷口を洗い保健室に戻った。
先生に傷口を消毒してもらった。
「おでこに擦り傷あるじゃん。頭打った?」
「覚えてないです」
あまりにも一瞬の出来事すぎて何が起こったのか自分でも分からなかった。
「何かあったらいけないから4時間目終わるまでは保健室で休んでな」
隣のベッドで霧倉が寝ているんだろう。
別に変なことを考えているわけじゃないけど少しドキドキした。
チャイムが鳴ってしばらくすると先生が出ていく音がした。
俺は保健室に誰もいないことを確認して隣のベッドのカーテンを開けた。
布団の中から顔を出した霧倉の目からは涙が溢れていた。
「大丈夫?」
霧倉は軽くうなずいた。
「何で倒れたの?」
「貧血…って言われた」
放課後、塾で自習をした帰りにコンビニで牛肉とツナのおにぎりを買った。
コンビニから出ると雨が降っていた。
傘をさしながら自転車を漕いだ。
バス停で霧倉を見つけた。
「何してるの?」
「雨宿り」
「これあげる」
俺はさっき買ったおにぎりを渡した。
「えっいいの?」
霧倉は今にも泣きそうな顔をしていた。
「いいよ。腹減っただろ」
霧倉はものすごい勢いでおにぎりを食べた。
「美味しかった」
霧倉は笑顔になった。
久しぶりに霧倉の笑顔を見ることができて嬉しかった。
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