第109話 海への道のり――蒸し料理と川魚

 雨は夜半にはあがり、レン達は日の出よりも早く、薄明の内に村を出る。そういう予定ではあったが、元々、カルタの村では1時間休憩を入れて、ブレロの街で宿泊という予定が雨のせいでカルタ泊となったのだ。

 普通ならやや強行軍でブレロの次の街まで進むか、のんびりペースで進み、ブレロの街に宿を求めるかの二択である。

 なお、カルタの村は割と当りだったが、普通は村に泊を求めても、そもそも宿泊施設がなく、良くて空き家か村長の家。悪くすると掘っ立て小屋に案内されたりもするため、途中の村に宿を求めるというのは、可能なら避けたいところなのだ。


 諸々を検討した結果、ゆっくり昼前くらいに出て、ブレロの街に宿を取る、というのがレン達の本日の行動方針となった。


 それを決定づけた一番の理由が、クロエが犬を抱っこしたまま動かなかったからだ、と言うことは、皆が口を噤むということで一致している。


 昼前には抱っこされるのに飽きた犬たちが走り出し、クロエは犬たちと猫たちを優しく撫でて別れを告げ、馬車に乗る。

 馬車に乗ったあと、ローブについていた猫の毛に愛おしそうに触れ、クロエは、いつか再び彼らに会いに来ようと心に決めるのだった。




 ブレロの街に到着すると、ラウロは門で自分の身分のみを明かし、カルタの村の村長から預かった書簡を持って領主の元を訪ねる。

 他のメンバーは宿屋に宿を求めるために街の中を移動する。

 街中での馬車での移動が禁じられているわけではないが、レン達は馬車から降り、街並みを見ながらノンビリ歩いた。


「なるほど、堅実か」


 街の中は、ほどほどにヒトがいて、ほどほどに活気があった。

 王都とは比較のしようもないが、街並みは綺麗に整えられているし、英雄の時代以降に作られたとおぼしき古びた建物も、頑張って維持しているのが見て取れる。

 可もなく不可もなく、堅実にやっているのだろう、という印象を受けたレンは、だからそう呟いた。


 ブレロ子爵が管理している街や村は、比較的食料生産能力が高く、家畜類もそれなりに飼育しているため、食べるものに困るようなことはない。

 代わりに、鉄鉱石などが不足しているが、銅と錫が採れるため、青銅器なら他領から輸入しなくても生産できる。

 そのため、庶民が日常生活で使う道具には青銅製が多く使われていたりもする。

 道路を見れば、石を使った部分もあるが、土がむき出しの部分もある。


 資源もヒトも適材適所で、税は過重ではないが少なくもない。

 犬猫の飼育などという趣味に大金を投じている割に、他の部分にそのシワ寄せが見えない。


「しっかりと財政を把握してるんだろうな。それでいて、無駄を省きすぎたりもしていない。良い領主なんだろうね」

「無駄は省いた方が良いんじゃないの?」

「無駄には、省いても良い無駄と、省いたらダメな無駄……まあ実際は無駄じゃなく無駄に見えるだけって事だけど、そういう二通りの無駄があるんだ」


 省いてはいけない無駄とは何か、とクロエが首を傾げる。


「例えばそこにある天水桶……こっちだと防火水槽だっけか? ……それなんか、一度も使われることなく朽ちていく可能性があるよね?」


 レンは通りにポツポツと置かれている防火水槽を指差した。

 木製の小さな樽を重ねた防火水槽は、日本の江戸時代に町に置かれていた天水桶によく似ていた。樽の上に桶が載せられたシンプルな作りのそれは、常に風雨にさらされるため、定期的な保守と、場合によっては交換が必要となる。

 火事にならなければ、それらは単なる金食い虫である。


「防火水槽は昨日も今日も使われなかった。だけど、明日は必要になるかも知れない。もしも今日、これは無駄だから撤去すると決めたら、明日、必要になったときに大変なことになるよね?」

「……それは無駄じゃないと思う……備え?」

「そうなんだけどね。でも、備えってのは、何かあった時の為の物だから普段は使われないんだ。だから、それが無駄なのか、備えなのか。なぜそれが作られたのかをきちんと理解していないと、判断を間違えることもある。ここの領主は、そこら辺をしっかり把握してるから、良い領主だって思ったんだ……まあ、優れた部下がいるという可能性もあるけど、そういう部下を使い続けることができるかどうかも領主の器量だからね」


 儲けに繋がらない部署を効率化と称して潰せば短期的には利益が増える。

 だが、それが特定の場合に必須となる部署であった場合、それを潰すのは将来の禍根となる。


 実際、善政を敷いているサンテールの町ですら、防火水槽はこの街ほどしっかりと管理されていなかった。

 だから、それらの管理が行き届いている街を見て、レンはブレロ子爵を良い領主だと判断したのだ。




 ブレロの街は、全体的に努力をして平均点よりもやや上の点数を取るような、言ってしまえば秀才の街である。

 周囲に独特な特産品などはなく、商品価値のあるものと言えば、高品質には及ばないが、それなりに良質の作物などで、だから、大儲けができるような要素はない。

 名所、旧跡の類いは森の中に行けばそれなりのものがあるそうだが、好き好んでイエローの魔物が出る森で観光をする者がいるはずもない。

 強いて言えば犬と猫がこの世界に於けるブレロの街の隠し球なのだろう、と街を見て回ったレンは判断した。


 だから、宿屋を利用するのは食料を買い付けにくる行商人で、そういう客層の宿だから、貴族向けのサービスは期待できない。

 だが、レン達もクロエ達も、その程度のことは気にしない。

 安全であればそれでよいという判断である。


 宿を取った一行は、ラウロと合流するため、フランチェスカを待ち合わせ場所に送り、残りは街の中を見て回った。

 レンの目から見た街は、人がいるエリア、いないエリアがはっきりと分かれていた。


「なるほど……集客能力のある施設を一カ所に集めてるのか。まあ普通の作りかな」


 それは、レンの感覚では、駅前に商業施設が集中している日本の地方都市に近い作りだった。

 日本の都市が完璧なモデルであるとはレンも考えてはいないが、レンが参考に出来るモデルはそれほど多くはない。

 その知識から、少なくとも、この街は人口が少ない街としてはそれなりに安定しているように見えた。


「それで、クロエさんは市場で買い食い?」

「もちろん。それは大事な旅の目的」


 特産品がなく、代わり映えのしない街ではあるが、市場はそれなりに活気がある。


 他の街では焼き料理が目立つ屋台だが、この街ではなぜか蒸し料理が目につく。

 なぜ多いのかと屋台で問えば、近隣で竹が採れるため、それを使っているとのこと。

 湯を沸かしている部分に目をやれば、レンガを積んで土鍋を使っている。

 それを見て、レンは、この街では鉄は貴重だと聞いたことを思い出した。


「なるほどね。それで土鍋に蒸籠か……この構造だと重いけど、上手に作れば金属をあんまり使わないで作れるから、合理的と言えば合理的かな?」


 蒸籠は最下部でお湯を沸かさなければならないが、お湯を沸かすだけなら土鍋でも構わない。

 青銅の鍋の方が丈夫ではあるが、この街で金属が貴重なら、使わずに済む部分は使わずに済ませようということなのだろう、とレンは当りをつけた。


「レン、このおまんじゅう、美味しい。元祖英雄饅頭ってあるけど、英雄がおまんじゅうとどう関係していたの?」

「あー……英雄達の世界はとても広くてね。国家が複数あるんだ。この世界に来ていた英雄達の生まれは日本って国が多くて、饅頭は日本の伝統的なお菓子の一種なんだよ」


 饅頭の発祥は、とか、歴史は、などと言い出すと色々混乱しそうだが、クロエが食べているのはどこからどう見ても温泉饅頭なので、レンはそう答えることにした。


 なるほど、と頷き、クロエは餡子が詰まった茶色い饅頭をはむりと囓り取る。


 ライカはそんなやり取りを、興味深げに聞いては頷いていた。


レンご主人様や英雄達の残した言葉にはニホンという地名らしき名前が頻繁に出ていましたが、国の名前だったのですね」

「そんなにみんな日本の話とかしてたんだ?」

「ええ。日本ではこうだから、こちらでもそのようにしたい、等という書簡が残されていたりもします。同じ意味合いと思われる地名が「トナイ」「リアル」「チキュウ」ですわね」

「へぇ……まあ、全部英雄の世界のことだね。リアルとか地球は世界全体を指す言葉かな」

「なるほど……そう考えると、幾つかの謎が解けそうですわ……レンご主人様、今度少し英雄の皆さんの残された言葉について、質問をさせて頂いてもよろしいでしょうか?」

「ああ、その程度ならいつでも構わないぞ。分かることなら、大抵のことは教えるから」


 ただ、この世界が遊興のために作られた仮想世界であることだけは、何があっても秘しておこう。そう考えながら、レンは頷いた。




 街にはめぼしい物はなかった。

 だが、致命的に物がないという訳でもなかった。大抵の物は市場にある。

 金属製品だと鉄器が少ないが、鉄の刃物がない代わりに青銅の刃物はある。見た目だけなら、青銅器の方が美しいと考える者もいるかもしれない。

 食品は、素材レベルであれば色々とある。各種穀物、豆類、野菜、根菜、食用の鳥など、各種。大抵は街で作られたか、近隣の村からの輸入だ。

 加工食品も、日持ちがするものなら、干し肉、乾燥野菜、チーズなど、大抵のものは揃う。ただし、贅沢品に分類される物――例えば酒などは、なくはないが、高いし少ない。

 衣類は、華美な物こそないが、最低限はある。ただしこれまた高い。


「蒸し料理はどれも美味しかった」


 市場の屋台で様々な品を買い込み、皆と少しずつ分け合いながら楽しんだクロエの頬はやや緩んでいる。

 ちなみに、その際の支払いはクロエが率先して行っている。

 普通に買い物をする、というのも、クロエにとっては貴重な体験であり、また、娯楽なのだ。


「どれが気に入った?」

「一番は蒸し野菜……ニンジンの。レンも作れる?」

「んー、味は少し変るだろうけど、作れるよ」

「なら、帰りにマリーにも作って欲しい」

「あー、うん。旅程次第だけどね。あと覚えていたら……それよりも、買って、ポーチにしまっておけばいいんじゃないか?」

「計算してみた。貰った中で時間遅延に特化したものだと1000分の1まで遅延するけど、それでも旅が2ヶ月続いたら、2時間くらい経っちゃう」

「まあ、そんなもんかな? でも2時間なら許容範囲……ああ、作りたてを食べさせたいのか。分かったから睨むな。できるだけ同じ味を出せるようにするよ」


 レンはクロエに聞きながら、対象の味を学ぶため、幾つかの屋台で研究用に蒸し野菜を買い込み、新鮮な野菜も買い込む。

 そんな中、屋台の湯気の香りに、ライカが首を傾げる。


レンご主人様。これ、香りが独特ですわ」

「おや、よく分かったね」


 屋台のおばちゃんが感心したようにそう言って陶器で出来た小さな瓶を振った。


「これが内緒の味の秘訣さ。中身は秘伝だから教えられないよ」

「……なるほど。豚の脂と……ワインかな? あとほんの少し何か……」


 買った蒸し野菜の香りを確かめ、レンはそう呟く。


「おやおや、そこまで分かるのかい?」

「比率とか分量は分かりませんけどね。そこは研究します。ああ、再現できても、『お嬢様』と、その知合いに出す以外には使いませんからご安心を」

「ふむ……そういう用途ならもう一つヒントだ。ハーブも使ってるよ。しかし、これに気付いたのは、そっちのエルフのお嬢さんが初めてだ」

「本当に弱い香りですからね。使うのはせいぜい、鍋いっぱいのお湯に対して数滴かな? ヒントまで貰っちゃって、ありがとうございます。お礼というわけじゃないけど、研究用にあと3人前、お願いします」

「あいよ。ならもうひとつだ。今からやることを見てな」


 おばちゃんは、ニンジンを取り出すと、熱々のその表面の目立った皮を軽く削ぎ、笹の葉に似た葉に包む。


「皮ごと蒸して……包んでる葉も、香草か。へぇ、中々手間が掛かってたんだ」

「そりゃね、似た店が多いからね、少しでも違いを出さないと」

「これ、小さい種類の川魚とかでやっても美味しいでしょうね」

「ああ、よく分かるね。残念だけど、この辺の川の周辺は結構危なくて、ノンビリ魚を穫ってられないから、魚を使ったのは滅多に食べられないんだけどね」

「レン、食べてみたい」


 クロエのその言葉を聞き、レンは楽しげに笑った。


「……あー、うん。そうだね『お嬢様』がそうお望みなら、ちょっと試してみようか」


 レンはおばちゃんに川魚のいる川までの道と、今はどうやって獲っているのか、等の聞き取りを行った。


「レン殿? 何をなさるおつもりか?」


 心配そうに尋ねるファビオに、レンは楽しそうに笑い、答えはラウロさんと会ってからだと答えるのだった。




 宿に戻り、ラウロと合流したレンは、ラウロの部屋で、計画の概要を説明した。


「川までの道の整備と、限定的な結界?」

「そうです。今は川魚を獲るのは冒険者に依頼するらしいから、道は整備されていないそうなんですよね」


 ブレロの街はイエロー系の魔物の生息域でもある。

 そのため、普通の住民では街から出るのは、自殺と同義である。


 護衛を雇っても、森の中の踏み分け道を進むのは危険である。

 サンテールの街で、イエローリザードの生息域までそこそこ広い道を通したのも、目的は木々に隠れて魔物が襲いかかってくることを防止するためである。

 多くの場合、拓けているというのは、それだけで奇襲を受ける可能性を低減させる効果が期待できる。


 現在も、冒険者ギルドによって、獣道よりはマシという道が整備されてはいる。

 しかし、そこで活動できる者は一定の技量を持つ冒険者などに限られるのだ。

 もしもそこに広い道ができれば、漁のポイントまでの移動がわずかでも安全になり、そうなれば、漁をする冒険者も増え、魚の価格も今よりは安くなる筈である。


「結界とは結界棒かね? あれは使い捨ての消耗品と聞いたが」

「結界棒は仰るとおり消耗品なので今回は使えません。今回のは、王立オラクル職業育成学園で学生が試作した品です」

「試作? 王立オラクル職業育成学園では様々な魔道具を開発していると聞くが、それかね?」

「ええ。結界棒が使い捨てになるのは勿体ないという提案を受け、色々と工夫してくれた品です」


 レンの返事を聞き、ラウロは困惑したように目を細めた。


「学生の試作品が使い物になるのかね?」

「まあ、限定的ですけどね。結界は発生しますし、1週間に1回の魔石の交換を行うなら、性能劣化なしの持続時間は4年くらいと計算されています。3年に一度、錬金術師に保守して貰えば問題はありません」

「随分と魔石の消耗が早いな」

「結界杭と違って、沢山入れられませんからね」


 結界杭には聖銀ミスリル製の箱があり、そこに魔石を入れるような作りになっている。

 電池のように極性はなく、単にざらざらと流し込むような感じだが、そこそこ数を入れられるようになっている。一応、箱の中の魔石が尽きた場合の備えもあるにはあるが、そちらは不可逆な反応を起こすため、使ってしまえば同じ状態に回復する方法はない。



「で、限定的というのは?」

「元々の注文がですね。魔石を外部から補充可能な結界棒を作れないかというものでして、だから、結界の広さは結界棒準拠です。あと、結界を張らずに地面に刺したまま放置しても錆びにくい金属を使っているのと、結界を作動させるためには地面に刺してレバー操作をする必要があるあたりが変ってる部分ですね」

「それを川沿いに埋め込もうと言うことか。しかし、結界をレバーで張る? 妙な注文だな」

「ちなみに発注元はルシウスさんとダヴィード王太子殿下ですね」

「王太子殿下の御発案なのか。ならば、それ相応の理由、目的があるのだろうが、そこは聞いてはおらぬのか?」

「街道沿いに、避難所を作りたいみたいですね。ストーンブロック造りの避難所の建物に逃げ込んで、レバーを操作すれば結界が張られ、屋内の照明が点灯するようなものを考えているようです」


 結界の外は危険な場所だ。

 だから、結界から出る必要があるなら、普通は、通るルートを明かして護衛を雇う。

 ルートに応じた実力の護衛が雇われるわけだが、雇い主からの情報から想定していた魔物よりも強い敵が出てきてしまったりすれば、護衛は逃げ出す。

 それが是とされる契約なのだ。


 そうやって失われる命も少なくはない。

 対策として、結界棒を各自に用意させるという手もあるが、個人の責とするには値が張りすぎるし、国から支給するにも、レンが来るまでは結界棒は金を出せば必要数を揃えられるような品物ではなかったのだ。

 だから、国として、街道沿いに安全な避難場所を作るという話は昔からあった。

 だが、街道沿いの街や村を存続させるだけでも精一杯だった国にそんな力はない。仮に余力があったとしても、結界の外で安全を担保する方法などなく、常に計画だけで終わっていた。


「……確かに街道沿いに広場を作る程度の計画なら話を聞いたことがあるが」

「広場じゃほとんど意味がないし、高い塀程度じゃ侵入される。だから、小さくても結界が必要で、ヒトがいなくてもそれなりに維持が可能なもの……常時結界を張るのではなく、必要なときだけ張ることで、魔石の消耗を抑えるというのが要求仕様ですね。錆びない、ってのは学生の工夫です。結界を張ってないと、結界棒も結界杭も錆びますからね」

「街道の避難所は昔から言われてきたものだが、とうとう現実の物になるのか……この計画は殿下が?」

「ダヴィード王太子殿下が推進していますね。王立オラクル職業育成学園とのやり取りはルシウスさん経由です。今は試作品の実験段階ですけど、まあ結界杭の小型改造版ですから、構造に難しい部分もなく、今のところ実験で問題が起きたという話はありません」

「……何? ということは、実験段階の品をこの街に提供すると言うのか?」

「そうですけど、これは結界杭を小型にして起動レバーを付けただけの品ですから、中級の錬金術師にとっては単なる改造品に過ぎません。実験もほぼ終わっていて、ルシウスさんは実際に街道沿いに避難所を設置する準備を始めていましたから、試験は十分と判断されているのでしょう」


 実地試験の段階の品であれば、それなりに信頼が於けるだろう、とレンが言うのを聞き、実地試験に入ると判断したのが王太子とルシウスであるなら、その判断は尊重する、とラウロは答えた。


「で? レン殿がそれを行うメリットは?」

「美味しい魚料理が食べられるようになる。あと、避難小屋で小型結界杭を使うという話になったとき、森の中での運用実績があると話が通りやすくなる、というあたりでしょうか」

「……ふむ。保守と魔石の補充はどうするのかね?」

「この街の錬金術師に依頼します。向こう2年分は俺が支払って、以降は、必要と判断した者が支払うということで、調整はギルドに依頼します」

「……領主の負担とするわけではないのだな?」

「領主が必要と判断したなら別ですが、そうでないなら、冒険者ギルドとか商業ギルドの管轄で何とか、と思ってます」


 レンのその答えを聞き、ラウロは、それならば、と頷く。


「分かった。好きなようにすると良い。森の中の護衛にはレベッカとファビオを付けよう」

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