十打つ


ヒメコは目の前に落ちた棒きれを拾い上げた。構える。

私が五郎君を助けなければ!

震棒を片手に駆け出す。でも大木を巡ろうとした時、少年に投げられたのか、五郎が飛ばされてまた茂みの中へと落ちていった。

「え、えぇぇぇい!」

棒を何とか振り上げ、少年がいるはずの場所へと振り下ろす。

ガッ!

何か当たる音がした。

やった、当たった。当たったわ。盗人をやっつけた。

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