第18話 第2の覚醒【怒り】①
アレクシアさん真っ赤になっていたな…。
マナは、寮の自分の部屋で荷物を整理していた。
この学園。生徒が約400人いるのに全寮制で1人部屋なんだ…。
『……授業料とかってどうなってるんだ?うちは普通の家だぞ?』
『学園に推薦された人は授業料、生活費、お小遣いまで国から出てる』
『…?』
『うぉっ!?なんで、ポメラがいるんだよ!』
『マナの部屋って田舎の家みたい』
『え?そうかな?…じゃなくて!』
『聞いて!?ねぇ!?』
『はわ!?こんなところに!ポメラちゃん!』
『いや、ミリアもなんでいるの!』
理由を聞いてみると、ライム先生が俺のために学園の説明をしてくれるのでその伝言に来てくれたそうだ。良い子だな。……ちなみに、ポメラはただついてきただけで、先に俺の部屋に向かって走ったそうだった。
『その…マナさんにアレクシアさんからのラブレターがきていますよ…♪』
『…』
『ミリアさん?今、何て?』
『ラブ・レターですよ♪きゃっ♪』
ミリアから、アレクシアから俺宛ての手紙を受けとる。
マナ=フィルドーへ
今日の午後4時に屋上で待っているわ!
逃げないわよね!絶対、待ってるから!
アレクシア=パピヨン
『うん!これ、【決闘】だね』
『え?【決闘】ですか?』
『今日、教室であれだけ大声で言ってたからね~』
『あ、そう言えば自己紹介でのミリアの魔法、凄かったよ!』
俺はさりげなく、【決闘】から話をずらす。
『ありがとう!嬉しいです♪
私、音魔法は自信があるんです!』
ーーーよし、成功!
『へぇ~。音魔法っていうんだね』
『ミリアは風と光の魔法が得意。
風の派生系の音魔法はミリアのオリジナルなの』
『俺の精神魔法みたいなものかぁ』
あ、やばい。
背中から興味の感情が刺さってくるな。
『精神魔法?』
『マナ、見せて』
『あー。先生に呼ばれてるんだっけ?教員室ってどこだっけ?』
『私が案内するです♪』
『ありがとう『マナ、見せて』ミリア。
さぁ、行こうか!『マナ…』』
ーーーそして、教員室に行き、ライム先生から学校説明を説明される。
『ーーー以上ですね♪』
『本当に、ありがたいです』
『それでは、2人を扉の前で待たせているので失礼します』
『失礼します』と言って教員室から出る。
『おかえりなさい!』『終わった?』
2人に用事が終わったことを伝えて、時間があるなら昼飯を食べないか?と言って外出を誘う。
ーーー午後5時
3人は外食を食べ終えた後、王都で生活雑貨やお菓子を買ってから学園に帰ってきた。
『今日の夜、こっそり抜け出してマナさんの部屋で夜会を開きせんか?』
『俺はいいけど。ミリアがそんなこと言うなんて意外だなぁ』
『ミリアは箱入り娘だったから、新しく出来た友達が嬉しいの』
『ちょっ!?ポメラちゃん!』
と言いつつ、学園に着く。
そして、夜に3人で会うことを約束して解散になった。
部屋に戻って片付けの続きをしようと思っていたら、部屋の前でアレクシアが背中を扉に預けて立っていた。
『マナ=フィルドー!
何で来ないの!』
『えっ!?あ、忘れてたよ~』
ーーー本当は、外食の後に思い出していた。
『今から【決闘】するわよ!』
『でも、規則で出来ないし。俺にメリットが無いだろ?』
『メリット?がどういう意味か分かんないけど、私とあなたが【決闘】することで、あなたが勝てば実力を知らしめることになり、私が勝てば順位は変わらなくても、あなたより格上だって証明が出来るわ!』
『別に俺は実力を疑われてもいいんだけど』
『私があなたより格下だと思われるのが嫌なの!』
なんとも、暴論な…。
『わ、分かったけど、明日にしないか?』
『今日よ!
あなたが逃げられないように、手紙の写しを寮内全域に貼っておいたわ!』
『今頃、屋上には生徒が集まっているわよ!』
『えぇ……』
ーーーこうして、アレクシアとマナは【決闘】をすることになったのだった。
………………
…………
……
屋上に来た。いや、連れて来られた。
季節は冬の終わりの頃合いで、既に太陽が落ち始めていた。屋上のライトはもう点いている。
『【決闘】のルールは、
①屋上以外で足をつけない
②戦闘中、相手の降参宣言または戦闘続行不可能の状態を10秒間、維持で勝利
③生死を問う攻撃はしない
……これは、非公式で、
④ランキングの順位は変わらないが勝敗をお互いに認め、どちらが強いかを理解する』
『以上!何か質問は?』
『今、降参を受け入れてもらえないかい?』
『却下よ!』
『他には!』
『……無いよ』
『なら、このコインが落ちる時が【決闘】の始まりよ』
アレクシアがポケットから銀貨を見せ、指で弾く。宙を舞った銀貨が床に落ちる。
ーーー【決闘】開始に、周りの生徒達が盛り上がり、叫んだ。
『隙あり!上級火魔法【ボルケーノ・ブラスト】!』
アレクシアの差し出した手のひらから魔方陣が展開し、大きな火柱の渦が俺を飲み込もうと迫る。
ーーー【写し身・濁】!ーーー
俺は【写し身】で無理やり避けたが、いつもより身体の動きが遅い気がする。
『(…身体が震えている?)』
『まだよ!【火球連弾・蒲公英】!』
……身体が動かない。
当たる場所などは、すべて読めているのに、必死で避けることしかできない。
頭の血が下がってくる感じがして気持ち悪いし、頭痛も酷い。
思うように身体が動かないマナに対して、アレクシアは一方的に攻撃する。
もう、アレクシアには、マナの姿は自分の魔法で見えていなかったが、仮にも同学年1位がこんな魔法で倒れる訳がないと考えていた。
『【火燕】【ファイア・ランス】【ファイア・ボム】』
『………何してるのよ!あなたの本気を見せなさいっ!』
俺はギリギリで避け続けたが、自動追尾の魔法や設置型の魔法に逃げ場を失っていた。
『はぁ、もういいわ…そっちが本気を出さないなら、出させてあげる』
『上級炎岩魔法【メテオ】!』
『練技【瞬動】!』
アレクシアが屋上の下にある砂や土を屋上まで吸い上げ、固めて砂岩にし、高熱の炎を灯す。そして、ドロドロに溶けていく炎を宿す球体を上空に浮かばせる。
そして、自分は騎士がよく使う、身体強化を高めた技法【練技】で足に身体強化をして俺に剣を突きつけに迫る!
『やるわね!私の剣技についてこられるなんて!』
……クソッ、身体に力が入らない。
剣の軌道が読めているが、剣の腹に拳を当てて剣先を反らすくらいが精一杯だ!
……それに、何だこの言い知れぬ不安感は?
身体が燃えるように熱いのに、冷めた感覚もする。
『だけどね、私の本命はこれよ』
『【メテオ・インパクト】』
空に浮かばせていた炎と溶けた砂岩の塊を俺に目掛けて落とし、自分は【瞬動】を使って離れた。
ーーーアレクシアは【メテオ】を人に向けて放つと死ぬ可能性があることは分かっていた。
だから、マナがわざと遅く落とすこの魔法をギリギリ避けるのを見て、逃げた先で、この魔法媒体を入れた剣で決着をつけるつもりだった。
ーーーだが、マナは避けなかった。……いや、避けられなかった。
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