第14話 試験② こっちがヒロイン!
……、睨まれている。
理由は知る訳ないだろ!
『マナさんっ!』
突然、机を強く叩く音で目の前の女性に自分が呼ばれいることが分かった。
あれだけ嫉妬の感情を向けられると、見たくなくても意識が向いてしまうんだよね。
『マナさん。こちらの検査は終わりましたので、次の測定に移ってください』
『はい。次の測定はどういったものなんですか?』
『それは、次の試験官から説明を受けてください』
……なんとも、ドライな対応だな。別に気にしないけど。
そして、魔力測定に移る。
魔力測定は、魔力を込めると育つ【パグ】という実の種に全力で魔力を込めて、その成長具合で審査官が測定すると説明をされた。
右手には、全長5cmほどの緑色の種がある。
……ここで、問題!!!
マナは、この種をどれだけ成長させることが出来るでしょう?
ーーー答え。
『種から芽が出ません……』
審査官がマナの発言に目を丸くする。
審査官のライム=チワリーヌは、目の前の少年が適応検査で騒がれていたので、異常事態に警戒していた。
『あのっ、パグの種を見せてもらっても?』
少年から種を受け取る。
たまに魔力が極端に少ない人がこの種を持って測定してみても変化を感じられないことがある。
そんな時は大抵、種の表面に小さい亀裂が走っているのだ。
ましてや、この学園を受ける生徒に魔力が低い者はいないと思っていた。いるものだな~。
種の表面を見てみる。
………。
魔道具を使ってみる。
視力を高める魔道具のレンズ越しから表面を凝視する…。
……亀裂なし。
『ない、わね』
『どうすれば?』
マナは不安げに聞く。
正直、試験に興味が無いが、ここまで周りと反応が違うと焦る。
『…あ、ーーーもしかして!』
急に審査官が刃物を持ってきた!え???何この人!?
審査官が刃物を振りかざして、
ーーー種を両断する!!
すると、たちまち種から異臭が広がった。
ーーー腐ってやがる。
『臭っ!?臭いです!』
いいリアクションだ!
顔も可愛いし、合格!
何、考えてんだ俺。
『なんで!腐っているんですかっ!』
なんかプリプリ怒っているが可愛い…じゃなくて、怒られても困るな。
『これは測定できてないですよね』
『他の種で測定させてもらってもいいですか?』
『分かりました!これを!』
審査官が新しい種を渡してきた。
腐った種は、袋に閉じ込めて外に投げられた。……大胆だな。
ーーーそして渡された種が腐るのを8回繰り返して、審査官は諦めた。
3回目でやめてくれれば良いのに『私の仕事ですので(泣)』と極論を言われてうむを言えなかった。
前の検査のお婆さん審査官に助けを求めてるな~。あ、お婆さんさっきぶり!
お婆さん、今…舌打ちしなかった?
『また坊やかい!仕事を増やしやがって!』
『こっちはいいから、次に行きな!』
マナは少し驚いたが、お婆さんに言われて最後の試験に向かう。
ーーーマナが次の試験に向かった後。
『……年に1人はいるんだよ、【測定不能者】が』
『今年はビーゼルの野郎が連れてきたやつがいるから、まだ何人かこんな奴が出るよ!』
『『『ハイッ!』』』
お婆さん審査官が他の女性審査官にそう話しているのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます