第13話 試験① ヒロイン登場?
マナのテンションは下がりに下がっていた。
学校に来たのは良いものの、圧倒的アウェー感。やっと、自分と同じ私服の人がいると思ったら他校から送られたスパイだった。
その人は、魔力で動く縄で縛られて警備員に連れていかれたよ。気さくで良い人だったのに。
……俺が心を見れば、その人が何を考えているか分かるが、そこはプライバシーの問題だし、俺だって赤の他人の負の感情は見たくない。だから、普段はできるだけ見ないことにしている。
ーーー試験開始が告げられた。
ここでも最初に受付で渡された札の番号で呼ばれ、順番に試験を受けていく。
魔法適正試験は、火・水・風・土の4属性と光・闇の2属性が本人とどれだけ相性が良いかを測る試験である。
各属性の波長に合わせた水晶に手を触れて魔力を流すことで、その反応から専門職の人が適正を見るらしい。
ーーーなんとも、異世界あるあるだな。
…?
異世界あるあるってなんだ?また、前世の記憶か?
……とりあえず、俺の番だな。
『それでは、4属性の水晶を順番に触れて魔力を流してくださ~い』
俺は父さんに習った魔力の流し方を思い出しながら水晶に魔力を流す。
すると、透明だった水晶が薄く色づいていく。そして2秒くらいで透明に戻る。
『…。次はこっちの2属性の水晶に触れてみてくださ~い』
今の間は、なんだったんだ。
光属性の水晶に手を置く。他の水晶より色が綺麗な金色になっている。さらに、10秒は色を保っていた。
母さんに光魔法と闇魔法を教わったからなぁー。
そしたら、【あの技】が出来るようになったんだよね。
次は、闇属性の水晶に手を伸ばす。
………触れてもないのに黒くなり始めたんだけど。
俺、触れてないよ~。ほら、手が左右に動くじゃんか!
『あの、規則ですので手を触れて貰っても?』
あっ、怒られた。
手を置く。そして、魔力を流す。
これって異世界あるあるなら割れるよね。なら、割ってみるか!
俺は負の魔力を手のひらから水晶だけに流れるように放つ。
『えっ…?』
専門職の審査官であるだろう女性が驚いている。
ーーーそう、俺はあの魔力をコントロールすることが出来るようになっていたのだ!!
水晶がみるみる黒ずく。周りから光を奪ったような色になると魔力が吸収されないような感覚がして手を離す。
クソッ!!割れなかったか!
『??????』
審査官の女性が頭の上に?を浮かべたように混乱している。想像できて、にやけてしまうな。
あ、後ろの先輩であろうお婆さん審査官に聞きに行った。
お婆さん審査官は連れてこられて怒っていたが、真っ黒な水晶を見て驚愕していた。
『これは!?
これは、何だいっ!!』
『だ~か~ら、言ったじゃないですか!異常だって!』
『…さっきまで信じてなかったよ』
『まさか、闇の水晶を色づかせたあげく、ここまで黒くできるだなんて』
『ちなみに、今、何秒たっているんだい?』
10分かな?
『約10分です……』
『10分!?』
色の具合で自分の身体にその属性は適しているのかが分かり、色の持続時間で、今の習熟度が分かるらしい。
審査官の2人は、他の審査官も呼んで話し始めた。
おっ!隣でも騒ぎが起きているな!
赤髪の女の子と、その子の前に木がそびえている。あれ、どんな状況だ?
あ、女の子が自分で火の魔法を放って燃やした。怖っ!こっち睨んでいるし!
ーーーこれが今作のヒロイン、アレクシア=パピヨンの登場シーンである。
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