第8話 駆逐、惨殺、環境破壊
リーダー格の狼は血を吐いた。目の焦点も動き回り、泡を吹き始めた。そして、死んだ。
心を直接、破壊したからね。
【僕】の魔力が少し触れるような感じだったんだけど、さわった瞬間にひびが流れて崩れちゃったな。
丸い球体に刺が少しついたような形をしていたのが粉々になっちゃった。欠片になったら風化?し始めて綺麗に失くなったけど。
『やばいな。これは、人間に使ったら大変なことになるぞ』
……極力使わないようにしないと。
【僕】はそう思った。
『さて、これで全部じゃないだろ?』
周りでは死んだ狼たちが見えるが数が足りない。逃げたな?
あの一瞬で逃げれた優秀な個体がいたみたいだ。
『仕事は最後まで責任を持って…か』
誰かに言われた記憶があるような。
……ちょっと違うか。仕事じゃないし。
『一応、これでもピー助の飼い主だしな。敵は取ってやらないとな!』
目を瞑り、自分を含めた周りを意識する。見えていないのにまるで3Dマップのように周りの環境が分かる。
……3Dってなんだ?前世の記憶かな?
『……いた』
約3キロ先に1匹の狼が後ろに2匹連れて走っている。
心の形は記憶している。間違えない、こいつらだな。
『間に合うか?』
対象に向かって走り始める。
身体が軽い。流れる景色が分からないくらいに速く走れている。
『は、はは!なんだこれ、俺覚醒!系な主人公みたいだ!』
速い、
これなら追いつく。
ーーーしかし、速過ぎたた。
周りの木々の伸びた根が地中から出ていたのだろう、男の大事な部分にクリンヒットした。
体が宙を舞う。舞いながらも着地時点を見極めて綺麗に着地してみせる。
痛みはなかった…。さっきも噛まれていたが痛くなかった。だが、感触は残っており、不快感と怒りがこみ上げけてくる。
『チッ、クソがああああ!!!』
意識の方向が逃げる狼より、ぶつかった木に向かう。
怒りの感情をぶつけると、黒い魔力が木々に通り抜けた。
すると、木がねじ曲がり…枯れた。まるで【僕】から逃げるように曲がっていた。そして、目の前で枯れていく。
『すげ~♪これはすごいな!』
見れば枯れた木の周りの木々も枯れてはないが、歪な形に曲がっていた。魔力が通り抜けた地面の雑草は枯れて茶色になった道が続く。
『あ、俺一瞬、狼のこと忘れてた。ピー助ごめん!』
またクリーンヒットしたら息子が機能不全になるかもしれないしゆっくり走るか…いやぁ?
『いけるかもしれない』
とりあえずもう一度、対象の精神を感知する。
あれ?数増えてね?ま、いっか。
【僕】は悪意や敵意、殺気といった負の感情を煮詰めたような、どす黒い魔力を生い茂る木々に向かって放つ!
ーーー思った通りだ、さっきより薄くして指向性を前方に持たせたら【僕】の魔力から逃げた木々の間が通り道となっている。根は逃げれなかったのか、枯れている。
触ってみたらボロボロになった。実に面白い。
『やっぱり、増えているな。(狼の)心は区別できるけど個体毎に判別できるわけないだろっ!』
もう嫌気が差してきたがしょうがない。ペットもとい友達のためだ!はぁ…。
【僕】は、魔力を垂れ流しつつ走る。かなり距離がついていたが3分で追いつく。
ーーー5分後。
うん。3分は短すぎたかな。
そろそろ追い付くんだけど。あいつら待ち伏せてね?【僕】が来るって本能で分かるのかな?
ーーー着いた♪
開けた場所に出る。目の前には洞窟があり、洞窟を囲むような陣形で20匹の狼が立っているか。警戒心MAX、恐怖半分だな。
数が増えたせいか恐怖心が和らいでる。
ーーーー舐めやがって。
いや、まぁ、舐めるか。一見したらただの少年だし。
……本当にただの少年だよ?ちょっと黒い魔力を纏ってるだけさ☆
『ほんじゃ、早速』
ーーーーー『死ね』ーーーーー
感知している狼の心に魔力を向ける。さっきと同じ光景が繰り返される。
全滅。
呆気なかったな。現実はこんなもんなのか。知らんけど。
ひと仕事終わった【僕】は達成感に浸って気づいていなかった。
自分の目から血が流れていることを……
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