【閑話】 女神の失敗は2度ある①
『あ゛~。これはやばいわ』
エラーの甲高い音で目が覚めたと思ったら案の定、転生装置が緊急停止していた。
とりあえず、エラーの音をOFFにする。……内容を確認してみた。
『うわ、どれだけ転生してんの。
うわ~。
しかも死んだやつ1人いるわ。場所がダメね。場所が』
しかも、こいつ。転生特典を受け取れずに死んでいるわ~。見なかったことに……
上司の世界神と目が合う。めったに鳴らないエラー音で様子を見に来たのだろう。
『何かあったかの?あったんだろ?あったんだな!!』
怒ってますね。咄嗟に笑顔を向けたのが失敗したのね。この失敗は、次にいかさないと!
『正座』
『はい』
『説明』
『自動モードにしていたらエラーになっていて転生した者がすでに死にました』
『なぜっ!そうなる!』
『なんで、エラーになったかは分かりませんね~』
『ーーーなら、【見て】やる』
世界神の左目が光る。過去を見る左目、未来を見る右目を持つこの人は今、過去を見ているんだろう。
『原因が分かった』っと世界神が言った。
『お前が寝ていたときにエラーが起きて、音が鳴り響いてる状況に苛ついたお前が装置を殴ったようだな』
『わ、わたし仕事中に寝てませんよ!』
『なら、後ろにある枕、布団、毛布はなんだ?』
『これは、3種の神器です!』
『ぐっすり、寝れているようだな!!!』
『はいっ!それはもう!』
神の雷が女神に落ちた。だが、雷ごときでは女神は死なない。せいぜい1ヵ月は全身筋肉痛になるだけだ。
『痛~い』
『これぐらいで済ましてやったんだ感謝しろ!』
神といえど、人の魂を軽んじてはいけない。その教訓を自覚させるために、この新米女神に転生女神としての職を就かしたのに。まったく、反省の色がない。
『直ぐに、死んだ者の魂を呼び寄せ、懇切丁寧に説明して転生させろ!』
『でもでも、続けて転生させた例はありませんよ~?』
『特例だっ!』
……こうして、主人公は転生するのだった。
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